魔法
パープル侯爵邸から帰ってきたソウが、「そういえば、アイスクリームも一緒に持っていけば良かったな」と言うのをユメが少し呆れた顔で頷きながら聞いていた。
こっちに振らないでー。ユリの心の声だ。
ユリは聞こえなかったことにするらしい。
「お疲れ様。お手紙の配達ありがとう」
「明日来るって言ってたから、開店前に来ると思うよ」
「そうなのね。ありがとう」
ソウもユメちゃんもごはん食べるわよね?今日もアイスクリーム食べまくっていたけど、別よね?
「遅くなったけど、ご飯にしましょう。ゆめちゃん、ごはん食べられる?」
「食べたいにゃ!」
「しょうが焼き、って豚肉に、生姜とお醤油と日本酒で味付けして焼いたものだけど、食べられそう?そんなに熱くはないと思うわ」
「食べてみるにゃ!」
「作るから待ってね。すぐできるから」
さっと作って皿に盛り、ミニサラダを添え、ご飯と味噌汁も盛り付けた。
「さあ、食べましょう」
「いただきます」
「食べるにゃ」
「はい、いただきます」
ユメは大きいままの肉にかぶりつき、ユリが慌ててキッチンバサミを持ってきて食べやすい大きさにカットした。
「美味しいにゃ! ユリは凄いにゃ!」
「あら、ユメちゃんありがとう」
「ユリは本当に凄いよなー。何でも美味しく作るよなー」
「あら、ソウ ありがとう」
ユメは大人と変わらない量を食べられるようになった。
見た目の年齢がそのまま現在の年齢のようだ。
「そうだ!魔力とお酒の関係って何?」
「あー、ユリには言っても大丈夫だと思うけど、どうもここの人たちは魔法の使い方を知らないようで、でも、確実に過去に使っていた形跡があって、そうすると、使えないようにされたのか、したのか、いずれにせよ教えたら不味いのかもしれないと思ってあの場では言えなかったんだよ」
「え?・・・じゃあ、ソウとユメちゃんだけなの?魔法が使えるの」
「厳密に言うと、ユリも使えてる」
「??? 私、魔法、使えないわよ?」
「それはちょっと置いといて。アルコールな、体調悪いときに、元の健康だったときをイメージして、その状態に戻りたいと思い浮かべるようにして、魔鉱石に魔力をためたときの感じで魔力を体に行き渡らせるというか、巡らせるようにすると、自己治癒で治るんだけど」
「そうなの?」
ユリは、言葉はわかるけど意味がわからないわ?と思っていた。
「ソウは治癒魔法が使えるのにゃ?」
「治癒魔法?他人に対しては使えないよ?」
ソウの返答に納得しないユメが更に聞く。
「どうやって、治したにゃ?」
治した?何のことだ?あ、もしかして。と、ソウはユメが何を言おうとしたのか察した。
「ユメの怪我のことか?」
「そうにゃ」
「あれは、魔力欠乏状態だったから魔力付与しただけだぞ? それで自己治癒が発現したんだと思うぞ?」
「そうだったのにゃ!?」
ユメは驚きすぎてしばらく固まっていた。
ソウは治癒魔法が使えるのだとユメはずっと思っていたからだ。
「今ならユリも魔力付与はできると思うよ。アイス箱に魔力を充填するイメージで魔力欠乏状態の相手に魔力付与すればできるはず」
「そうなの!?」
「ユリ、お菓子とか料理を作るとき、美味しくなれー。とか思いながら作ってるだろ?」
「うん」
「それも、魔力がこもってる。だからユリが作った食べ物は癒し効果が高い。ユリこそ、ちゃんと覚えればレアな治癒魔法が使えるかもしれないな」
「えー!」
「得意魔法ってのがあって、パワーを数値化するなら、他の人は100や200使う魔法でもその人の得意魔法は1程度しか使わず同じ効果があるんだよ。恐らくユリは癒し系の魔法が得意魔法で、なにか作るときに常に使い続けている状態なんだと思うよ」
「・・・・・・」
垂れ流しなの?穴の空いた器みたいに?
それは良いことなの?悪いことなの?
ユリが考え込んでる間にもソウはどんどん話していく。
「ユメは恐らく、変身が得意魔法だろうな。だからこそ気持ちが不安定だと、思ったように変身できなくなったりするんだと思うよ。ユメの基本は人の方だろう」
ソウは自分の得意魔法については語らなかった。
ソウの得意魔法は転移ではないのだが、ユリは転移だと思い、この時は疑問に思わなかった。
「私も練習したらソウやユメちゃんみたいに魔法が使えるようになるの?」
「使いたい魔法があるのか?」
「ユメちゃんがソウを呼んだ魔法」
「以心伝心にゃ」
「あ、俺も知りたい」
「伝える相手を思い浮かべて、心から伝えたい言葉を心のなかで叫ぶにゃ。魔力をいっぱい使うにゃ。文字数が多いと倒れるにゃ」
「あー」
「気軽にお話はできないのね」
「転移の方が楽にゃ」
「えーー!!」
「ユメ、転移できるのか?」
「大きくなったらできるようになったにゃ」
「ユメちゃん凄ーい!」
「ユメ、アルバイトしないか?」
「ユリの手伝いの方が良いにゃ」
「俺もそれが良いー」
「えー?」
「ははは」
◇◇◇◇◇以下資料
魔力と魔法と回復と考察
◎魔力 開始時→現在→(未来)
子 供 5p~15p(10歳以下)
一般人 5p~30p(10歳以上)
貴 族 150p~300p(10歳以上の植物名)
転移組 300p~600p(植物の家名)
リ ラ 150p→(300p)
マーレイ (150p)
ユ リ 900p→3000p→(?????)
