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テロ対策室

対テロ対策室

2029年1月25日14時00分

 ここは南陽町駅から2ブロック離れた大通り沿いのビル2階である。元は心理カウンセラー木野塚玲子のオフィス。

 「こんにちは玲子さん。健斗を連れてきました。」

 「いらっしゃい。早速打ち合わせするわよ。」

 俺は、晃と玲子さんを交互に見やる。他の予約が入っている患者とかどうするんだよ、と思いながら。

 状況を理解した晃が説明してくれた。

 「ここは玲子さんの診療所でも何でもないよ。対テロ対策室だよ。この事務者は僕の父親に協力してもらった。警視庁長官だからある程度の融通は利くんだよね。」


 木野塚玲子女史は、普段は極秘研究施設で研究をしているらしい。そして我々との打ち合わせの時だけこのオフィスに出向くとのこと。ここは対テロ対策室だったのだ。


 このようなテロ対策室は日本の主要都市に複数存在している。非常時だけ稼働する仕組みらしい。東京には数チームある。そのうちの1つがココだ。


 PS31型(拳銃)、特殊警棒、スタンガン、閃光弾、ソニックブレード、プロテクター(防弾チョッキ)なども用意されている。そして各種トレーニングマシンがずらり用意されていた。

  しかし、いくら装備があっても基礎体力がついても、実際は肉弾戦が出来ないと戦えない。

そこで、少林寺拳法をベースにした打撃技と関節技のレベルを上げることにした。柏木健斗は、大学時代2年間だけ少林寺拳法の道場に通い黒帯を取得していたのだ。


2029年1月30日14時00分

 警視庁長官室の水木陽一はある人物の訪問を待っていた。

 「お久しぶりです。木野塚さん。」

 「お久しぶりね。陽一君。警視長になったのね。お父様の自慢の息子ですものね。」

 お互い対面にソファに座っていたが、しばらく見つめたまま無言であった。


 水木陽一は壮年の警察幹部であり、射撃の腕前は今でも衰えていない。

 木野塚玲子はというと、漆黒のストレートヘアと理知的なメガネをかけ、純白シャツに濃紺ブレザー、美脚の上にタイトスカートとエナメルの黒ハイヒールを颯爽と履きこなす30歳前半のキャリアウーマンを彷彿とさせた、男であれば誰でも1度は振り返るほどの美人である。


 水木陽一は思った。思えば父:水木武郎が殺されてから26年がたった。復讐の怨念を糧に警察に所属してからの陽一は、目の前の事件をひたすら解決し続け、時には法律を破るギリギリのことをやってでも犯人を検挙し続けた。それもこれも、現場のトップに立たない限り世界的な犯罪集団と互角には渡り合えないと覚悟した結果である。すべての行動があの日を起因としていた。


 木野塚玲子は思った。あの日、水木武郎が殺されてから26年がたった。あの日、私は一命をとりとめた。それは神のいたずらか、私の体の内臓器官が左右逆だったから。そうでなければ間違いなく絶命していた。生きていることがわかれば、また命を狙われるのがわかっていたので、世間には死んだこととして公表し、顔を変え生きることにしたのだ。

 そして日本の秘密研究機関にて人間と人工知能(AI)の融合についての研究に没頭した。すべては水木武郎が書き残した書類を元に・・・・。


 長い沈黙を破り、木野塚玲子がおもむろに言った。

 「彼が来たわ。晃君が連れてきた。まず、間違いないだろうと。」

 「あなたはどう思ったのですか。玲子さん。」

 「私が見た限り、洞察力があり、判断力、分析力、決断力も高い。なにより勘がいい。

しかし、正義の心、意志の強さは見ただけではわからないわ。実際の行動を見てみないと。」

 「そうですか。」


 しばらくお互い何も言葉を発しなかった。

 「ついにこの時が来たのですね。」

 「そのようですわね。」


 お読み頂き、ありがとうございます。

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 嬉しさのあまりモチベーションが上がり、更新も早くなりそうです。

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