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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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茄子

ユリはミルクコーヒーゼリーを仕上げ、栗ご飯を炊き、茄子の豚バラ巻きを作り始めた。


「ユリ様、それはなんですか?」


シィスルが質問してきた。


「豚バラ薄切り肉で、柔らかい品種の茄子を巻いたものよ」

「焼くんですか? 揚げるんですか?」

「塩胡椒を振って、200℃のオーブンで20分ほどね。食べる人によって、辛み調味料をかけたりして食べるわね」


シィスルが羨ましそうに見ていた。


「シィスルちゃんとマリーゴールドちゃんも少し手伝って、食べていったら良いわ。今日は栗ご飯もあるからね」

「ありがとうございます!」

「ありがとう存じます」


ゆかりふりかけ製作を簡単に片付け、ユリの手伝いに来た。


ヘタを切り落とし、縦に6もしくは8等分に切り分け、薄切りの豚バラ肉を巻いていく。


「普通の茄子でも作れますか?」


リラが質問してきた。


「少しだけ皮を剥いて取り除いて、よく焼いて作れば、作れると思うわよ」

「他には何かありますか?」

「アスパラガスを巻いても美味しいわよ」

「はい、以前食べて感動したので、すぐ作りました」

「そうね、もう少し長い茄子を、少し厚目に剥けるピーラーでスライスして、豚バラ肉と一緒にくるくる巻いてね、塩胡椒して、外側がお肉なら張り付いてほどけないから、そのままオーブンで焼くと、やっぱり美味しいわよ。ズッキーニとかでも作れるわ。巻きがほどけそうなら竹串か楊枝(ようじ)を刺してね」

「それも作ります!」


巻き終えた茄子を、オーブンに入れた。

ユリは少し残しておいた2色の菊で酢の物を作り、厨房を片付けた。イポミアもイリスも、終らなそうな袋詰めを手伝ってくれていた。


簡単に片付けてあったゆかりふりかけ作りを、しっかり片付け、食事の用意をしていると、ソウとマーレイが帰ってきた。



「ソウお帰りなさい」

「ユリ、ただいま。花梨花たちに聞いてきたよ。黄色い食用菊は、いつでも用意できるけど、紫色の食用菊は、早くても9月下旬にならないと無理だって」


そう言われてユリは考えた。


「そういえば、昔読んだ本に書いてあったんだけど、紫色の菊は、10月頃からしか出回らなかったのを、ハウス栽培とかで作るようになってから、重陽の節句に間に合うようになったらしいわ」

「なら、どうする?」

「アルストロメリア会を、来月にすれば良いと思うわ」

「成る程な。それなら問題ないな」

「そもそも、まだ頼まれてすらいないからね」

「そういえば、そうだったな」


対応出来そうで、ソウも安心したらしい。


「マーレイさんも、ありがとう」

「あの、クリサン(菊之介)が言っていたのですが、この近辺で育てている菊の花も、ウルトラマリンブルー領から種を分けたものらしく、食用菊の品種があるかもしれないとのことでした」

