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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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花色

今年のハロウィンは、10月27日(Tの日(じゅもくのひ))~10月31日(Mの日(つきのひ))の3日間開催すると、10月の半ばからメニューに書いておいた。女性や子供も大歓迎とも書いてある。皆、楽しみにしているらしい。


「今日から3日間のメニューは、ハロウィン仕様です。猫型のプリン類は、どれも似ているので、気を付けてください」


◇ーーーーー◇ 

本日のおすすめ


店内専用

 猫型黒ごまプリン (黒ごまの色、濃い灰色)

 猫型南瓜プリン (ブラックココア入り、焦げ茶色)

 猫型ブルーベリームース (竹炭パウダー入り、深紫色)

 ピザトーストユメスペシャル (猫型パン)

 バタフライピードリア (青色ご飯)

 お化けシチュー (玉葱、人参、紫芋、鶏肉、(かぶ))

 ホットお化けココア (ココア、マシュマロ)


持ち帰り兼用

 ポテロン (通常)

 黒ごまプリン (ココット)

 紫芋と南瓜のモンブラン

 クロ猫ッカン


持ち帰り専用

 黒猫型チョコケーキ(2~3人前)


来店サービス  ()内は担当者

 黒猫クッキー (ユメちゃん)

 ゴーストパイ (キボウ君)

 南瓜クッキー (イリス、メリッサ、イポミア)

 ジャムクッキー (ユリ・ハナノ、リラ、シィスル、マリーゴールド)

 コブウェブクッキー (ソウ・ホシミ、マーレイ)

 

お店の従業員に、「trick(トリック) or(オア) treat(トリート)」と声をかけると、来店サービスが受け取れます。同じクッキーは1人1枚まで。

◇ーーーーー◇



「ユリ様、まずは何を作られますか?」

「マリーゴールドちゃん、ゴーストパイクッキーを作ります。わかりやすく言えば、リーフパイと同じです。丸や、しずく型で抜いたパイに、小さい丸などで3か所穴を開けてから、グラニュー糖を敷いた上で、綿棒で上下に伸ばして仕上げます」

「あ、伸ばすことによって、抜いた穴が広がるのですね」

「その通り。なので、少し遊びを持たせ、大体の仕上がりの大きさが揃うのなら、出来上がりが違って構いません」

「楽しそうでございますね」

「お願いしますね」

「かしこまりました」


ユリは、手伝うつもりで早く来ているメリッサとイポミアに声をかけた。


「南瓜クッキーは、オレンジ色の南瓜、抹茶を混ぜた緑色の南瓜、ジャック・オー・ランタンの模様をつけたオレンジ色の南瓜とココア色の2層の、全部で3種類を作ります。全種類持ち歩いても良いですし、担当を決めて、分けて持ち歩いても良いです」


2人は、楽しそうにクッキーを手伝い始めた。


ユリは、シチューとドリアを仕込み、薄切りの蕪をクッキー用のお化け型で抜き、1度茹でて輪切りにした人参をジャック・オー・ランタン型で抜き、広く浅い別鍋で茹で始めた。


