驚愕の事実2
晃の一族について
僕の先祖は代々が旧帝貴族の家柄で表社会とは隔絶していた。そして戦後の日本の平和を維持出来るように歴史に必要悪な介入を行ってきた。その介入とは時代が必要とする要人の命に危険が迫る際、ほんの少し未来を書き換えることを行う特殊な能力を人知れず使うことである。
晃の祖父は過去最大の特殊能力を持ち世界のアカシックレコードに触れることができた。そして日本が、世界がたどる運命において致命的な失敗だけは回避したいと願い、最重要な人物の運命を操作することにしたのだ。
そして現在、晃は柏木健斗と同じ会社に同期入社することにより、アイツ(健斗)の人生を守ることにしたのだ。崇高な目的のために。
晃の告白
「健斗。落ち着いて僕の話を聞いてくれ。これから突拍子もないことを説明する。
信じられないかもしれない。それでも信じてほしい。この言葉を忘れないでくれ。」
「お前が見た光景は本来お前の身に起こった事実だ。レストランしかり、飛行機事故しかり、電車脱線事故も。いずれもお前は確実に死んでいたはずだ。しかし、お前には、いやこれからの日本にはお前に死なれては困るのだ。お前にはやらねばならないことがある。」
「僕がこの3つの事件にお前が巻き込まれないように立ち回った。誤解しないでくれ。
他の人を見捨てたとかではない。事故が発生することは止められない。せいぜい歴史に介入できるのは1人の命を生きながらえさせるぐらいだ。それ以上の歴史への介入は時間軸が許してくれない。」
俺の誓い、俺の役割
俺は小さいころから間違ったことが嫌いだった。正義が好きだった。子供番組のヒーローものが大好きだった。人知れず傷つきながら悪と孤独に戦う主人公を応援していた。正体を明かせず誤解を受けたまま苦しむ主人公には涙した。そして俺もいつかそんなヒーローになると子供心に誓った。
しかし現実の俺は子供心の誓いもむなしく、小学生の頃から運動は得意でなく喧嘩も弱かった。それでも理不尽なことには腹を立て、弱くても抵抗した。戦った。それは中学、高校、大学生になっても変わらなかった。直接的な暴力では勝てなくても抵抗した。
小さいころからの正義を尊ぶ気持ちは、どんなことがあっても揺らがなかった。これは俺の信念であり矜持でもある。
晃が言うには、これからの未来において俺のこの考え方が人類の未来に影響してくる。その為に近くにいて3つの事故を回避させた。晃自身、俺の未来が見えるのではなく祖父が生前に記した書物にある記述を元に動いているだけであるとのこと。よって、俺が今後どのような人生になるのかはわからないようだ。
「いま日本で起こっている過去3ケ月のテロは、もしかして俺を殺すために起ったのか。」1つの恐ろしい仮説が頭をよぎる。
「まさか、まさかだよな。嘘だろ。」
認めたくない事 実が目の前にある。
「そのまさかだ。どうあっても健斗に生きていてほしくないのだろう。少なくとも、現象面を見ればその仮説が濃厚だ。」
「どうして俺一人殺すのにたくさんの人を巻き込む必要がある?」
「同時に日本人の精神を凌辱するためではないのか。心を疲弊させ支配しやすくするために。」
「どうやったら止められる。対策は何かないのか?」
「健斗、うちの会社の製造ラインに戦争用の武器が組み込まれているのに気付いているか? 」
「なんだと。うちの会社が武器を作っているのか。ここは日本だぞ。そんなバカな。」
「現政府と政財界と一部の既得権益の大手商社が密約のもと、武器製造も手掛けているんだよ。そして大手商社と取引があるうちの会社こと丸菱工業もそのおこぼれに預かっているんだ。」
俺は俺の知らないところで戦争の道具が身近に製造されていることが理解できないでいた。
「具体的には、PS31型拳銃だ。今の警察でも採用されている。
日本の拳銃は性能も良く、扱いやすいので世界にも輸出されている。なぜか、テロ組織にも渡っている。」
日本の警察が使っているのであればと納得しかけたが、世界に輸出およびテロ組織が使用していることを聞き、許せなくなった。
知らなかったとはいえ、俺はそんな会社に勤め粉骨砕身働いてきたのか?
次の日、俺は朝1で辞表を出した。
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