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十二支愛歌  作者: 那津稀
序章
1/19

1

ねえ、神様。

オレ達は、あなたが居ればそれだけで良かったんです。

ねえ、神様。

何でオレ達を置いて逝ってしまったんですか。

ねえ、神様。

あなたが居ない世界なら、永遠なんていらなかったんです。

ねえ、神様。

もう戻ってこないのなら、いっそオレ達を―――




目が覚めた。

何か夢を居ていた気がするけど思い出せない。

緩慢に起き上がると布団にポツポツとシミが出来ていく。

頬に触れてみると、濡れていた。

(ああ、またか…)

この現象で何の夢を見ていたのかが理解できた。

(はあ、朝から憂鬱だよ。まったく)

布団から抜け出て服を着替える。

鏡を見ると、赤褐色の髪に茶色の瞳の見慣れたはずの自分自身が映っていた。が、何処か違和感を感じて鏡に手を伸ばす。

(あれ?オレの顔ってこんなんだったっけ…もっと普通の……)

アーモンド型の目が此方を見返してくる。

(普通って何だ?オレは17年間この顔で…オレ?オレの一人称ってオレだったっけ?いやその前にオレって20超えてたんじゃ…違う、オレは正真正銘の17歳で…)

触れた鏡の中の自分は、変わらず己と同じ動きをしている。

無意識に頬を抓ると痛みを伴った。

(痛い…夢じゃない。抑も夢の筈が無くて普段通りの……ああもう分からん。違和感を感じるのに違和感の正体が全く思い浮かばない)

そう悶々と悩んでいるとグ~~~と盛大に腹が鳴った。つい羞恥に見舞われ赤面して辺りに人が居ないか見渡す。

部屋に自分一人なのを思い出して深く息を吐き出して鏡に向き直る。

未だに違和感はあれど先程のように思い悩むまでは行かず、部屋を出た。



廊下を真っ直ぐ進み台所に着くと冷蔵庫の中を覗き込むと、見事に料理と言えるものは存在しなかった。唯一残っていた胡瓜を一本掴むと其の儘バリバリと囓り始めた。

(また買い足ししておかないとな)

そんな事を思いながら胡瓜を丸々一本食べ終えると手を合わせ小さく「御馳走様でした」と呟いて立ち上がると家を飛び出していった。



辺りは宵闇に包まれており街灯の灯りがポツポツと照らしていた。

「あ、夜だったんだ。早いな」

そう独り言を呟きながら大通りへと歩いて行く。

その途中にある細い脇道に黒い何かが入っていくのが視界の端に映り足を止めた。

「“オニ”?何であんな所に?」

脇道を見詰めている間に一つ、また一つと黒い物体、否“オニ”が入っていく。

「何かおかしい。ちょっと見てくるか」

手元に馴染んだ槍を呼び出しながら駆け出す。

(確か普通は“オニ”は群れないはず、いや群れると言うより“引き寄せられている”?)

此方に気付いた形を得てない思念体を薙ぎ払いながら進んでいくと、奥から「来ないで!!!」と言う叫び声が聞こえて一般人が巻き込まれている状況に速度を速めた。

辿り着いた先ではしゃがみ込んだ女性と彼女を囲むようにそれなりの大きさの牛形の“オニ”が三体居た。“オニ”は気が立っているようで今にも女性に襲い掛かろうとしている。


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