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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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復帰

「ユリ、お帰りにゃ。リラは大丈夫にゃ?」

「ユメちゃん、仕事進めていてくれたの? ありがとう。リラちゃんは、専門医に任せてきたわ。本人は結構元気よ」


ユメは、状況も把握しているらしい。休憩室で白衣に着替えてきたマリーゴールドが来ると、何か話しているようだった。

ユリは、ユメが用意してくれた材料の足りない物を揃え、計量を始めると、メリッサが出勤してきた。


「おはようございます。外の行列凄いですね」

「え、並んでるの? メリッサさんおはよう」

「50人くらい並んでいるみたいです」


先ほどベルフルールから戻ったときは、倉庫側の扉から入ったので、正面入口側に並ぶ人は見えなかった。メリッサは、正面入口を通る方角からやってくるので、どちらの扉から入るとしても、並んでいる人を見かけることになる。夏と違い、北側に回り込んで並んだりしないので、尚更ベルフルール側からは見えないのだ。


「ユリ、お店始められるにゃ?」

「私は構わないけど、ユメちゃんが疲れちゃうわよ?」

「私は座っているだけにゃ。メリッサを借りて良いにゃ?」

「メリッサさん、ユメちゃんの補助をお願いできるかしら?」

「はい。お任せください」


ユメは慣れたもので、4人がけテーブルにお菓子を並べ、自分は少し高い補助椅子に座り、4人同時に相手をするつもりらしい。


お客を案内すると、まずユメのいるテーブルで挨拶をし、そのまま座る人もいれば、挨拶だけで他のテーブルに座る人もいて、ユメとメリッサは大忙しだった。


「おはようございます!」


慌てた様子のイポミアが駆け込んできた。並んでいる人を見たのだろう。


「まさか、私が来る前にお店を開けるとは!」


イポミアは手を洗うと、エプロンをする前に停滞している仕事を少し片付け、それから着替えに行っていた。


「おはようございます」


なんと、イリスまで早くきた来た。


「おはよう。イリスさんずいぶん早いわね!」

「あ、あの、娘は、」

「リラちゃんなら、専門医に任せてきたから、大丈夫よ」

「ありがとうございます。父から連絡がありまして、」


イリスと話していると、階段をかけ下りる音が聞こえた。


「ユリ様ー! 戻りましたー!」


リラの声だった。ソウは、家の外に人が多すぎて、自室に転移してきたらしい。


「こら、リラ!走るな!」

「ホシミ様ごめんなさーい」


ニコニコしたリラが、ユリに駆け寄ってきた。


「リラちゃん、大丈夫なの?」

「ユリ様ありがとうございます。お医者様が、完全に治っているとおっしゃってました!」


普通に階段を下りてきたソウも、機嫌が良さそうだ。


「ユリ、完治扱いで大丈夫だそうだよ」

「ソウ、ありがとう」

「あの医者が担当だったんで、お代は要らないってさ」


あの医者とは、ユリが娘を呪いから救った医者のことだ。診察と、レントゲンを撮って、ついでに骨密度も計ってくれたらしい。

ちなみにリラは、骨折が完治した状態だったそうで、骨密度も、前回の患者に比べたら、あり得ないほど優秀だったらしい。普段から牛乳などの乳製品を多く摂取しているおかげだろう。


「リラちゃんは、レギュムさんとクララさんに無事な姿を見せて来て」

「はーい」


少し呆然と見つめるイリスにも、リラは声をかけてから、ベルフルールに走っていった。


「リラの辞書には、静養という単語はないのか?」


ソウの呆れた声に、ユリとマリーゴールドが吹き出した。


「ユリ様、大変申し訳ございません」

「イリスさんが謝るところではないから、大丈夫よ」

「リラさんがお元気で、何よりでございます」


少しすると、リラは元気に戻ってきた。


「シィスルから、休めと追い出されましたぁー。あはは」

「本当に、あなたは少し休んだ方が良いわ、と言っても何かするのでしょうから、どうしても仕事したいなら、休憩室を使って座って袋詰めでもしてちょうだい」

「はーい。少し休んでから、そうしまーす」


リラは厨房内にパイプ椅子を持ってきて、たまにマリーゴールドに話しかけながら、おとなしく見学をしていた。



「ユリ様、食事物の注文、大丈夫ですか?」

「ピザトーストかグラタンなら良いわよ。ホットサンドは午後からでお願い」

「ピザトーストの注文です。6つお願いします」

「ピザトースト6つ、了解です」


イポミアが注文を通していった。それを聞いたリラが、何かを思い出したらしい。


「ユリ様、ピザトーストは、どちらですか? ユメちゃんの方なら、猫の海苔がないと思います」

「そうなの? でも、ユメちゃんお店にいるから、海苔有っても、のせられないわよ?」

「では、私が海苔をパンチして、お店に届けます!」


ユリは一瞬迷ったが、座ったままでも出来そうなので、頼むことにした。


「マリーゴールドちゃん、申し訳ないけど、リラちゃんに海苔とパンチを用意して貰える?」

「かしこまりました」


マリーゴールドは既に海苔とパンチを手に持っており、リラに渡すだけの状態だった。

今日、朝から並ぶのは、どう考えてもユメに会いに来た人たちだ。その人たちの注文なら、ユメスペシャルのピザトーストだろう。


マーレイが出勤してきて、ホットサンドを担当してくれることになり、軽食が出揃った。


お昼近くになり、ユメ以外は交代で昼食と休憩をするが、ユメは店のテーブルで昼食をとることになり、休憩だけしっかり30分休むことに決まった。ユメの昼食の希望は、ピザトーストユメスペシャルと、ポットパイと、ホットココアだった。

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