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鏡に写したい姿は偽装  作者: 橘菊架
サラとレオンハルト
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2.世情は無情

初登校の日、どこを見渡しても絵画かと突っ込みたくなる顔面が並ぶ中、一人だけ普通の顔があった。それがレオンハルトだ。

お互い目があった瞬間、思わず頷き合った。


授業が終わって速攻話しかけに行ったし、向こうも話しかけてきた。

爪弾きもの同士仲良くなった次第である。


そして、何を隠そうレオンハルトと私はパーティーを組んでいる。

レオンハルトは珍しく学生の身でありながら冒険者登録をしていた。母国ではかなりの数いたものの、この国ではほぼ皆無。

学生は誰も彼も親の脛を齧り、親の権威を笠にきている。


「今日はどうするよ」

「討伐にでも行こうかと。もうすぐダンスパーティーなんてものがあるらしいしドレス買わなきゃ」

「俺が買ってやろうか?」

「恋人かよ」


適当な会話をしつつ肩を並べて歩く。

恋愛の”れ”も時もない関係である。


授業も終わり、人もまばらになった廊下を二人並んでいると、ゴテゴテ化粧の生徒たちから白い目で見られる。

恥知らず、だの、みっともない、だの。

こちとら化粧はきちんとしている。礼儀には則っている。


「そんなに化粧薄いかしら」

「別に?」

「レオンよりかは濃いしまぁいいか」

「俺もこれで濃いめだっての」


なんとなくレオンハルトの頬に指を滑らせる。

さらりとした感触はフェイスパウダーだろう。

不思議そうにレオンハルトは私の反応を見てくる。


「ちゃんと化粧してたわ」

「当たり前だろ」


はしたないわ、と声が聞こえるがガン無視。

別に他意はない。お互い婚約者どころか恋人もいない関係だから構わないだろう。今までそんな雰囲気になったことは一度もない。


うっかり足を滑らせ、川に落ちてびしょ濡れになっても、山で道に迷って洞穴で二人で一夜明かしても、他のパーティーの打ち上げに巻き込まれてレオンハルトが酒を飲まされ酔っ払った彼を家まで送り届けても、何もなかった。

何もない。酔っ払ったレオンハルトが私を抱きしめると言うか羽交い締めにして一緒に寝ると喚いて仕方なく泊まったことくらいはあるが、男女の関係になってはいない。

レオンハルトはすこんと寝落ちしたし、朝まで何事もなく普通だったし。


学校を出て、街中のギルドへと向かう。

学生の身で冒険者をするのはこの国ではほぼいない。基本他国出身であったり、両親のどちらかが他国の人間でなければ、まずない。


この国では学校を卒業する歳が成人である。

成人と共に家を出る風習があるが、逆を言えば成人するまでは家にいられる。

ギリギリまで親の脛を齧るのが一般的らしい。


聞いた話によると、成人して急に放り出され、世間に揉まれ落ちぶれる人間はかなり多いとか。

でも誰もその事実を教えない。大人と触れ合う機会がないからだ。

苦労した側の親は子供にわざわざ辛いことは教えない。ギリギリまで甘やかす。

悪循環である。


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