「ユリ、私も手伝うにゃ!」

「キボーも、キボーも!」

「ユメちゃん、キボウ君、マリーゴールドちゃんに聞いて、お化けパイを手伝ってください」

「わかったにゃ」

「わかったー」


ユメとキボウが楽しそうに笑いながら作っている声が聞こえてきた。


明日分の猫型食パンを焼き、イリスとマーレイも早めに来たので、11時から食事を取ることに決め、お店を1時間早く開けることにした。

イリスとマーレイは、ピザトーストユメスペシャルを作ってくれている。


「ユリ様、メニューに書いてございますジャムクッキーは、お作りになられないのでしょうか?」

「昨日作ったから大丈夫なんだけど、使いたいジャムがあるなら、作っても良いわよ」

「お客様にお渡しするということは、お店に出なければ、必要ないということでございますか?」

「そうね。でも、イベントだから、持っていた方が良いわね」

「オレンジ色のジャムは、何がございますか?」

「蜜柑、黄桃、杏、人参かしら?」

「人参!ジャムになるのでございますか!?」

「林檎と半々くらいで作ると、美味しいわよ」

「教えてくださいませ!」


ユリはノートを持ってきて、見せた。


◇ーーーーー◇ 

ニンジンジャム

にんじん    300g

りんご     300g

グラニュー糖  300g

レモン果汁    60ml


ニンジンは皮をむき、5mm程度の厚さに切り、しっかり茹でる。

りんごは良く洗ってから皮をむき、茹でたにんじんと共に、フードプロセッサーでペースト状にする。

グラニュー糖を加え、林檎の皮も加えて煮込み、仕上げの前に皮は取り出す。

レモン果汁を加え、しっかり混ぜ、仕上げる。

◇ーーーーー◇


「ミキサー類がない場合は、人参は柔らか目に茹でて、しっかり潰して、林檎はすりおろしてね。硬くて作業がしにくい場合は、少し茹で汁を足すと良いわよ」

「早速作ってみます」


マリーゴールドがニンジンジャムを作っている間に、ユリはクッキーの生地を仕込んでおいた。

ユリがクッキーを絞っていると、出来たばかりのニンジンジャムを、マリーゴールドがのせていく。

150個ほど作り、オーブンで焼成する。


今日の昼ご飯は、バタフライピードリアと、お化けシチューだ。

一見、ドリアの見た目は普通だが、中のご飯が青い。前回と一緒だ。

お化けシチューは、紫色のシチューに、薄い蕪で出来た白いお化けと、人参で出来たジャック・オー・ランタンが表面にのっている。味は少し甘口で美味しい。


食後には、ホットお化けココアを全員に提供した。

熱いミルクココアに、別皿に添えたお化けのマシュマロを溶かしていただくのだ。


南瓜クッキーは、イリスが緑、メリッサがオレンジ、イポミアがジャック・オー・ランタンを担当することに決めたらしい。


食事に合わせて帰ってきたソウと、マーレイに、クモの巣をおしゃれにデザインした、コブウェブクッキーを渡した。


「ユリ、これどうやって作るの?」

「クッキーに、ココアや抹茶のアイシングを塗ってから、白いアイシングのパイピングで渦巻きを書いて、竹串で中心から外へ線を引くようにすると、こんな感じになるのよ」

「へえ、ちゃんとクモの巣に見えるね」


「さあ、皆さん練習をかねて、他の人のクッキーを貰ってみましょう。レッツ、トリック・オア・トリート!」


「と、トリック・オア・トリート」


「あれ? 全員違うのを持ってるの?」

「そうね。見た目は、全員違うわね」

「ユリ、トリック・オア・トリート!」

「はい、どうぞ」

「うわ、ユリ、青いこれは何?」

「バタフライピージャムを作ったの。うふふ」


昼休みあけ、もちろんお店は大にぎわいだ。厨房は、ソウも手伝い、明日のケーキを仕込みながら、注文品を出している。



翌日、リラは自分用に、剥いた皮も煮込む茄子ジャムを作って、ジャムクッキーを作っていた。



最終日、ハロウィン当日。


「ユリ様! リラさんも、マリーも、自分用のジャムを作ったんですよね。私も何か変わったジャムが作りたいです。何か無いですか?」

「えーと、シィスルちゃん、漠然と言われても。何かポイントは?」

「リラさんとマリーはどうやって決めたんですか?」

「リラちゃんは、自分で作っていたけど、マリーゴールドちゃんは、オレンジ色のジャムは何があるかと聞いてきて、私が、蜜柑、黄桃、杏、人参かしら?と言ったら、ニンジンジャムを作ることになったわ」

「マリーだから、オレンジ色なのかぁ。ユリ様、赤紫色のジャムは何がありますか?」

「赤紫? うーん、葡萄やブルーベリー以外よね? 紫人参、紫の梅ジャム、赤玉葱辺りかしら」

「赤玉葱!? それ、教えてください!」


「赤玉葱 大1個、グラニュー糖 玉葱の重量の3割、赤ワイン 50ml、レモン果汁 15ml。赤玉葱はみじん切り、赤ワインとグラニュー糖を加えて煮込んで、レモン果汁を加えて仕上げるのよ。クリームチーズなんかとクラッカーにのせて食べるんだけど、好みで黒胡椒を振りかけると良いわ」

「ありがとうございます!早速作ります」


マリーゴールドが、オレンジ色のニンジンジャム。

リラ(ライラック)が、紫色の茄子ジャム。

シィスル(アザミ)が、赤紫色の赤玉葱ジャム。

これは、リナーリにも作らないと、可哀想なのではないだろうかと、ユリは考えた。リナーリは、亜麻だ。花色は、水色から、薄い青紫。バタフライピーを入れた青葡萄のジャムを作って、帰るシィスルに持たせたのだった。

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