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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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準備

ユリは、朝早くからキャラメルを作っていた。今日はSの日(おひさまのひ)なので店は休みなのだが、明日の9時から来る キャラメルを包む予定の7人の仕事を作るべく、何種類か作っておこうと考えたのだ。カットして収納しておけば、取り出したときが包み時だ。基本味2回分、その他を1回分ずつ作っていた。


「ゆっくり包んで、1分間に4個出来上がると考えて、1時間包んだら、単純計算で240個出来上がることになるわね。そうすると7人いるから、最低でも1680カット必要で、それを3時間だから、5040カットは用意が必要と言うことよね?」


メモを書いて計算しながら独り言を喋っていた。


種類は12種類有るので、全てを400個ずつ作るなら、4800粒出来上がることになる。店内外で配る分を考えると、プラス基本味400個で、5200カット作ったら、理論上完璧ね!と考えたのだ。


●キャラメルAセット 基本味とお茶味などセット

内容:基本味・紅茶味・珈琲味・抹茶味・黒糖味・ココア味


●キャラメルBセット ヨーグルト味と果物味などセット

内容:イチゴ味・ヨーグルト味・バラジャム味・パイナップル味・ブルーベリー味・キウイフルーツ味


ABの2種類のセットを作り、最初の1週間は、単品は基本味、他はフルセットのみの販売。翌週から、A、Bのセットも売り、評判や要望を聞いて、単品種の販売をしようと考えている。


価格としては、

1粒  100(スター)

6粒  300(スター)

12粒  500(スター)くらいを予定している。


一旦食事に戻り、部屋の掃除をし、再度作り始めた10時くらいの事だった。


「おはようございます」

「おはようございます。マーレイさん、どうしたの?」

「ハナノ様とホシミ様に、ご相談がございまして、」

「そうなの? ちょっとソウを呼ぶわね」


ユリは以心伝心で、2階で掃除の続きをしているソウを呼ぶことにした。


『ユリです。マーレイさんが相談が有ると来ています』

『すぐ行く』


ソウはすぐに現れた。


「マーレイ、どうした?」

「はい、あの、友人の話なのでございますが」


そう言って話し出した話は、オルタンシアと言う女性に、「私に似合う花を捧げて求婚してくれればOKします」と言われ、途方にくれている友人の力になりたいと言うものだった。


なぜソウに相談なのかと言えば、オルタンシアは、イリスの遠い親戚なので、恐らく同じ言語の植物名ではないかと考えたらしい。


「オルタンシアは、紫陽花(あじさい)だな」


ソウはあっさりと回答をのべた。


「ハイドランジアさんと同じなのね。でもこの時期、紫陽花はもうないわね。それで、私に相談はなあに?」

「はい。以前食べたらしい、ミルクゼリーが又食べたいと言ったらしく、名前の花が無理なら、ゼリーを用意できないかと考えたようでございます」

「ふうん。それって、いつまでに用意すれば良いの?」

「ミルクゼリーをお作りくださるのなら、明日なのですが、ハナノ様に許可をいただき、ゼリーはリラに頼もうと考えておりました」

「うふふ。私が作っても良いなら作るわ。ミルクゼリー何個有れば良いの?」

「挨拶に、相手の家族に持っていくと思うので、5個もあれば喜びます」

「今日中に作っておくから、今日でも明日でも取りに来てください」

「ありがとうございます。何かお手伝いなどはございますか?」

「縁が波打ってるタイプのココットくらいのサイズの少し上が広がった器があったじゃない? あれ、何処に有るか分かる?」

「はい。倉庫から出しておきます。いくつ洗いますか?」

「そうね、50個くらいお願いします」


マーレイは倉庫に器を取りに行った。


「ユリ、俺も何か手伝う?」

蜜柑(みかん)の缶詰、ミルクゼリーの計量、半球型の用意、バット3枚、用意お願いします」

「了解」


ユリは、バタフライピーで濃いめの青い色水を作り、3つに分け、少しレモン果汁を加え、青、紫、桃色の色水を作った。果汁をたくさん入れると色が濁るので、液体を温め、グラニュー糖を加え、ゼラチンを加え、冷ましてから洋酒で香りを付け、それぞれバットに流し入れ、冷蔵庫で固めておく。


