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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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享受

「ハナノ様、お着替えされますか?」

「はい。着物、よろしくお願いします」

「かしこまりました」


黒留袖は、メンテナンスしてくれると言うので、預けて帰ることになっている。着付けと違い、和室さえあれば、ほとんどの人は脱ぐことはできるので、畳のある控え室に案内された。


「ハナノ様、お預かりしてあるお着替えをお持ちしました」

「どうもありがとうございます」


来るときに着てきたワンピースに着替え、脱いだ黒留袖を畳んだあと、帯と一緒に頼み、襦袢(じゅばん)足袋(たび)と和服用の下着と帯板(おびいた)帯枕(おびまくら)と紐類を手持ちの鞄に詰め込んだ。


「ハナノ様、御髪(おぐし)はどうされますか?」

「お借りした飾りだけ取れますか?」

「可能でございます」


簡単に髪を直して貰い、形を変えないまま、髪飾りだけはずして貰った。


「ありがとうございます」

「皆様のいらっしゃる控え室にご案内いたします」


部屋には、洋装に着替え、生き生きしているソウが待っていた。


「ユリ、髪は直さなかったの?」

「せっかく綺麗にして貰ったからね。皆さんは?」

「親たちはまだ来てないよ。(よう)は、荷物を取りに行った」


コンコンコン。


「はい」

「日本酒をお持ちいたしました」

「どうぞ」

「失礼いたします」


樽酒や開いている一升瓶などを、ワゴンで運んできたらしい。


「あの、このままで良いと言われてお持ちしましたが、本当にこのままでよろしいのですか?」

「大丈夫だ。運搬ありがとう」

「4号瓶の方は、冷蔵庫に入れてあるそうです。すぐお持ちしますか?」

「18本だっけ? 取りに行くよ」


ソウは、会場に戻る係の人と一緒に行ってしまった。

ユリは、持ち込まれた開いている日本酒や樽酒を、首飾りに変えていた指輪を取りだし、杖に変え、全て収納した。


コンコンコン。


(よう)です」

「どうぞー」


「あれ? ソウ兄上は居ないのですか?」

「お酒取りに行ったわ」


コンコンコン。


炎寿(えんじゅ)だ。入るぞ」

「お義父様、どうぞー」


炎寿(えんじゅ)は、司と一緒だった。


「あれ? ソウは居ないの?」

「お酒を取りに行きました」


コンコンコン。


「ユリ、居るー?」

「居ますよー」


ソウが戻ってきた。先程の係の人も一緒だ。


「失礼いたします。あれ? あれ???」


目が、樽や一升瓶を探している。


「ワゴンお返しします」

「は、はい。ありがとうございます」


首をかしげながら、ワゴンを押し帰っていった。


「おまたせー」


ドアが開いているうちに、エリカと遥も来た。


「さあ、帰ろうか」

「ソウ君、ユリさんを少し借りるわねー」


全員揃ったのを見たソウが帰ろうと声をかけると、エリカが遮ってきた。


(よう)と先に(ホシミ家に)行ってるから、ユリ1人で来られる?」

「ソウの(いえ)と、ホシミ()のお(うち)は大丈夫よ」


ユリの返事を聞いたソウは、3人を連れ転移していった。


ここは、本家と同じ敷地内ではあるが、本家邸宅とはかなり離れている商業区画だ。夏の外を歩くには、汗びっしょりになるくらいの距離がある。カエンは普段から車で移動している。


「お義父様、お義母様、カエンちゃんに会いに行くときに使うお部屋に転移してもよろしいでしょうか?」

「構わないぞ」

「是非お願い!」


ユリは2人の肩に手を置き、いつもソウが使う部屋に転移した。


「ユリ御姉様、お待ちしておりました」

「うわ、カエンちゃん、新婚旅行は?」

「休憩をしてから、参ります」


転移した部屋を出たら、カエンが待っていて、ユリは驚いた。


「ユリ御姉様、母上様にお教えになる魔法は、わたくしも習ってもよろしいでしょうか?」

「構わないけど、時間大丈夫?」

「1時間以内でしたら、問題ございません」

「あ、そうだ。それなら、フカモリさんも一緒に覚えたら良いわ」

「え、僕ですか!?」


羨ましそうにしている炎寿(えんじゅ)には、申し訳ないが、エリカとフカモリに、以心伝心を教えた。カエンと(よう)には昔教えてある。


「カエンちゃん以外は、まずは呪文を唱えてから使ってくださいね。唱えないで使うと、たぶん28文字以上送った時点で倒れます。いや、14文字かな? 段々慣らして、30文字以上呪文なしで送れるようになったら、他の魔法をお教えします」


エリカが炎寿(えんじゅ)に以心伝心を送ったらしい。

お互いに送ったこと、受け取れたことを喜んでいた。


「凄いな!」

「あ、受け取れるんですね。お義父様も試してみて出来るなら、常に呪文を唱えてから送ってください。それでも、14回が限界です。疲れたと感じたり、10回使ったらパウンドケーキを食べて魔力を増やしてください」


「ありがとうユリさん。試してみるよ!」

「ユリさん、どうもありがとう!」

「ユリ御姉様、どうもありがとうございます」

「ハナノ様、どうもありがとうございます」


「以心伝心は、許可を取った相手にのみ送ってくださいね。私もソウのところに行きますね。では、失礼いたします」


ユリはホシミ家の庭に転移した。すぐにソウが戸を開け出てきた。


「ユリ、大丈夫だった?」

「え? 何が?」

「何もなかったなら良いよ」

「向こうへ転移したら、カエンちゃんが待っていて、フカモリさんにも一緒に以心伝心を教えてきたわ」

「え、カエン居たんだ」

「うん、それでね、お義父様も、受け取れるみたいだから、呪文を唱えて送るなら出来るかもしれないって、やってみるって言っていたわ。ホシミのお義父様とお義母様にも教える?」

「あー、俺がやっても良いなら教えようか」

「はい。お願いします」


魔法の許可として、現女王(ユリ)の許可が出たので、ソウは張り切って、教えるのだった。


ホシミ夫妻と(よう)は、お互いに以心伝心を送れるようになり、カエンが居ないときなど、いつでも来て良いと話がまとまり、ユリが鞄から取り出したおやつを皆で食べ、ユリとソウは自宅に帰ってきた。


すぐに城に行き、パウローニアとメイプルに4号瓶の日本酒を渡し、ユメとキボウが居る部屋まで出向き、4人揃って自宅に帰ってきた。


買ってきた寿司は、キボウが大喜びで食べていて、ユリとユメが、サーモンをキボウに譲るのだった。

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