表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

630/689

募集

朝ご飯のあと、ユメとキボウは畑を見に行き、8時過ぎには厨房へ来た。


「ユリ、何から手伝うにゃ?」

「キボーも、キボーも」

「ちょっと、ユメちゃんもキボウ君も、まだかなり早いわよ? 少しゆっくりしたらどう?」

「ユリは仕事してるのにゃ」

「私は責任者だからね。他の人はまだいないでしょ?」


ユメは少し何か考えたらしい。


「昔の私は何時から手伝っていたのにゃ?」

「え? いつ頃の事を聞いてる?」

「世界樹の森に行く前にゃ」


結界を作る祈りに行く前の事だろうか? それともおやつを持って日参する前の事だろうか? どちらの事だろうとユリは考えた。


「10月? いえ、2月頃ね。特に忙しい日以外は、大体10時や11時頃から手伝ってくれていたわね」

「10時や11時まで、私は何していたのにゃ?」

「どこかにお出掛けしたり、お部屋にいたりしていたわよ?」


2月は、城に行ったり、ユメは色々バタバタしていた。


「キボウはどうにゃ?」

「2月頃のキボウ君なら、世界樹様のクッキー以外手伝っていなかったと思うわ」


なぜか、キボウまで驚いていた。


「ユリ、1人で大変じゃないのにゃ?」

「この時間は、準備をしたりしているだけだから、大変じゃないわよ。見たいなら見ていても構わないけど、あまり早くから頑張ると、疲れちゃうわよ?」


部屋に戻るつもりはないらしい。


「今日は何を作るのにゃ?」

「サファイアクリームソーダゼリーを作る予定よ」

「あーおーぜーりー!」

「やっぱり手伝うにゃ!」

「ありがとう。疲れる前に休むようにしてね」


ユメとキボウは、楽しそうに計量を始めていた。


ユリは、器具類の準備のあと、イーゼルにのせるメニュー表を休憩室で書き、厨房に戻ってきた。すると、ユリが書いておいた予定表にある全ての計量を終わらせたらしく、ユメとキボウは仕事を探しているようだった。


「ユメちゃん、キボウ君、何か飲む? デザートは、コーヒーゼリーならあるわよ」

「たべるー、たべるー!」

「ユリ、アイス多めでも良いにゃ?」

「構わないわよ。ゼリーだけ買って帰った人もいたらしいからね。アイスクリームはあまっていると思うわ」


ユメはアイスクリームを2つのせてコーヒーゼリーを食べていたが、キボウはアイスクリームは1つで、ガムシロップを溢れそうなほどかけて食べていた。


「キボウ君、コーヒーゼリー、苦い?」

「あまいー」

「あ、まあ、そうね。ガムシロップたくさんかけているものね。ガムシロップをたくさんかけないと、苦くて食べられない?」

「わかんない」

「もう少し苦くないコーヒーゼリーがあったら嬉しい?」

「たべるー!」

「作るのにゃ?」

「二人が計量を終わらせてくれたから、きっと時間があまると思うのよ。だから、試作してみるわね」


ユリは手早くコーヒーゼリーを10個分計量し、バットに固めた。次に甘いミルクゼリーを作り、1cm角にコーヒーゼリーをカットし、容器の半分くらいまで入れ、ミルクゼリーをギリギリまで冷やし、同じ容器に注いだ。出来上がったのは20個だ。


「コーヒーゼリーは砕いても良いんだけど、平均的に混ざるように、今回はカットしました。冷えたら食べてみて良いわよ」


勿論といわんばかりに、ユメが冬箱を持ってきて充填し、キボウが時送りをしていた。


「美味しそうですね。おはようございます。ユリ様」

「ユリ様、おはようございます」


ユリの後ろから声をかけられた。なんと、リラとメリッサは少し前に来ていて、ユリが何か作っているので、リラは声をかけずにじっと見ていたらしい。メリッサはすでに予定表に沿って仕事を始めていた。


