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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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南瓜

「ユリ様ごめんなさい!」

「ん?なに?」

「すっかり眠ってしまいました」


うなだれながら謝るリラをマーレイが唖然として見ていた。


「休憩しなさいと言ったのは私よ? これからアイスクリーム作るからまた用意をお願いね」

「はい!!」


休んでいたのを挽回するかのように、リラはてきぱきと用意を始めた。

そばに来たマーレイが、「大変申し訳ありませんでした」と謝るので、「午前中働きすぎた分、休んでもらっただけだから問題ないわよ?」と説明しておいた。

この店での午前中は14:00までを意味する。

実際、リラはとても良く働いてくれて大変助かっている。


少し寝ぼけたユメが降りてきた。


「アイスクリーム作るにゃ?」

「ラムレーズンとカボチャよ」

「作るにゃ!!」


突然目が覚めたようにユメが元気になった。


「ラムレーズン9回、カボチャ2回、ココット詰め50、大デッシャー90、中デッシャー60でよろしくね」


「はい!」「はいにゃ!」

「かしこまりました」「了解」


お店の様子を見ながらアングレーズソースを作り、そろそろと思い、蒸し器を火にかけた。


リラは、アイス箱のハンドルを回さず、店内の片付けをしてくれた。ユリは特に何も指示しなかった。

こういうところが優秀だ。


アイス箱を覗くとそろそろ良い頃なので、ラムレーズンを加えた。ラムの香りが漂う。

マーレイがとても良い顔をしていてユリは思わず笑いそうになった。


ユリは、小分けは任せて次の分をセットし、ハンドルを回した。

すぐに、詰め終わったリラとユメがハンドルを交代してくれた。

リラは、アイスデッシャーの水を交換したり、できあがった皿を冷凍庫にしまったりしながら作業してくれるので、とてもやり易い。


デッシャーの作業も終わり、丁度ハンドルも重くなってきたので、男性陣が交代した。


「リラちゃん、包丁は使える?」

「大きいナイフの事ですか?」

「そうね。これだけど」


ユリは、手に持っていた包丁をリラに見せた。


「多分大丈夫だと思います」

「無理しないで、出来ないことは言うのよ?」

「はい」

「じゃあ、カボチャの皮を一緒に切ってくれる?」

「はい」


「手伝うにゃ?」

「カボチャの皮を型抜きで抜いてくれる?」

「わかったにゃ」


ユリは小さい星形をユメに渡した。


そろそろね。とラムレーズンを加えアイスクリームができあがった。


「はい、一旦中断してアイスクリームを詰めてください」


リラとユメが作業を中断してアイスクリームを詰めに戻った。


ユリは残っていたカボチャの皮を落とし、蒸し器にカボチャと星形の皮をいれた。



最後のアングレーズソースが出来上がり、ユリは少し暇になった。


2階から王林のりんごジュースを5つ持ってきて皆にすすめた。

3人分はコップを用意したが、ソウの分はどうしよう。と考え、あ、私も飲むから要らないわね!とソウにはそのまま手渡した。


意外にも、ユメはペットボトルのまま普通に飲んでいた。

リラが真似しようとしてこぼしていたが、マーレイもペットボトルのまま飲めるようだった。

後から聞いたら、細い口から飲む酒があるそうだ。


「ユリ様、これはなんですか?」

「りんごジュースよ」

「おーりんにゃ」

「王林という名前のりんごのジュースなのよ」


「この絵はりんごなのですね。知っているりんごと色が違います」

「王林は、緑色のりんごなのよ」

「赤くならないんですか?」

「そうなの。美味しい時期になっても緑色なのよ」

「あんまり美味しくて、赤くなったらすぐに食べられちゃうから赤くならないのかな?」

「え?」


