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鏡に写したい姿は偽装  作者: 橘菊架
サラとレオンハルト
23/33

23.負ったもの


ラヴィーナに連れられ、魔法学教師の元に戻り、転移で学園に帰ると、早々に私は病院に送られた。


怒りで動けていただけで満身創痍だった。

回復魔法をかけられ、数ヶ月は安静に、と言われたが無視して次の日には退院をし、登校すると、魔法学教師に捕まって説教を受ける。


「サラさん。貴方はまだ安静にしないといけないと聞いたのですがね」

「大丈夫です。あの男を引き摺り回さないと気が済みません」

「もう無理ですよ、昨日のうちに牢に入れられましたからね」


そんな事だろうと思いましたよ、と呆れた様にため息を吐かれる。

未遂で済んで良かったものの、魔獣に向けて人を突き飛ばしたのは事実であり、労働刑に処されるのは間違いないだろう、と魔法学教師は教えてくれた。


「彼はもう陽の光を浴びれないかも知れません。貴方が手を下すまでもなく、地獄を見る羽目になりますから」

「その前に一回地獄を見せてあげても良いと思いませんか?」

「駄目ですよ。過剰防衛でも何でもなく、ただの暴力になりますよ」


このまま言い争うだけ時間の無駄だろう。

この魔法学教師に敵うとも思えないので、不服だが、折れることにする。


「……ミレンナはどうなりますか」

「まぁ、婚約は白紙ですね」


婚約者の不祥事だからと連帯責任を負わされない様で良かった。


「とりあえず、サラさん、貴方は安静にしてくださいね。別に今から病院に転移させても良いんですからね」

「愛しい婚約者の側にいれば怪我なんてすぐ治りますよ」


暫くは大人しくすると約束をさせられ、やっと解放される。案外面倒見がいい。


様子を見ていたらしいレオンハルトがやってきて、私の荷物を奪い取っていく。


「怪我人、荷物は俺が持つから」

「やだこれ以上惚れさせるつもりなの」


肩を負傷しているので、地味にありがたい。

卒業まであと数日。


回復魔法で完治させるには傷が深過ぎたので、少しの間は冒険家業はお休みするしかない。

冒険以外にもやる事は色々あるのだ。


「早く卒業したいわね」

「あと数日だろ?」


だらだら話しながらレオンハルトと肩を並べて校内を歩く。

教室に着くと、ミレンナと目が合う。ミレンナは目を見開いて駆け寄って来た。


「サラ! 暫くは安静にしていないとって聞いたわ!」

「病室に篭りきりなんて退屈だもの」

「でも」


視線が彷徨う。ミレンナは落ち着かなさそうに手を握り締め、息を吸った。


「……ごめんなさい、アルが」

「どうして? ミレンナは悪くないわよ」

「それでも、婚約者だった、もの」


手を握っては開く。

付けまつげはもうしていないが、睫毛は長く、瞬きするたび、揺れていた。


「レオンハルトさんに危害を加えようとしたのも、元はと言えば私のせい。化粧を辞めても変わらないままで居てくれると思ったんだけど」


しっかり化粧してる時と違って顔薄いし、とミレンナはあえて明るい顔で笑っているが、何処か自嘲気味に聞こえる。


「ミレンナは綺麗よ?」

「お世辞はいいわよ。サラは素顔でも、綺麗で羨ましい」


目を逸らし、思わず手で顔を隠す素振りを見せるミレンナに、苛立ちを感じた。


コンプレックスって根強いと思うんです。

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