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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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挽肉

ラベンダーが見学を希望しているようだが、私は良いが、許可するべきかどうかがわからない。


「あ!そうだ、ラベンダーさん、多分パープル侯爵に購入を依頼するものがあるので、是非見学してください。料理人からは高くて頼めないと思うんです」

「そのようなものが?」

「ハンバーグのお肉を細かくする器械です」

「それはとても興味があります!」


サリーも頷いていた。


割烹着を脱ごうとしたラベンダーをサリーが止めた。


「お嬢様、ドレスでは他家の料理人が緊張しますので、割烹着のままで見学されてはいかがでしょうか?」

「そうね。邪魔したいわけではないからそう致しましょう」


サリーが料理人たちを呼びに行った。


料理人たちは、各家とも料理長は同じで、助手が代わっているようだ。


「ユリ・ハナノ様、よろしくお願いします!」

「はい、今日もよろしくお願いします」


今日も実践はしないつもりらしい。


「今日は手伝っていただこうと思っています」


皆ちょっと驚いた顔をしている。


「まずは、お肉の加工です。こちらの器具を使用します」


ミートミンサーを3つ取り出した。


「デザインの違いは工房の違いで、これらは同じ用途の物です。ミートミンサーといいます」


「牛肉7:豚肉3の割合で、肉100g相当のハンバーグを作ります。最低でも12人前必要です。牛肉840g、豚肉360gを使い作ります。2家で4人前ずつ仕込んでください」


「固まり肉を3~4cm角程度に切り分けてください。

用意した玉ねぎでみじん切りを作って、しんなりするまで炒めておいてください」


ユリはサリーに助手をしてもらい玉ねぎのみじん切りを炒めていた。

ラベンダーはおとなしく見学している。


「玉ねぎが炒め終わったら、挽き肉を作ります。ミートミンサーが3つあるので、牛肉2箇所、豚肉1箇所で挽き肉を作りましょう」


ユリは、ミートミンサーをテーブルにセットした。

刃は既に組んである。


「切ってもらった肉をこの上のところに入れて、このハンドルを回すと、こちらから挽き肉になって出てきますので、ボールなどをおいてください。やってみてください」


恐る恐る肉を投入し、ハンドルを回す。


「うわー!こんなに簡単に細かい肉が!!!あの苦労はなんだったんだ・・・」


パープル侯爵家の料理長が盛大に嘆いていた。


「気が済んだ人はニンジンのグラッセ作りを手伝ってください。手が空いたらブロッコリーも茹でてください。ジャガイモの細切りも作ってください。これらは12人前です」


ユリはニンジンのグラッセを作る。

数人でニンジンを切って面取りし、水から茹でる。

完全に火が通り柔らかくなってから調味料を加える。


「サリーさん、パンだけ用意してもらえますか?」

「かしこまりました。召し上がるときにお持ちします」


ラベンダーがやりたそうに見ていたので、こっそり呼んで、ミートミンサーを体験させてみた。

小さな声で、楽しぃー!と喜んでいた。


パープル侯爵家の料理長らはラベンダーに気がついていたが、お揃いの割烹着を着ているためか他の料理人たちはユリの連れてきた助手かなにかだろうと思ったようだ。


「玉ねぎが冷えたと思うので、始めたいと思います。牛挽き肉280g豚挽き肉120gを量ってください。残りをください」


サリーが残った挽き肉を持ってきてくれた。少し多めにあったようで、量ってみると牛挽き肉360g、豚挽き肉220gある。どうしようかと考えていると、余るようなら避けておいてくださいと言われた。

普段ならこのくらいの誤差は加えてしまうが、教えている立場上あまり適当にはできない。


「実際作るときは大量だと思うので、厳密に7:3にする必要はありませんが、今日は量って作ります」


「ボールにパン粉を入れ牛乳で柔らかくします。

冷えた玉ねぎ、挽き肉、卵、塩、胡椒を加えて、手で良くこねます。ナツメグ等、その他の香辛料を加えても美味しいですが、今日は最低限で作ります」


4人前を作っているので、2家が一緒になって作っている。そのため、 代わる代わる肉をこねているようだった。


「4等分して軽くまとめてください」


サリーが手伝いたいようだったが、任せて良いのかわからなかった。

でも、自分の分なら作っても良いかな?と思い、サリーに聞いてみることにした。


「サリーさん、自分の分、まとめてみる?」

「良いのですか!?」

「自分で食べるなら問題ないでしょ」

「はい!頑張ります」


ラベンダーもやりたそうだったが、さすがにやらせたらダメかなぁと思った。


「まとめたら、軽く手の間で投げるようにして中の空気を抜きます」


ぺちぺちと肉のキャッチボールをする。


「肉を整形します。楕円形にして真ん中を潰すようにします。焼けると中央に寄ってきて膨らむので、必ず真ん中を潰してください」


意外とうまくできないようで、まとめてキャッチボールからやり直したりしている。


ユリはさっさと3人前作りフライパンに並べた。

やっとできたらしいサリーがお願いしますと持ってきた。


料理人たちは各自が作ったので、大きさがバラバラである。

丸すぎるものだけもう少し平らに潰すように指導した。


「どなたか、目玉焼きを12こ作ってください」


名乗り出た人に任せた。


「はい、では中火・・・強すぎない火力で焼いていきます」


料理長4人が交代で焼きかげんを見るらしい。


「油が出てきて焼けてきたらひっくり返します」


どうやら自分の分は自分でひっくり返すらしい。

目玉焼きを焼いていた人が交代した。


「少し遠火にして、蓋をして蒸らしながら焼きます。焦がすのが心配なら水を加えて蒸し焼きにすると良いです」


ユリは、フライパンに水を加えて蒸し焼きにする。


「別鍋でソースを温めます。

細切りジャガイモを塩、胡椒で炒めます。

ニンジンも温め直します」


「肉から出てくる汁が透明なら焼けています。串などを刺してみると分かりやすいと思います」


「全てを皿に盛り付けます。温めたデミグラスソースをかけ目玉焼きを乗せてできあがりです。ソースの配合はあとで渡します」


「向こうに1人前持っていく必要があるので、あちらで食べてきますね。サリーさんはどうします?」

「私はこちらでいただきます」

「では何かあったら呼びに来てください」

「あ、いえ、一度そちらへ伺います。ワゴンを押しますので」


それはそうか。

サリーに3人前を乗せたワゴンを押してもらい、以前食事をした場所に案内された。


ソウを呼んできてもらい、ラベンダーと3人でハンバーグをたべることになった。

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