ソウはぎょっとしていたが、ユリは微笑んでいた。

リラが初めて子供らしいことを言った気がする。


「リラ、詩人だな」


ソウが理解の及ばないものの対応をしだした。話題を変えなければ。


「さあ、次のいきましょう」


ユリはお店を見に行き、最後の客と少し話をしてから戻ってきた。


まだ6時前だが、5:45以降に来る客はいないので、店を閉めた。

客は、明日のラムレーズンを楽しみにしていると言って帰っていったのだった。


ユメがハンドルを交代し、ソウが回していた。

少ししてラムレーズンを足し、3回目ができあがった。


ボールにあけ、小分けしてもらう。

ユリは次の分をセットし、ハンドルを回す。


詰め終わったユメとリラに交代し、ユリは蒸し器を見に行った。


竹串を刺すと良い具合に蒸し上がっていたので、裏ごしを始めた。


ふと視線を感じて後ろをみると、マーレイがカボチャをみて引きつっていた。

そんなにも嫌いなのねぇ。


ハンドルを交代したらしいユメとリラがこちらに来た。


「リラちゃんもユメちゃんと一緒に型抜きをしてもらえる?」

「はい」

「ユメちゃん、星形は大変そうだから他のでも良いわよ」


ユリは、小さい型抜きを沢山出して見せた。


「わー!すごい!」

「すごいにゃ!」

「カボチャのアイスクリームに使うから60個は用意してね」

「はい」「わかったにゃ」


出来上がりそうな所にラムレーズンを足して、アイスクリームが出来上がると型抜きは一旦中断してまたアイスクリームを詰める。


作業を繰り返し、とうとうカボチャアイスクリームを作ることになった。


計算上は普段の2/3のアングレーズソースと生クリームに、カボチャ半分(約700g)をたせば、ココット20個くらいになるはずなのだ。


結果、中デッシャーで52個分あった。

次に回すと大デッシャーで換算しても22デッシャー分もあまる。あの3人組が3つずつ食べても10個以上残る。


「カボチャ、大デッシャー10個作ってください。家内分詰める前に、マーレイさんにスプーンで一口食べてもらって、食べられそうだったらマーレイさんの分を作ってください」


スープと違ってアイスクリームのカボチャは美味しいとの事で、マーレイの分も作ることになった。

料理が甘いのが苦手なのね。そういう知り合いが昔居たわぁ。


家内分は、カボチャが13個でき、ラムレーズンは15個できたそうだ。

どちらも1人3個ずつらしい。

カボチャの皮の飾りもちゃんと飾ってあった。

分け前をもらったマーレイだが、美味しくても沢山は要らないらしくどうしようかと悩んでいたので、名前書いておいて次に来たときに食べたら良いですよ。と言っておいた。


忘れているようだが、クッキー&クリームもある。

黙っていようと思ったら、ソウが思い出したらしく、3人組はクッキー&クリームも3個ずつ食べるそうだ。


よく9個も食べられるなぁ。とユリは感心しながら温かいお茶をいれてきた。


「ご飯食べていってください。何が良いですか?」

「ハンバーグは食べたから、グラタンにするにゃ」

「グラタン食べたいです」

「あわせるよ」

「皆さんと同じで」

「じゃあ、グラタン持ってきますね」


皆にはテーブルについてもらい、冷蔵庫の冷たいお茶をリラに用意してもらった。

ユリは、茹でてあるマカロニと、グラタンの作りかけの鍋を温めて5皿のグラタンを作り、チーズをのせてバーナーで焼いた。

釜の火は既に落としている。


「はい、一番熱いのがソウ、次に熱いのがマーレイさん、はい、リラちゃん、これは一番冷めていると思うからユメちゃん。食べ足りなかったら言ってくださいね」


リラは指示しなくてもスプーンを用意してくれていた。


釜焼きではないのでそれほど熱くもない。

食べやすいくらいの温度なのでユメ以外は直ぐに食べ終わった。


「今日もお疲れさまでした。解散します。また明日お願いしますね」

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