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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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限定

今日からアイスクリーム月間が始まった。

ランチにもセットはアイスクリームがつく。

スプーンさえ添えれば出せるようになっているので簡単だ。


「はじめて食べた!」

「これが噂の!」


意外と、食べたことがない人もいたようで、ランチのみで、おやつには来ない人もいるのだなと感じた。


結果、ランチは70食出て、その全てがセットだった。アイスクリームは20食余った。

余っているランチを食べながらおやつタイムのおすすめを書く。


そういえば、ランチで引き換える人が来なかったわ。

皆、気を使ってくれたのかしら?


◇ーーーーー◇

おすすめアイスクリーム

バニラ&シャーベット 500☆(限定50)

バニラ大のみ     500☆(限定20)


温かい紅茶セット プラス200☆


お土産

バニラアイスクリーム 500☆(限定19)

◎真冬箱をお持ちください。

予約した方は、予約券をご提示ください。


◎きれいに洗ったココット3つ返却で、パウンドケーキを1カットさしあげます。

◇ーーーーー◇


さすがにアイスクリームをそのまま持ち帰るのは無理なので紙袋にいれた。


おやつタイムを開始すると、 引き換えだけに来る人が多かった。

どうしてだろうと考えたが、そうか、個人の馬車で来ているからすぐ帰るのか!と、思い当たった。


さすがに真冬箱を背負ってでも来るという強者は居ないようだ。ちょっとだけ期待していたのに。ふふふ。


紙袋を見ると、請求していないのに、皆、紙袋代を払ってくれた。

今回は金額を事前に明示していたにもかかわらず、少し多く払おうとする人が結構な割合でいて、断るのに難儀した。


引き換えだけの人が落ち着くと、店内でおやつをする人で席が埋まり出す。

ほとんどの人は2種盛りで、2~3人が、バニラのみの注文だった。


「シャーベットとは、さっぱりしておいしいアイスクリームなのですね」

「シャーベットが、これほど美味しいアイスクリームだとは!」


シャーベットはシャーベットであって、アイスクリームじゃないんだなぁ。と思ったけれど、聞かれた訳じゃないので黙っておいた。


2種盛りを注文した人の内、結構な数の人が、シャーベットを予約していき、残っていた65枠の内、54枠が埋まった。

これなら充分である。


問題は、予定しておいてなんだけど、アルコール入りのラムレーズンよね。

ランチ時は諦めるとして、おやつでなら出しても大丈夫かしら?

うーん。

そうだ、マーレイさんとローズマリーさんに聞いてみましょう!

