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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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休憩

厨房に戻ると、リラとユメが仲良く葛切りを食べていた。

ユメの分まで作ってくれたようだ。


「上手にできた?」

「美味しいにゃ!」

「できたと思います」

「良かったわね」


ニコニコ食べている二人とも可愛い。


今日のランチはハンバーグorグラタン。

セットは冷茶とブルーベリーアイスクリーム


「さ、食べ終わったら開店の用意よ」

「はい!」

「手伝うにゃ!」

「あら、ユメちゃんも手伝ってくれるの?どうもありがとう」

「来た人を見かけたときだけで良いので、『いらっしゃいませ』って声をかけてね」

「はい!」「はいにゃ!」


お店をオープンする時間になり、続々と来店する。


配膳や、一巡目以降の注文を任せると、作るのがとても楽だった。

早く帰った人の後に来た人に、即対応できる。


一段落して店に出ると、声をかけられた。


「今日は美人三姉妹で、にぎやかで良いな」

「どうもありがとうございます」

「ずっといるの?」

「ユメちゃんはお手伝いですが、リラちゃんはここで働くことになりましたので、毎日いますよ」

「美人が増えるのは良いね!」


早速リラのファンができたようだ。

笑顔を絶やさずハキハキと対応し、キビキビと働くリラは、とても魅力的だ。


ユメは、カトラリーを揃えたり食べ終わった食器を下げたりしてくれている。


ランチが終わるころ、二人に食べたいものを聞くと、二人ともハンバーグだった。

ランチはトレーのお代回収なので、お釣りなどの手間がほとんどない。


最後の食器を片付け終わった二人に、「お疲れさま」と、ハンバーグランチセットを提供した。二人のことだから黒糖アイスクリームが食べたいだろうと思って、2色盛りの方を持ってきた。


ユメもリラもアイスクリームから食べ出す。

やるかと思ったけど、お腹空いているから全部ちゃんと食べられるだろうと思い、注意しなかった。

ついでに持ってきた黒蜜をテーブルに置いた。


「黒蜜かけて良いわよ」

「やったにゃ!」

「わー!ありがとうございます」


その小さなアイスクリームにそんなにかけたら甘すぎないんだろうか?と、ちょっとユリが心配になるくらい、二人ともたっぷりかけていた。


ハンバーグランチセットを食べ終えた二人に、「まだ食べられるなら、残っている抹茶アイスクリームを食べても良いわよ」と声をかけると、ボールに入ったままの抹茶アイスクリームの残りを二人で平らげていた。


「温かいお茶飲む?」

「欲しいにゃ」「はい」


ユメは直ぐには飲まないけど、温かいカップを握っていた。

リラは直ぐに飲み、「ごちそうさまでした!」と言っていた。


「リラちゃん、休憩するなら内倉庫前の長椅子で寝てても良いわよ」


畳にしたら三畳程度だけど、休憩室がある。


「ユメちゃんは休憩するならお部屋で寝てらっしゃい。アイス作るときには声かけるわよ」

「わかったにゃ」


ユメは2階に上がっていった。

考えていたらしいリラも決まったようだ。


「少しだけ休んできます」

「仕事の時間には起こしてあげるからしっかり寝てて良いわよ」

「はい」


疲れているだろうとユリは二人を休ませることにしたのだ。初めて客がいるところで四時間半も働いたのだ、疲れているに決まっている。


アイスクリーム期間のおやつタイムは、食べすぎた客が温かいお茶を頼むくらいしか突発の注文はないので、仕事的には楽なのだ。


おやつタイムが始まってもユリは二人を起こさなかった。


「あれ?美人三姉妹がいるって聞いてきたんだけど?ご飯時だけなの?」

「今日が、初日なので今休憩に入ってもらってます」

「明日からは居るの?」

「疲れ具合をみてですかねぇ」

「とても良い店主だ。奉公人は幸せだな」

「それはどうも、うふふ」


ユリはいつもより一時間早くアイスクリームを作り始めようと考えていたので、二人を起こすのは5時前くらいである。


いつもならランチの洗い物をしながらおやつタイムを乗り切るのだが、リラが全部洗ってくれたので、アングレーズソースを作っておくことにした。11回分だ。


4時過ぎ、ソウが帰ってきた。


「ただいま」

「あら早いのね。お帰りなさい」

「アイスクリーム、早く作るって言ってたから」

「ありがとう。5時ごろ始める予定よ」

「あれ?リラは?」

「ランチ、頑張ってくれたから今休憩に入ってもらってるわ」


「どうだった?」

「リラちゃんのこと?」

「うん」

「優秀よ。一回言ったことは忘れないし、同じ系統の作業はどんどん進めてくれるもの。とても楽よ」

「そうか。よかったな」

「うん!本当にありがたいわ。それに、ユメちゃんも朝から手伝ってくれてたのよ」

「あー、俺の誘い断ったしな」


あれ、本気だったのね。と、ユリは若干あきれながらも笑っていた。

10歳くらいに見える子供を連れ回したら色々ダメでしょう?とユリは考えていたが、24歳のユリだって、年齢を知らないこの国の人たちからは14~15歳に見えているのである。


ちなみにソウは年相応(25~26歳)に見えている。

パープル侯爵夫妻と王族と公爵と一部の侯爵はユリの年齢を把握している。


そろそろ起こそうかと思った頃、マーレイが顔を出した。

初日のリラを心配して来たようだ。


「今休憩に入ってもらってます。ちょうど起こそうと思っていたので、マーレイさん、リラちゃんを起こしてもらえますか?内倉庫前の休憩室に居ると思います」

「かしこまりました」


「ソウ、ユメちゃんを起こしてもらえる?」

「了解ー!」


ユリはレーズンをザルにあげながら二人に頼んだ。


少しして、戸口のマーレイを押し退けるようにリラが走ってきた。

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