24.はじまり
最終話です。
「ねぇ、ミレンナ。レクリエーションで汗まみれで化粧が溶けてどろどろの私を見たでしょ?」
「えぇ……」
「どう思った?」
「みんなの為に、身体を張ってくれて、綺麗だと思ったわ」
ミレンナの心には深い傷が付けられた。元婚約者のせいで。
化粧を落とした顔を認めて貰えず。
どんな姿でもいい、と言った私を試す為にレオンハルトに危害を加え、反応を見ようとしたその行動が、婚約者が見ていたのは、上部だけだったと証明している。
「今のミレンナは背筋が曲がって、俯いていて綺麗じゃない。でも、背筋を伸ばして、前をしっかり見ているミレンナは綺麗」
「サラ……」
「それに、ミレンナはいい女なんだからもっといい男がいるわよ!」
「ありがとう。こんな行き遅れでも良いって言ってくれる人がいたらね」
「文句言う奴はぶっ飛ばすから言ってね」
話をしていると、教師がやって来て、私達は席に着いた。
ふと教室を見渡すと、今までと違う雰囲気だった。
男女共にばっちり化粧をしている人が減っている。印象は確かに変わるが、厚化粧をやめている人の表情は晴れやかだ。
未だ、厚化粧の人もいるが、ここに居るだけマシかも知れない。
ポツポツと空席も見える。
そして、あっという間に卒業の日を迎える。
卒業と共に、学園側が入籍の手続きを済ませてあるらしく、私とレオンハルトは夫婦となった。
手を繋いで、新居へ向かう。
扉をくぐり、私はレオンハルトに振り返った。
「これからも宜しくね、旦那様」
一応私は怪我人である。暫く安静にしろとも言われている。
なので、レオンハルトは油断しているのだ。
おかえりのキスは無事口に出来たのだった。
本編に入りきれなかった小話とか、サラとレオンハルト以外の話もぼちぼち投稿予定です。
執筆次第更新予定です。
話を完結させてから載せるか、ほとんど書き上げてから載せるか途中すごく悩みましたが、エタる可能性を減らす為完結させてから載せることにしました。
早く載せたくて後半駆け足気味になりましたのでそこが課題だなと思いました。
この話は元々3000字くらいの短編予定でしたが、テーマとしてルッキズムを掲げているので予想より話が重くなり、ここまで長くなりました。
書ききれなかったものも沢山あると思います。ネットの普及もあり容姿に敏感な人が増えたと思います。
厚化粧が悪いとは思ってませんが、必要以上にやり過ぎると素の良さが消えるのが勿体無いと個人的に感じます。
私自身鏡を見るのが苦痛なので、ある意味ルッキズムに囚われてますので、なんとも言えませんが。
ここまで見て下さった方、ありがとうございます。
この作品を楽しんでいただけたら幸いです!