ユリは、この国の人に判断を委ねることにした。


売り切れること無く営業が終了し、マーレイとリラが来た。


「今日は、昨日言ったイチゴのアイスクリームを作りますが、先にラムレーズンのアイスクリームを2回分作ります。それで、意見を言って欲しいです」

「はい!」

「かしこまりました」


リラの声が聞こえたのか、ユメが2階から降りてきた。


「アイスクリーム作るにゃ?」

「今から作りますよ」


リラは慣れたもので、昨日と同じ用意を言われる前に始めた。

本当にリラは優秀だ。


「質問があったら遠慮なく言ってくださいね」

「はーい!」

「わかったにゃ」

「かしこまりました」


ユリはラム漬けのレーズンを用意して、アングレーズソースを仕込みに行った。


アングレーズソースが出来上がる頃にはすっかり用意が整い、3人が待ち構えるようにこちらを見ていた。


「お待たせしましたー!」

「待ってたにゃ!」

「作り方はほとんどバニラといっしょですが、香料が入らず、最後にラム漬けのレーズンが入ります」

「はい!」

「わかったにゃ」

「では、ハンドルを回してください」


最初はユメとリラが回し、固くなってきたらマーレイが回す。


ユリは、レーズンをラム酒から引き上げ、ざるに入れた。


次の分のアングレーズソースを仕込む。

冷やす途中で様子を見に行くと、ちょうど良い感じなので、レーズンを足すことにした。


「このくらいで、レーズンを足します」


回しながら、機械の中にレーズンを加えると、少しつぶれたレーズンからラム酒の香りがする。


「ただいま! あ、もう作ってたか!」

「ソウ、お帰りなさい。今まだ1回目よ」

「ユリ様、これは中皿盛りですよね!」

「その通りよ。それで、中皿盛りは40個で、ココット詰めを10個お願いね。残りは家内分よ」

「はーい!」


2回分仕込み、家内分で11個あるらしい。


「お酒が入っているから食べるのは少しにしておいてね」

「にゃ!?」

「え!?」


ユメとリラがものすごくビックリしている。

ここまで来て食べられない可能性があるとは思わなかったのかもしれない。


「他のお菓子と違って、加熱していないからアルコール分が全く抜けないのよ」

「あー、たしかに、弱い人は酔うよな」

「それで、昼間出しても大丈夫か聞きたかったのよね」


「大丈夫じゃないか? 昼から酒出るぞ?」

「え?」

「ユリの店は酒出してないけど、他の店は昼から酒だしてるぞ?」


「そうなの?・・・コバヤシさんのお店、メニューにアルコール無かったわよ?」

「あー、まー、あそこはちょっとな」


「マーレイさん、アルコール大丈夫?」

「アルコールとは、お酒のことでしょうか?」

「そうです」

「私は大丈夫です。まれに飲まない人もいます」


()ないではなく、飲()ないなの?


「リラちゃんにアルコールが入ったお菓子食べさせても大丈夫?」

「大丈夫です。今見ていましたが、ラム酒漬けレーズンだけですので、全く問題有りません」


リラの顔がパッと輝く笑顔になった。


「ユメちゃん、お酒は大丈夫?」

「食べてみるにゃ!」

「大丈夫だろ、今のユメは魔力多いし」

「??? 魔力とアルコールって、関係があるの?」

「その話は後で説明するけど、まあ、心配しなくて大丈夫だよ」


「なら、皆食べてみてください」

「はーい!」

「食べるにゃ!」

「いただきます」

「あまり手伝ってないけど食べて良い?」

「ふふふ、ソウは不思議な遠慮をするわよね。ソウにダメって言うわけ無いじゃない」

「じゃあ、遠慮なく」


「こ、これは!」


マーレイに一番好評だった。

お酒大好きなのかな?


心配したユメもリラも、全く問題なく美味しいと言って食べていた。


実は、ユリはアルコールが苦手で、ラムレーズンのアイスクリームはあまり食べないようにしていたが、ソウが大丈夫だからというので、少しだけ食べた。


酔う程ではなかったので、直ぐイチゴアイスクリームを作る行程に移った。


「ココットにしっかり詰めたのを50個、大デッシャー小皿盛りが100個、中皿盛り中デッシャーが40個、出来上がり次第冷凍庫にいれてください」


慣れたもので、順調にイチゴアイスクリームは出来上がっていった。

最初白い色が段々ピンク色になっていく。


「イチゴの美味しそうな色になったー!」

「面白いにゃ!」


ユメとリラが楽しそうで何よりだ。


9回目が終わり、家内分も詰め終わり、イチゴアイスクリームの試食をすることになった。


「イチゴアイスクリームもなめらかにゃ」

「ほんとだ、なめらかだな」


ユメもソウも手で作ったのと比べてなめらかさに感動しているようだ。


「美味しい!イチゴアイスクリームが一番美味しいです!手伝ってよかった!」

「美味しいですね。ありがたいです」


リラとマーレイは自分が関わったことに喜びを感じているようだ。


「あ、そうだ、マーレイさん、明日パープル侯爵のところに手紙持って行って貰いたいんですが、時間とれそうですか?」

「ユリ、パープル侯爵なら、俺が持っていくよ」

「ありがとうソウ。今書くわ」


◇ーーーーー◇

真冬箱を持って、来て下さい。

ラムレーズンのアイスクリームの試食をしてもらいたいのですが、持ち運べる真冬箱の手持ちがありません。


お酒入りなので、女性でも食べられるかが知りたいです。

できればサリーさんや、料理人の方の意見も聞きたいです。よろしくお願いいたします。

◇ーーーーー◇


「この手紙をお願い」

「了解。今行ってくる」


その場からソウは転移した。


「え!ちょっと待って!」

「直接行くならアイスクリームも持っていけば良かったにゃ・・・」

「ソウ、明日用事があるとかじゃなかったのね・・・」


リラがビックリして、固まっていた。

マーレイは見たことがあったらしい。


「ソウが戻ってきても、アイスクリーム持っていけば良かったって言っちゃダメよ?」

「言わないにゃ」

「は、はい」

「かしこまりました」


「今日はこれで終了です。又、明日来られるようならお願いします!」

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