「え、そうなの? 午前中に、菊の売り込みに来た人がいたんだけど、私は見分けられないから、飾る花として買い取ったのよ」


「食用として育てたのでなければ、食べない方が無難だよな」

「そうなのよね」

「それで、店に菊がたくさん飾ってあるのか」


スプレー菊のような小菊が、たくさんのコップに飾ってある。リラが飾ってくれたのだ。


「リラちゃんが飾ってくれたから、私がするより上品に仕上がっているのよ」

「あー」


ソウは、なにかユリの残念な話を思い出したらしい。


「さあ、そろそろご飯にしましよう」


少し時間が早かったが、お手伝い組がクッキーの袋入れを終らせていたので、食べ始めることにした。

栗ご飯も、茄子の豚バラ巻きも、菊の酢の物も大好評で、食後には、今店で売っているデザートなら好きなものを食べて良いと言い、皆自由に選んでいた。


尚、トゥリーパには、栗ご飯とミルクコーヒーゼリーを持たせた。


12時少し過ぎ、お手伝い組が食べ終って帰り、何故か早朝から並んで待っていた4人組の客に、店内を解放することにした。


「今日は12時45分ごろ開店しますが、よろしければ、涼しい店内でお持ちください」

「ハナノ様、ありがとうございます」


ユリは、厨房にいたリラに、座っていて良いと言い、サービスのラング・ド・シャと、冷茶を店内に来た客に提供した。ユメとキボウが手伝ってくれた。


「なぜ早朝から並んでいたのですか?」

「昔、来たことがあったのですが、その時は10時頃お店を営業していたので、今もそうかと考えていました」

「ランチは11時からでしたが、イベントが有ると並ぶ方がいらして、早くからお店を開けることがありましたね。朝ご飯は食べてきたのですか?」

「はい。宿で食べました」

「現在は、軽食しか提供していないのですが、お昼ごはんはどうされますか?」

「軽食を複数注文したいと思います」

「ご注文は決まっているのですか?」

「はい! ホットサンド2種類と、デザート全種類注文する予定です!」

「今日扱っているデザートは、菊花ジャムのクッキー2種類、水玉サイダー、ミルクコーヒーゼリー、アフォガートです。アフォガートは、甘めのシロップタイプや、チョコレートのソースにも変更が出来ます」


結局、ホットサンド2種類4組、菊花ジャムのクッキー2種4組、水玉サイダー4つ、ミルクコーヒーゼリー4つを注文し、お腹に余裕があったら、アフォガードを頼むということになった。


ユリが厨房に戻ると、リラがホットサンドメーカー2台で、ホットサンドを焼いていた。とりあえずコンビーフの方だけらしい。


「あなた、休まなくて良いの?」

「なんだか気の毒で」

「確かにね。アイスクリームは後だから、出しちゃいましょうか」

「はい」


コンビーフのホットサンドが焼けてから、ツナチーズのホットサンドも作った。コンビーフのホットサンドと一緒に水玉サイダーを出し、ツナチーズのホットサンドと一緒にミルクコーヒーゼリーも出した。


「そういえば、君は、昔もいた?」

「夏頃から居ました」

「やっぱりそうか! 何となく面影が残っているね」

「まあ、6年も経っているので、成長しました」

「そりゃそうだよな。我々も年を取るわけだ」


ミルクコーヒーゼリーを運んでいったリラと、楽しく話しているようだった。



ユリとリラは少しだけ休憩をし、12時45分から、店を開店させた。

サービスのラング・ド・シャはユメとキボウが配り、クッキーだけを買って帰る客の対応に、少しバタバタしている。


「クッキー、袋に入っているから、売りやすい!」


忙しいながらも、イポミアが売りやすさを喜んでいた。

店内分として、袋詰めしていない分もあるが、持ち帰りのみの客が多くて、ユメとキボウも販売を手伝っていた。


開店前からいる客に、リラがアフォガートを出すか、聞きに行った。その結果、アフォガート2つ、コーヒーシロップ1つ、チョコソース2つという注文だった。菊花ジャムのクッキーは、2種類4個ずつ店内で食べ、持ち帰りも注文していた。


昨日、菊花ジャムのクッキーの大口注文をした人が、いつ頃対応出来そうかと確認に来た。既に作り終っていていつでも引き渡せると言うと、喜んで引き取っていった。



予想以上に菊花ジャムのクッキーが売れ、ユリは余りを鞄に入れておこうと考えていたが、割りとギリギリの数しか残らなかった。


お店の閉店後、パープル侯爵邸を訪問した。

ローズマリーを呼び出し、菊花ジャムのクッキーを200個渡すと、すぐに味見をし、是非アルストロメリア会で教えて欲しいと頼まれた。材料の都合で、9月末からしか作れないことを断り、納得して貰った。

明日は、自宅に誰も居ないことを告げ、赤紫蘇のお礼をしっかり伝えてから、帰ってきた。

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