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鏡に写したい姿は偽装  作者: 橘菊架
サラとレオンハルト
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6.男を見せろ

翌日。

昨日の宣言通り、無理して自分に似合わない厚化粧を辞めた私とレオンハルトはいつも以上に白い目を向けられていた。


自分に似合わないきつい色のアイシャドウにリップ、チークをやめ、自分に似合う色の化粧品を使い自分の素材を最大限に引き出す化粧に変えた。

化粧の意味がない、とこそこそと、または面と向かって言われたが、昨日のおじさんの言葉が心に残っている私達には何も響かない。


きっと、あるべきものを良くするものなのだ。化粧のあるべき姿は。

虚像を見せ、去勢を張るものではない。


変わり者同士、お似合い、なんて言葉も吐かれた。それはそれでいいのかも、と私はうっすら思った。


この国は人口減少が嘆かれている。

学生時代に結ばれた婚約はやむを得ない事情を除き認められないし、籍を入れた後の離縁も認められない。

卒業間近で婚約者がいないのは私とレオンハルトのみで、卒業と同時に結婚しない者は難があると思われ、職に就くのも難航する。


「レオンと離れるのなんか嫌だしもう婚約しましょ」

「そういうのは俺から言いたかった……」


食堂でサンドイッチを買い、人気の少ない庭園の隅でピクニック宜しくシートを敷いて昼食を摂っている最中、ぽろっと溢れた本音にレオンハルトは項垂れていた。

意識してなかったけど、レオンハルトの事、好きなのかも。一緒にいて楽しいし、今までちょっとした出来事も嫌じゃなかったし。


「でもわかってるのか?この国だと婚約して、籍を入れたらやっぱやめた、なんて出来ないぞ」

「それに関しては周りの国も籍入れたら気軽に離縁出来ないでしょうよ」


そうじゃなくて、と半目でじとりと睨んでくるレオンハルト。

素材がいいので薄化粧でも充分すぎるくらいの色男だコイツ。


「俺と、そういう事、出来んの?」

「考えたことはなかったけど、嫌じゃないわ。今更じゃない? そういう事には至らなかったけど、おかしくない状況には何度かあったわ。嫌じゃなかったもの」

「あー、俺の負け」


額に手を当て、空を仰ぐレオンハルトの顔はほんのり赤い。

おや、これは。


「今までのアレコレは確信犯かしら」

「ちょっとは」

「私が鈍感過ぎるってやつ?」

「本当に、危機感を持て」

「レオン相手だからよ」

「もう本当に俺の負け」


お年頃なの、ちょっと手加減してくれよ、とそっぽ剥いてしまったレオンハルトの事を可愛いと思ってしまう。

私も負けかも。なんの勝負って感じだけど。


「親に許可得ないと」

「ウチはいつでも。男を見せろって母親ずっとうるさかったし」

「親公認なのね。まぁ、ウチも大丈夫でしょ、よくレオンの事は話してたし、息子になって欲しいなんて冗談言ってた」


そして、どちらともなく手が重なり合って、互いの距離が近くなり、人気がないのをいい事に唇が重なる。


これはちょっと、恥ずかしいかも。


押せ押せな女の子好きです。


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