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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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交代

ユリは、少し早めに戻ってきた。


「シィスルちゃん、今日はどうもありがとう。時間分のお給料の他、お菓子を買ってきて貰うからね」

「ありがとうございます。楽しみにしてますね」


シィスルは仕事を片付け、お昼ご飯を作ろうとしていた。


「シィスルちゃん、私が作るわよ」

「ユリ様、まだお昼休みではないですか。どうかお休みなさっていてください」

「うふふ、どうもありがとう。なら時間までここに座っているわね」


マリーゴールドも少し早く来たようで、準備のために今日の予定表を見ているようだった。


「ユリ様、こちらに書いてございます、キノコメレンゲとは、どのようなものでございますか?」


シィスルが笑った。


「シィスルちゃんにも聞かれたんだけど、直径2cmくらいのメレンゲと、5mmくらいの縦長のメレンゲを作って、組み合わせてキノコ型にします。クリスマスケーキの飾りに使います」

「是非作らせていただきたいと思います」

「これもシィスルちゃんにも説明したけど、時間が取れなかったら、市販品を使おうかと考えています」

「そのような市販品があるのでございますか?」

「市販品は、メレンゲじゃなくて、ビスケットとチョコレートで出来ています」


ユリの説明に、シィスルが乗り出した。


「そうなのですか!? なら、尚更 是非見たいです!」

(わたくし)も見てみたいと思います」

「ソウに買ってきて貰うわね」


丁度ソウが帰ってきた。


「ただいま。俺がなんだって?」

「ソウお帰りなさい。山のキノコのお菓子、少し買ってきて貰える?」

「構わないけど、何かあった?」

「今日、シィスルちゃんやマリーゴールドちゃんが手伝っているのよ。それで、見てみたいと言う話になってね、お手伝いのお礼も兼ねてね」

「了解。いくつか買ってくるよ」


話ながらも作っていたシィスルが、料理を皿に盛り付けた。


「あと1分有るので、ユメちゃんに提供してきますね」

「ありがとう」


「俺はどこで食べれば良い?」

「ユメちゃんの横か、厨房か」

「ユメの横は良いんだけど、店の客に影響しないか?」

「なら、厨房でお願いします」


確かに怖がる人は居るかもしれないけど、一番の理由は、色々めんどくさいのだ。ユリのそばでソウは食事を始めた。


ユリは厨房に立ち、頼まれる注文をこなし始めた。


「ユリー。キボー、おかしー、なーい」

「リーフパイが無くなったの?」

「あたりー」

「今少し手が離せないから、これが片付いたら作るわね」

「わかったー」


お店から、シィスルがイポミアを連れて戻ってきた。


「ユリ様、リーフパイ作って良いですか?」

「シィスルちゃん、ご飯食べないと」

「あ、食べてからですが、試作したいものがありまして」

「そういうのなら良いわよ」


少し手が空き、ユリはリーフパイを作ってキボウに渡した。

シィスルは、イポミアと一緒に食事をして、少し休んでから、試作を始めた。

マリーゴールドは、予定表通りに作業を進めている。


「そういえばマリーゴールドちゃん、明日はどうする?」

「明日でございますか?」

「アルストロメリア会が有るのよ。お菓子は作らないけどね」

「リラさんがご無理されないように、(わたくし)が出席するのは構わないのですが、(わたくし)が伺って、何をしたらよろしいのでしようか?」


製造の助手をするわけではないので、確かに何のために行くのかと聞かれると、答えようがない。


「そうねぇ、今日リラちゃんがしている、ユメちゃんの助手かしらね?」

「それでしたら、(わたくし)がお手伝いいたします」


リラは断われない立場なので、無理を言われたら、無理にでも動くと思われる。


「シィスルちゃん、そういうわけで、リラちゃんではなく、マリーゴールドちゃんをお借りします」

「はーいと、私が返事をして良いのかわかりませんが、わかりました。リラさんには、こちらで静かにしていて貰うことにします」

「なんなら、今日、本をたくさん持たせて帰すから、明日本を読んで静かにしていてもらうという手もあるわよ?」

「あ、それ良いですね。明日読みきれない量でお願いします」


リラは、読書の時間再びだ。


「食べ終わったにゃ。食べ終わったから、休憩するにゃ」


ユメが、食器を持って厨房へ来た。ユメは髄分とゆっくり食べたらしい。


「ユメちゃん、しっかり休んでね」

「ありがとにゃ」


イリスとマーレイが戻ってきて準備を終えた頃、リラとメリッサが昼食のため、厨房に来た。


「はい。ご飯できているわよ」

「ユリ様、上に本を見に行って良いですか?」

「帰りに5冊くらい貸し出すから、ご飯食べてから見たら?」

「はい!」


ソウは食事のあと、すぐに出掛けていった。時間指定の荷物が届く予定らしい。


「リラちゃん、明日、アルストロメリア会には、マリーゴールドちゃんを連れていくわね」

「はーい。助手としての参加が最後になりそうですもんね」

「あなたは、あまり動き回らずに、静かに過ごしてね?」

「はーい。シィスルに怒られない程度にしまーす」


洗い物をしていたマーレイが、残念そうにリラを見つめていた。


リラは食べ終わるとユリに声をかけ、又、階段を駆け上がっていった。


「シィスルちゃん、明日、大丈夫かしら?」

「本を読んでいる最中は、さすがに大丈夫だと思いますが、思いますがぁ、思いたいです」

「明日ね、今日1日おとなしくしたら通常に戻って良いけど、動き回るなら翌日も安静です。って、伝えてみて」

「はい! そのとおりに明日伝えます!」


マーレイとマリーゴールドが、ホッとしている様子だった。


ユメが戻ってきて、30分間イリスが担当した。


リラはお昼休みの時間が終わる頃、本を5冊抱えて戻ってきた。休憩室に置いておくらしい。


冷蔵庫を見ていたマリーゴールドが、わからないものがあったらしく、悩んでいた。


「ユリ様、この透明なものはなんでございますか?」

「それは、甘味(あまみ)の無い寒天です」

「何に使われるのでございますか?」

「ユメちゃんのおやつに使いますが、どうせ食べたい人が出ると思うので、たくさん作りました」

「準備万端でございますね」

「3時頃出す予定なので、手が空いたら準備しましょう」


ユリは、さっとメモを書き、必要なものをマリーゴールドに教えた。


「ユリ様! パイ少しと、ココア、粉糖、蝶豆粉、苺粉、抹茶粉、紫芋粉、南瓜粉を使っても良いですか?」

「シィスルちゃん、構わないわよ」


マリーゴールドがユリのメモの材料を揃え、その間にユリは作ってあった求肥(ぎゅうひ)をカットした。


「ユリ様、それはなんですか?」

「これは求肥よ。鮎とか、にゃんこ焼きに使ったわね」

「あ! 巻巻(まきまき)だ!」


シィスルは思い出したらしい。


「ユリ様、揃えました」


缶詰のミカンとパイナップル、茹でた赤エンドウや…黒蜜等をマリーゴールドが缶等も開けて、使えるように揃えてくれた。


「ありがとう。あとは、ソウが戻って来たら仕上げるわ」


ユリは、寒天をサイコロ状にカットした。


倉庫側の入り口から、誰かが入ってきた。

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