表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

674/689

勤務

早くても9時からと伝えたが、ユリが8時前に厨房に行くと、リラが待ち構えていた。


「おはようございます!」

「おはよう。あなたの家の時計は、1時間進んでいるの?」

「え、だって、向こうはもう仕事を始める時間なので、ウロウロしていると邪魔になるんです」


それは確かに気の毒ね?と一瞬思ったが、ベルフルールの営業は、今年度は明日までなので、忙しいならなおさら手伝った方が良いのではないのかと、ユリは悩むのだった。


「明日までなのでしよう?」

「あ、はい。そうですね」

「明日までは、あなたが店長なんじゃないの?」

「名目上はそうですけど、実質シィスルが回しているので、余計な口出しとかはしない方が良いと思って」


確かに、口出しされてはシィスルがやりづらいかもしれない。


「口出しは確かに良くないけど、1月いっぱい、あなたどうするの?」

「祝い紙を受け取った後は、レッド領に、ラベンダー様の所に、勉強に行く予定です」

「え!? そうなの? ベルフルール手伝わないの?」

「実は、祝い紙を受け取るのは、ラベンダー様も参加されるようなことを仰っていらっしゃいまして、ルビーレッド伯爵様が許可されたらだそうですが、これは私の予想ですけど、恐らく良いと仰るのではないかと」

「えー!」

「そう言う訳なので、祝い紙を受け取ったその日に、そのまま馬車に乗ってレッド領の予定です」


リラは唯一、ラベンダーには逆らえないらしいので、もう決定事項なのだろう。


「いつまで行ってるの?」

「10~15日くらいの予定です。公爵家の給仕をご指導くださるそうです」

「それは、習いたいわね」

「なので、私には試練なのです。少しくらいここでゆっくりしたいのです」

「?」

「まだ仕事は始めませんので、ここにいて良いですか?」

「それは構わないわよ。上に行って、本でも持ってきたら?」

「ありがとうございます!」


リラは、跳ねるように階段を上がり、本を何冊か持って下りてきた。休憩室で読むらしい。


ユリは今日の予定を書き出し、1つ思い出したことを付け加えた。


もろもろの準備をしていると誰か来たようだ。

9時少し前、まずシーミオを連れたメリッサが来た。予定表を見て、すぐユリに質問してきた。


「ユリ様、この、似顔絵マグカップの確認ってなんですか?」

「私が使っているマグカップ有るでしょ、あれ。自分用を欲しくない?」

「え、欲しいです!名前が入っているので、特注品ですよね?」

「あ、あれは、自分で絵を描くのよ。描くのが嫌なら、リラちゃんかイリスさんに頼むし、描いてみるなら工房に連れていくわ」

「わー! 描いてみたいです! リラみたいに上手くはないけど、羨ましかったんです」

「なら、ベルフルールのセリさんとカンナさんも欲しがるかしら?」

「欲しがると思います。イポミアとリナーリも絶対に欲しがると思います」


シーミオは、ユリと自分の母親が話し込んでいるので、なんだろうと思ったらしい。


「まーま、なんのおはなしー?」

「あ、シーミオちゃん、カップにお名前がついていたら嬉しい?」

「しーちゃんのかっぷー?」

「そうよ。専用のカップよ」

「うれしいー!」

「希望者で作りに行きましょうか」

「わーい!」


そこにイポミアが来て、メリッサに説明され、即参加を表明していた。


9時ぴったりにリラが休憩室から出てきた。


「リラちゃん、また焼き物工房に行こうと思うんだけど、ベルフルールのセリさんとカンナさんは、声かけたら、来るかしら?」

「なに作るんですか?」

「マグカップの予定だけど、見てから欲しい物で良いわよ」

「聞いてみないとわからないですけど、カップは欲しがっていたので、予定さえ合えば来るんじゃないですか?」

「なら、25日Sの日(おひさまのひ)の予定を聞いておいて貰える?」

「はーい。あれ? 24日ではないんですか?」

「24日は、去年と同じ足湯に行こうと思うけど、行かない?」

「行きます!絶対行きます!」


「メリッサさんとイポミアさんはどうする?」

「あし湯ってなんですか?」

「温泉はわかる?」

「行ったことはないですけど、なんだかは知っています」

「はい。私も同じです」

「温泉は、体ごと入るものだけど、足湯の場合、足だけ入るのよ。だから男女一緒に参加できるのよ」

「何か面白そうですね。参加させてください」

「私も行きたいです!」

「しーちゃんもいくー」


さあ仕事を始めようかと言うとき、リナーリがやってきた。


「こんにちは。リナーリです」

「こんにちは。リナーリちゃんどうしたの?」

「シィスルさんが、最後になるからマリーさんと2人きりで仕事したいそうです」


「リナ、今日は私とこっちで頑張ろう」

「はい」


リラが声をかけたら、安心したらしい。


「あ、私、マリーゴールドちゃんに確認するの忘れてたわ! どうしよう。結局いつ向こうに行くの?」

「婚姻の登録は今年中にするから遅くとも28日には向こうに居ないといけないって聞いています。御披露目式は、年開けてからだそうです」

「でも、忙しいわよね?」

「では、私がちょっと向こうに行って聞いてきます。ついでにセリとカンナにも確認してきます」

「リラちゃん、よろしくお願いね」

「はーい。ちょっと行ってきます」


リラが行ってしまって困っているリナーリに、姉のイポミアが今までの話を説明した。


「うわー、私も行きたい!」


リナーリも、揃いのマグカップは羨ましかったらしい。


リラは居ないけれど、とりあえず、予定の仕事を開始した。

9時半頃来たイリスが、リラが居ないことを驚いていた。


戻ってきたリラが言うには、マリーゴールドは、ユリが遠足を企画するかもしれないからと、帰りをギリギリまで遅く予定していたらしい。そして、陶芸工房では、代金を自分で出すから、リラに絵皿を描いて欲しいと言っていたそうだ。セリとカンナに至っては、食いぎみに、全部参加したい!と言われたらしい。


「みんな参加と言うことで良いかしら? 18人ね」

「ユリ、移動どうするんだ?」


どこから聞いていたのか、ソウが尋ねてきた。


「前と同じだし、足湯が馬車で、陶芸教室は転移で良いんじゃないかしら?」

「了解。18人で頼んでくるよ」

「お願いします」


「イリスさん、マーレイさんって、今日来ますか?」

「昼前には来る予定です」

「あー良かった」


ユリは、ユメの事と仕事の事で頭がいっぱいで、遠足の告知をすっかり忘れていたのだった。


仕事を始めると、リナーリが面白いことを言い始めた。

今リラがこちらに来ている、Fの日(かえんのひ)Gの日(きんのひ)のどちらか1日、ユリの店に勉強に来ると言うのだ。ベルフルールは、Fの日(かえんのひ)Gの日(きんのひ)が休みなので、迷惑でなければ来ても良いかと質問されたのだ。


「リナーリちゃん、お休みに休まないの?」

「他のお仕事は、お休みは週に1日なので、1日はちゃんと休みます」

「私は構わないと言うか、大変ありがたいけど、疲れるようならちゃんと休むのよ?」

「はい!」


「ということは、シィスルちゃんもよね?」

「シィスルもだと思います」


ユリの疑問に、リラが答えた。


「私、Sの日(おひさまのひ)にベルフルールに手伝いに行こうかしら?」

「ユリ様こそ、ちゃんと休んでくださいね!」


注文品で中断されないので、予定通り明日からのケーキ類が仕込み終わった。 参加した全員が、フルタイム勤務だった。

今年も一年間どうもありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