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鏡に写したい姿は偽装  作者: 橘菊架
サラとレオンハルト
11/33

11.愛情表現はそれぞれ

レオンハルトに連れられ、いつも昼食をとっている人気のない庭園へ向かう。

シートを敷いてピクニック気分も変わらず。


そこそこの大きさのバスケットにはサンドイッチが何種類か詰められている。


「美味しそう」

「ありがとう。どれがいい?」

「この魚のフライが挟まってるやつ」


手を伸ばそうとしたら、レオンハルトが奪う。お腹が空いているというのに。


「はい」


蕩けそうな笑顔で差し出され、一瞬面食らうが、手ずから食べさせてもらう。

やっぱり美味しい。もしかしてパンから焼いているのだろうか。


「美味しいか?」

「勿論よ。何個でも食べれるわ」


そのまま、レオンハルトに食べさせてもらい、次は私の番である。


「どれ食べる?」

「これ、卵のやつ」

「はい」


いつもだったら俺達にはまだ早い、と言いそうなのだが、今回は私が差し出したサンドイッチをレオンハルトはそのまま食べた。

これは急餌行動もとい、求餌行動なのでは。


「美味しい?」

「サラから手ずから食べさせて貰えるならなんでも美味しい」


そんなのいくらでも食べさせてあげたい。

お互いにせっせと食べさせ合い、バスケットの中はすっかり空になった。


「やっぱりこれって求愛行動なのかしら」

「知らなかったんだな。そうだよ、料理の国求愛行動は、これ」

「いいわね」

「俺の作った料理でサラを太らせるのも悪くない」


なんでも作るからな、とうっとりとしながらこちらを見つめるレオンハルトに、体温が上昇するのがわかる。

なんて幸せ。与えた分、レオンハルトは愛を返してくれる男だ。愛し甲斐があるというものだ。


足を少し崩し、膝を叩いて寝転ぶ様に要求すると、レオンハルトは先程と打って変わり、顔を赤くして俺達にはまだ早い、と主張し始めた。


流されてくれなかった。

仕方ない、長期戦で行こう。


「明日からレクリエーションよね。マジックバッグに詰めれるだけ必要なもの入れなきゃね」

「フォロー頼まれてるもんな」

「弓だけじゃ心もとないし、近接武器も持っていこうかしらね」


元々、私は弓だけでやっていたわけじゃなかった。

だが、パーティーを組むにあたり、近接武器同士だと連携が少し複雑になるので、遠隔武器でレオンハルトの補佐に回ることにしたのだった。


「久々だな」

「腕鈍ってるかも」

「大丈夫だろ。本当ならサラが近接で良いくらいの腕前だったんだからさ」


レオンハルトが遠隔武器に変える、と最初言い出したのだが、からっきし駄目だった。

味方撃ち(フレンドリーファイア)を起こしかねなかったので、それなりに扱えた私が武器を変えたという経緯がある。


「弓、案外楽しいわよ」

「弓をあんなに扱えたらそりゃな」


俺には無理だ、と肩をすくめるレオンハルト。

愛の国出身で弓使いなので、ギルド内に変な二つ名が流れているのは、知らないフリをしている。


のんびりしていると、始業前のベルが鳴る。

そそくさとシートを片付けて教室へと戻った。


愛の国、弓、つまり。

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