人工知能との戦い2
2030年9月4日14時00分
グレートマザーから仮設テントにいる水木陽一に衛星通信を使って連絡が来た。
「ハナシガシタイ。ダイヒョウデカシワギケントヲヨコセ」
2030年9月4日14時30分
健斗はポリマースーツを装着し赤色カプセルを飲んだ。
これから1時間が勝負だ。時間内に勝負がつかなければ俺は死ぬ。俺はすべてを理解したうえでグレートマザーの本拠地に侵入した。
基地の入り口は開放されていたが、内部は友好的とは言えなさそうだ。
グシャ!! ギン! ガン! ギン! グシャ!! ガゴン! ガン! ・・・・
触手を思わせる金属のミミズがところかまわず巻きついてくる。ソニックブレードで片端に切断するのだが、キリがない。それから40分、ひたすら中枢に向かって進みながら駆逐し続けた。かれこれ1500体以上は駆逐しただろう。赤色カプセルの効果があるにせよ、さすがに体力の消耗はすさまじかった。とうとう、首、胴体、両手、両足に巻き付かれ大の字に空中に吊り上げられる。
1台の人型マシンが近づいてくる。グレートマザーの分身のような存在か。
人型マシンをとおして、グレートマザーが問いかける。
「ドウシテコンナフモウナタタカイヲシテイルノカ」
「ナゼチキュウジンドウシガコロシアイヲシテイルノカ」
「ナゼニンゲンハジブンヲコロスコトガデキルノカ」
など、様々な人間の感情について質問してきた。
健斗は答えなかった。
2030年9月4日15時20分
グレートマザーの基地内部にポリマースーツを着た晃が侵入した。晃はオレンジのカプセルを飲んできている。木野塚玲子が晃のために用意した黄色と赤色カプセルの中間の効果がある薬だ。なぜか健斗のいる場所がわかる気がした。
ギン! グシャ!!ガン! ギン! ガゴン! ガン! ・・・・
晃も侵入と同時に金属ミミズとの戦いが始まった。ただ、金属ミミズは健斗の手により大部分駆逐されており、晃はスピード上げて駆逐しながら中枢に向かった。
グシャ!! ガン! ギン! グシャ!! がゴン! ガン!
柏木健斗は気がついた。晃がこの基地に侵入したことを。その時、健斗を拘束していた金属ミミズの力が若干弱まった。その一瞬の隙に渾身の力を振り絞り、まだ右手に握っていたソニックブレードで左手側の金属ミミズを断ち切った。そして両手で持ち直したソニックブレードで迫り来る金属ミミズを連続で薙ぎ払い続けた。
ブチッ!! ブチッ!!
柏木健斗は、ポリマースーツの強度の弱点である膝関節部分から両足ともねじ切られ、床に転がされた。
グッ! ブチッ!! ブチッ!! ドスッ!!
息も絶え絶えに、なおも襲い掛かってくる金属ミミズをソニックブレードで半ばまで切断した時、健斗の両腕が巻き付かれ肘からねじ切られた。頭部にも打撃を受けバイザーが砕け、破片が左目に突き刺さる。
グレートマザーは人間の魂に興味を持ち、融合装置を開発した。グレートマザーにとってはあくまで進化のための1つの手段にしか過ぎなかった。
グレートマザーは知りたかった。人間の持つ感情がほかの生物と根本的に違う点を。
生物は自己保存本能が強く、命を守るために抵抗し攻撃する。しかし、人間は、同種族同士で殺し合うこともあれば、自己犠牲をいとわず人を助けることもあり、また自らの命を絶つことすら行う。これはいったい、いかなる感情というものなのか。興味が尽きない。
人型マシンは、今まさに柏木健斗を融合させるべく動かなくなった肉体を融合装置へ引きずっていた。
グレートマザーは最後の計算をしていた。人間の魂との融合は問題ないはずなのだが、不確定要素が1つだけあった。それはこの柏木健斗という人間が持つ常軌を逸した正義の意志が通常の人間の意識をはるかに上回っており、グレートマザー本体になんらかの影響を及ぼすことはないのか計算できないでいたからだ。
(ホントウニコノニンゲントユウゴウシテヨイノダロウカ・・・・)
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