「あら、気が付かずにごめんなさい。2人ともおはよう」

「ユリ様、これはなんですか?」

「甘口のコーヒーゼリーを、キボウ君に作ってあげようと思ったのよ。みんなの分まであるから食べたら良いわ」

「白い部分は、ミルクゼリーですか?」

「そうよ。少しゼラチン弱めになっているわ」


「冷えたから食べてみるにゃ」

「キボーも、キボーも」


ユリの意向どおり、キボウは何もかけずに食べてみてくれた。


「おいしー!」

「食べ口が優しくなったにゃ。これも美味しいにゃ」


時間になりイポミアも出勤してきた。


「イポミアさんも来たから、みんなで食べてみたら良いわ」

「来るなりおやつ! あ、皆さんおはようございます」


リラ、メリッサ、イポミアも試食してみて、食べやすいと言っていた。


「ユリ様、これも売りませんか?」

「手間かかるわよ?」

「ババロアを作るよりは簡単だと思います」

「まあ、それもそうね」


とりあえず、予定どおりサファイアクリームソーダゼリーを仕込み始めた。ユメとキボウのために、クッキー生地を作り、型抜きを頼んだ。


少し仕込みが落ち着いた頃、イリスとマーレイが野菜を持ってきた。イリスは入り口でマーレイに会ったらしい。


「揃ったところで、皆さんに相談なんだけど、来週からキャラメルを始めます。紙に包むのだけ人を雇おうと思います。何か意見はありますか?」

「何人くらいですか? ユリ様はどんな風に予定していますか?」

「せいぜい3~4人かしら、最大で同日は6人まで。時給1000~1500(スター)くらいで、1時間ならおまけキャラメル3個付き。2時間ならおまけ6個。3時間ならお昼ごはん(もしくはキャラメル10個)つきで、9時からと考えているわ」

「年齢性別等の制限はありますか?」

「仕事をしっかり出来るなら、特に制限はありませんが、今いるメンバー誰かの知り合いが望ましいです」


ここで一番知り合いが多いのは、マーレイだ。リラも多いが、リラの場合範囲が広い。


「募集を張り出してしまうと、意図せぬ応募を断るのが大変そうで」

「あー、貴族の方とかですか?」

「それもそうです」

「他にもあるんですか?」

「パープル邸のメイドさんたちとかね」


イリスだけが、納得したように頷いていた。


「あ!それシィスから聞いた! 領主様が、メイドが20人くらい辞めるって言い出して困ってるって話だ」


リラは知っていたらしい。


「あら、知っていたのね。メリッサさんが来る前に、配膳の人を増やそうって話を広報誌のエルムさんにしたら、お屋敷のメイドさんが、こぞって応募しようとしたのよ」

「でも、今回は短期だから、メイドさんたちでも構わないのではないですか?」

「それって、休みの日に来るってことでしょう? 働きすぎよ」

「ユリ様、その他の人も、普段はどこか他で仕事をしている人だと思います」


この国の平民に、専業主婦と言う概念はない。シーミオを見ているメリッサの両親も、農家を営んでいる。裕福な家庭以外は、子供も働いていることが多い。


「あ、そうなのね。ご婦人方が無理なら、子供たちはどうかしら?」

「決まった場所がなくても、おおよそ決まった仕事をしているので、むやみに空けてしまうと、仕事や場所を取られることになります」


そう言えば、リナーリが働きたいと言ったとき、そんな説明をされた。


「なら、募集を掲示しましょう」



◇ーーーーー◇ 

短期お手伝い募集


内容 キャラメルの包装など

時給 1000(スター)

時間 9時から12時迄の1~3時間

人数 同日最大6人迄

期間 9月の営業日(7日を除く)

重要 キレイ好きで、他メンバーと仲良くできる人

特典 1時間ごとに、キャラメル3個のおまけ付き

   3時間はキャラメル1個と(まかな)い付き 

   もしくは、キャラメル10個

◇ーーーーー◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