ソ ウ 1500p→5000p→(?????)
カエン 30p→750p
タキビ 15p→(30p)
花 蓮 1200p
槐 900p
昔の貴族 900~30000
初期→後期
黒猫 5p→15p(100p魔力付与)
幼女ユメ 100p→170p(300p)
少女ユメ 500p→900p
(?????) (?????)
(?????) (?????)
◎魔法
ユメ変身 1p(服込み)
以心伝心 10p(1文字につき)
無言の誓 100p(送る側)
無言の誓 1p(受ける側)
ユリの癒 1p(自覚無く振り撒き中)
自己治癒 100p(3時間以内の不調)
300p(6時間以内の不調)
転 移 体重以下 350p(距離制限なし)
体重以上 1kgにつき+10p(距離制限30km)
簡易結界 20p(一日分)
多重結界 200p(一日分)
広域結界 200p(一日分)
永年結界 (?????)p(約300年)
ゲート 600p(結界破り・結界通過)
大ゲート 300p×6(結界破り・結界通過)
ユメ用の扉は、魔力登録ゲートである。
ユメが通る度に、ソウの魔力を1使っている。
ソウ
得意魔法 1p(多重結界・広域結界・ゲート)
得意なのは転移より結界やゲート
カエン
御告げ 700p(簡易予知後4 時間寝込む)
結界 1p(簡易結界)(得意魔法)
(回復は1時間に5p 聖地では無い為)
魔力があっても、適正がある物しか魔法は覚えられない。
教えられても全ての魔法が覚えられるわけではない。
ソウは予知系、癒し系は覚えられなかった。
以心伝心は使えるが、助けを求める相手がいないため、使うに至らない。
ユリに覚える気があれば、治癒系全般、結界系、転移、以心伝心は使える。
攻撃系の魔法は詠唱を必要とし、詠唱の文言は失われている。
得意魔法は、フルネーム植物名、もしくは、3つ以上の植物名でなければ授からない。
得意魔法は、10歳までに一番必要と感じていたものを授かることが多い。
◎魔力充填 起動 フル充填
小型冬箱 100p(24時間 100p×2)
大型冬箱 200p(24時間 100p×2+100p×2)
小型真冬箱 300p(24時間 100p×3+100p×3)
大型真冬箱 600p(24時間 100p×6+100p×6)
大型試作機 300p(6時間 100p×3)店のアイス箱
アイス箱 10p(1回30分 5p×2)完成した製品版
小型夏箱 100p(24時間 100p×2)
魔鉱石 100p 50p 10p 5p の種類有り
販売は 100p=10000☆ 5p=500☆
魔力買い取り=50%(魔鉱石無し)
空の魔鉱石=15%(100p用なら1500☆)
1000pや500pの魔鉱石もあるが、誰も充填できない為、店で置物になっている。
充填は、光るまで(満タンまで)入れないと使用できず霧散する。
特定転移装置 起動500p(領地⇔王城)
50kgまで+1kgにつき+10p
体重が知れるため女性は嫌忌している
手紙転移装置 起動5p(自領地→他領地)
500g程度まで
FAXのような仕組みで文字内容しか送れない。
◎回復
自然回復 1時間2p程度(一般人)
1時間10p程度(貴族・植物名)
1時間50p→100p→(?????)(ユリ)
1時間100p→(?????)(ソウ)
1時間1p→10p→50p→(?????)(ユメ)
食事による魔力回復
植物を食べる 0.25~0.5時間分回復
一般の料理 0.5~1時間分回復
一般のお菓子 1~3時間分回復
ユリの料理 2~5時間分回復(癒し入りの為)
ユリのお菓子 3~12時間分回復(癒し入りの為)
(入っている甘味と植物の種類が多い方が効果的)
※同時に食べた場合、一番数字の大きい物
ユリが作った食品
砂糖を沢山使ったもの3 (←3時間)
砂糖を少し使ったもの2
植物素材1種類につき1
黒糖を沢山使ったもの5
1人前を食べた場合
アイスクリーム3~6 (←3~6時間)
シャーベット3~4
葛切り(黒蜜付き)6
くるみ餅6
リーフパイ4
パウンドケーキ10
黒糖パウンドケーキ12(非売品)
ユリ以外が作った食品は、上記の1/2~1/4程度の回復
魔力は容量いっぱいになっても溢れることはなく、使わなくても自然に返るだけである。ただし、使わないと個人の容量は増えない。
魔力が発現するのは10歳頃からのため、10歳を越えると、魔鉱石に魔力を貯める練習を始める。
魔力の残量が総量の1割りを切ると、体が重く感じる。
使い切ると、1割以上に戻るまでしばらく動けなくなる。
大きな魔術を使い、魔力が不足していると、生命力を削ってしまい絶命することもある。
ユリが店で見た魔力家電(魔動力器具)の冬箱と真冬箱は、埋め込みタイプだったが、電池タイプの製品もあり、充填した魔鉱石を取り替え使用する。
アルストロメリア会に行くと朝早くから貴族が揃っているのは、初日はともかく、2回目からは、前日から泊まり込んで皆で充填しているからである。
小型機は、充填するとすぐ発動だが、大型真冬箱は充填を貯めておいてスイッチで発動を開始できる。