ソウに量ってもらったミルクゼリーを仕込み、マーレイが用意した器の方に蜜柑を入れて普通にミルクゼリーを作り、半球型にも蜜柑無しでミルクゼリーを作った。


「ユリ、何ができるの?」

「うふふ。ゼリーが固まったら、仕上げるわ」

「仕上げも手伝うよ。だから声かけてくれ」

「ソウ、ありがとう」


ソウは2階に戻っていった。


「マーレイさん、ゼリーが固まるのは2~3時間後くらいだから、14時より後に来てください」

「かしこまりました。ありがとうございます」


ユリは、ホワイトチョコレートを溶かし、水飴を加え、抹茶を混ぜ、緑色のプラチョコを作った。葉っぱの葉脈型と、クッキーの葉っぱ型を使い、100枚ほど葉っぱも作った。


ユリは再びキャラメルを作り、最初の予定数を作り上げたので、自分のタイミングで魔道具の鞄から取り出し、カットしていった。


「ユリ、昼ご飯作ったから、食べよう」

「え、もうそんな時間!? 掃除もご飯もありがとう!」


ユリが、明日のためにキャラメルを作っておきたいと言ったら、ソウとユメが、今日の家事は全部しておくと言ってくれたのだ。

昼ご飯を食べにリビングに行くと、ユメとキボウが、ソウを手伝って用意をしていた。


「ユメちゃん、キボウ君、お掃除とご飯の用意、どうもありがとう」

「よかったねー」

「いつもユリがしてることにゃ。たまには私もするのにゃ」


仲良く食べながら、ユリの方の進行具合を聞かれた。


「ユリは予定どおり作れたのにゃ? なんか途中マーレイが来てたみたいだけどにゃ、なんのようだったのにゃ?」

「ミルクゼリーの注文に来たのよ」

「そうなのにゃ?」


ユメは、ソウを見ていた。


「そうだな。俺少し手伝ったし」

「明日のおやつは、少し変わったミルクゼリーもあるわよ」

「ぜーりー!」


食べ終り、食休みもした後、ゼリーを仕上げようと厨房へ行くと、息を切らしたリラが訪ねてきた。マーレイは、リラに頼む予定だったのを断るために、理由を話したらしい。


「ユリ様ー、父から聞きました! 風変わりなミルクゼリーを作っているらしいですね。私にも教えてください!」

「今から仕上げだから、見るなり手を出すなり好きにどうぞ」

「はい!」


ユリは、バットに固めた色のゼリーを1cm角にカットし、半球型は取り出しミルクゼリーの上にのせた。リラが真似て手伝ってくれている。


「はい、この上に、この四角い色のゼリーをのせていきます」

「なんか綺麗。花みたい」

「何の花か分かる?」

「紫陽花かな?」

「正解よ。お名前がオルタンシアと言う女性に贈るそうよ。リラちゃんの名前と同じ言語で紫陽花ね」

「凄ーい!」

「明日、おやつに出すから楽しみにしていてね」

「ありがとうございます! 帰ります!」


リラは、あっという間に帰っていった。


「重ね重ね申し訳ございません」


マーレイは見ていたらしく、謝罪からの登場だ。


「謝る必要はないですよ。ゼリーはこんな感じになりました」


プラチョコの葉っぱを2枚ずつ付けて出来上がり。


「素晴らしいですね。季節に無い花を咲かせてしまうとは、本当に素晴らしいです。あの、おいくら請求したら良ろしいでしょうか?」

「1つ、500(スター)くらいで良いわ。お友達さん、うまく行くと良いわね」

「ありがとうございます。今から渡してまいります」


マーレイが、紫陽花のゼリーを5つ籠に入れて持ち出した。


ユリは、気の済むまで更にキャラメルを作り、明日に備えるのだった。

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