気狂隊との死闘2
特殊車両
警視庁の地下では水木警視長のお墨付きで特殊車両の開発が行われていた。
これは木野塚玲子からの依頼であり、すべては柏木健斗のバックアップのためであった。
来たる気狂隊との全面戦争時、南陽町のテロ対策室が主要ターゲットになることが水木武郎の記録からわかっており、未来に勝利するためには必要不可欠な装備でもあった。
前方部分は装甲車であり単独でも機能を発揮する。戦車と同レベルの堅牢さを誇る。全長6m、高さ3m。後方のトレーラー部分は全長10m、高さ3mあり内部は戦うための装備、武器および負傷者の緊急処置が可能な救急設備が完備されている。
エピソード2(対爬虫類人間編)リザード
2029年8月4日15時20分
南陽町のテロ対策室内にて爬虫類人間が暴れまわっていた。目的は、木野塚玲子を殺すこと。晃と健斗が応戦していた。青色カプセルを飲んで。
頭から全身を鱗のようなもので覆われ、顔は蛇のように三角に前へ尖っている。目の虹彩が縦に割れこちらを注視していた。明らかに爬虫類がベースになった改造人間だ。
ガン! ガン! ガン! バキッ! バキッ! バキッ!
俺がソニックブレードで切りつけるが鱗が固く傷をつけるのがやっとだ。ダメージは殆どなさそうである。晃が背後からスタンガン攻撃を行っている。電気ショックにより一時的に動作が止まるが、その度に激怒し動きが激しくなるので逆効果かもしれない。
命を奪う決定打を与えられず膠着状態になった。
そろそろ1時間、さすがに疲労が蓄積してきている。このままでは2人とも殺されてしまう。焦るが良い案も浮かばず何とか攻撃をしのぎ続ける。
爬虫類人間もさすがに疲れてきたのか、以前より動きが緩慢になりつつある。しかし任務が完了しないことには撤退する考えは一切持たないのだろう。人間の知性は殆どなさそうだ。
木野塚玲子から連絡が来た。壁のモニター画面越しに爬虫類人間を外に出してほしいと。外に出たら離れるように。
今までは一般人を巻き込んではいけないとこの部屋の中で決着をつけようとしていたが、玲子が対策を考えてくれたのだろう。俺たちは攻撃を受け流しながら、爬虫類人間と一緒にテロ対策室から表に出た。
ビシャー!!!!
特殊車両が爬虫類人間に液体を掃射した。武器として装備していた液体窒素だ。マイナス190度以上を誇る液体窒素はあたり一面を暴力的に凍り付かせた。
パン!
掃射を止めた特殊車両から降りてきた木野塚玲子のPS31型が火を噴く。
ガシャーン!!
その瞬間、爬虫類人間は粉々に砕け散った。
玲子がロングストレートの黒髪を翻し振り返った。自慢気な笑顔とVサインで。
疲れ果てた俺たちは路上に蹲ったまま、苦笑いするしかなかった。
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