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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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護衛

「ユメちゃん、何の約束をしたのかしらね?」


誰も答えられないので、ユリも後で聞きましょう。と諦めた。それより、確認しておこうと思ったことがある。


「トリヤさん、皆さんから近衛師団が警護に来ていたと聞きましたが、お食事に誘わなくて良かったのですか?」

「近衛師団は、食事時に仕事がありまして、それまでこちらに来ていたようでございます。現在は、別部隊がこちらの護衛任務に付いているものと思われます」

「あら、その方たちは、お昼ご飯はまだなのよね?」

「いえ、早めの昼食を済ませているか、一般人とは違うタイムスケジュールで動いているものと思われます」

「そうなのね。私にはわからないから、来られるなら、おやつだけでも食べに来てと伝えて貰えるかしら?」

「かしこまりました」


少しすると、トリヤを「少佐」と呼ぶ男性2人が店に入っててきた。


「今は少佐ではないよ」

「アメジスト伯爵」


ビシッと敬礼していた。


「ハナノ様から、おやつをご提供いただいた。交代でいただきなさい」

「了解しました!」


ユリがコーヒーゼリーを出そうとすると、メリッサが手伝ってくれた。そして、少し話があると言ってきた。


何と午前中に、ユメが落ち込んでいたと言うのだ。恐らく、世界樹様のクッキーの続きをしないのを見て、黒猫クッキーはユメがいなくても出来上がるけど、世界樹様のクッキーは、キボウがいないと出来上がらないことについて、ふと、自分は必要なのか?と考えてしまったらしい。来客で、話が途中になってしまったけど、居なくなったら寂しいと伝えたと、メリッサは話してくれた。


何て事だ。まずはこのお店の店名について、今度は全員に周知して、ユメにも再び説明しなければ。まずはメリッサに教えよう。ユリは決心したのだ


「メリッサさん、どうもありがとう。このお店の『アルストロメリア』って名前の花ね、私の出身国で『ユメユリソウ』って言うのよ。ユメちゃんあってのお店なのよ」

「そうだったんですね! 他の方はご存じなのですか?」

「どうだろう? 改めて宣言したことはない気がするから、知らないかも」

「内緒なのですか?」

「いえ、誰に伝えても構わないわよ」


メリッサが話しに出すと、イポミア以外は知っていた。マリーゴールドによると、花の図鑑を見たときに、リラから教えられたらしい。


昼休みが終わり営業が始まると、トリヤとエルムは、ユリに挨拶をして、馬車に引き上げていった。警護の騎士は8人ほどいるらしく、4回に分けてコーヒーゼリーを食べに来ていた。


「午前中にいらしていた近衛師団の方々は、全員格好良い女性だったけど、入れ替わった騎士様は、全員男性でしたね」


少し暇になったタイミングで、イポミアがメリッサと話していた。


「そうなの?」

「はい! 凄く格好良い女性の騎士様でした」

「あら、私は女性騎士にはあまりお会いしたことがないような?」

「ユリ様、先日のアルストロメリア会で、王女殿下の護衛で参加されていらっしゃいました、侍女の服を着た背の高い方が、近衛師団長のギプソフィラ様だそうでございます」


ユリの疑問に、マリーゴールドが答えてくれた。


「え!包むのとか、作業手伝っていたわよね? 大丈夫だったのかしら?」

「実は、(わたくし)も気になりまして、作業をされてもよろしいのですか?と伺いましたところ、手に何を持っていても、目の前の相手の頭まで届く足技が繰り出せるそうでございます」

「えー凄い! ハイキックの達人さんなのね!」


そういえば、背の高い侍女は、包むだけで作るのは参加していなかったなぁとユリは思い出した。班に専門職の料理人がいるからかと考えていたが、そもそも護衛だったらしい。



「ユリ様、コーヒーゼリーのお持ち帰りは可能ですか?」


イリスが確認に来た。


「コーヒーゼリーは冬箱、上のアイスクリームは真冬箱。箱があるなら売って良いわよ。持ち帰りは、ゼリー単品750(スター)、ミニアイスクリーム単品はココットに入れて250(スター)ね。グラス返品スタンプは5個よ」

「かしこまりました」


ちなみに、店内飲食のバニラアイスクリームののったコーヒーゼリーは、700(スター)で提供している。


冬箱と真冬箱の双方と言うのはハードルが高いらしく、持ち帰り注文は、予定どおり少なめだった。


14時過ぎ、リラが様子を見に来た。


「ユリ様、御公務お疲れさまでした。無事なお戻り、安心しました。って、あれ? ユメちゃんは、休憩中ですか?」

「ユメちゃんは、ソウが緊急で迎えに来て、お城に行ったわ」

「あら、そうなのですか?」

「せっかく来たんだから、コーヒーゼリーでも食べていったら良いわ」

「ありがとうございます!」


店の流れを見ていたリラが質問した。


「ユリ様、コーヒーゼリーの持ち帰り売ってるんですか?」

「冬箱と真冬箱の双方が必要だけどね」

「なら、明日は大量に売れますね」

「え?」

「だって、今日周知されて、明日は、みんな持参で来ませんか?」


ユリはマリーゴールドの方を振り向いた。


「予定どおり、200個作りました」

「んー、残ってもどうにかなるから、あと200作ろうかしら?」


ユメとキボウが城に持ち込むおやつがなくなるので、少し控えて作っていたのだ。

話が聞こえたマーレイが、手早く器を洗い始めた。


「気が済んだので、帰りまーす」

「ちょっと、リラちゃん。あちらの皆さんの分も、持ち帰ると良いわ」

「はーい。ありがとうございます」


リラはコーヒーゼリーを自分で仕上げて、7個を器用に指の間に挟んで持ち、マリーゴールドにドアを開けて貰い、ベルフルールに帰っていった。


「トレーや籠を使うという発想はないのかしら?」


ユリの呟きに、マーレイが申し訳なさそうにこちらを見ていた。


「キボー、きたー」


キボウが1人で戻ってきた。


「お帰りなさい、キボウ君。ソウとユメちゃんは?」

「ユメー、のこるー。ソウ、わかんなーい」

「先に帰ってきたの?」

「ソウいったー。キボー、かえるー、いい、いったー」

「ソウが、キボウ君に帰っても良いよって言ったのかしら?」

「あたりー」


ユメが呼ばれて向こうに行ったから、キボウを返したのだろうとユリは考えた。


「キボウ君、世界樹様のクッキーの仕上げする?」

「キボー、てつだうー!」


マリーゴールドがアイシングを塗ってくれ、キボウは時送りをして仕上げてくれた。



夕方になり、予想よりも早く、コーヒーゼリーは売りきれた。閉店までは30分以上有ったが、明日も同じメニューで販売するので、本日分売り切れとした。


少しすると、ソウとユメが戻ってきた。何でも、帰還を祝う会自体はまだ終わっていないらしく、ソウとユメは、夕飯はこちらで食べたいと途中退場で帰ってきたらしい。

.

最後まで護衛で外の馬車にいたトリヤとエルムも呼んで、皆で夕食を取り、解散した。

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