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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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温度

今日も少し早い開店をしたが、大盛況だ。

昨日と違うのは、ホットサンドはミックスはほとんど注文されず、分けていないホットサンド2種類を注文され、ビーフカレーは半人前ばかり注文されるのだ。ビーフカレーは、1人前換算で120人前有る。半人前しか出なければ、200人来店しても余る。


ホットサンドを組み合わせる手間がないのはとても楽なのだが、やはり食パンが足りなくなりそうなのだ。

昨日の比にならない程のペースで、作っておいたホットサンドが減っていく。


マーレイがホットサンドメーカー3台の面倒を見ていて、ユリとリラが手焼きのホットサンドを合計6個仕上げている。ソウは出掛けていて、まだ帰ってきていない。


ユメはご飯をよそいながら、世界樹様のクッキーにアイシングを塗り、キボウはカレーをよそいながら、クッキーに時送りをしていた。


「ただいまー!」

「ソウ、お帰りなさい。有った?」

「バージョンが違うのしかなかったけど、ホットサンドの鉄板はついてる。あと、実家のも借りてきた」


ソウは、ホットサンドメーカーを調達してきたのだ。すぐに鉄板を洗い、使えるようにしてくれた。


ソウとマーレイがホットサンドメーカー5台を使い、ホットサンドを作り始めると、注文スピードより早く仕上げられるようになった。合計16個焼いているのだから、当然かもしれない。


「ユリ、1台は借り物だから返すけど、この新たに買ってきた1台はどうする?」

「リラちゃんが良ければ、ベルフルールに持っていく?」

「え、良いのですか?」

「それが良いかもな。行く先がなければ、カナデかリツに押し付けようかと考えていたよ」


冴木奏(カナデ・サエキ)にも、伊藤律(リツ・イトウ)にも、いい迷惑である。電力が使えるようになった時点で、必要なら持っていることだろう。


店の厨房も、置いておくのは3台くらいが限界なのだ。本体よりも、替えの鉄板が場所を取る。


順調に進み、16時過ぎにビーフカレーの福神漬を、胡瓜のパリポリ漬に変更し、ホットサンドの数を調整し始めた。完全にソウとマーレイにホットサンドを任せ、ユリとリラは休み明けの分のデザートを仕込むのだった。


「パイナップルゼリーと、リンゴゼリーを、各300仕込みます」


洗ってあるココットを使い、手早く仕込んだ。キボウがユメに聞いたのか、作っているものをゼリーと認識したらしく、食べたそうにこちらを見ていた。


昨日と違い、いつも通りの回転率で、来店者は150人くらいらしい。この分だとビーフカレーが大量に余る。厨房のメンバーと相談し、夕飯はビーフカレーを食べることにした。食パンは余らせても困らないので、余分に用意してあったため、今日は買い足しに行かずにすんだが、既に60斤無くなった。


「そろそろ18時になるから、シィスルちゃんとグラン君を迎えに行くわね」

「ユリ様、こちらのキャラメルをお願いします」

「これを渡すのね。じゃあ、ご飯の用意お願いね」

「はい。11人前用意しておきます」

「メリッサさんに、持ち帰り分を何か用意してもらえる?」

「はい」


ソウもマーレイにあとを任せ、ユリと一緒に転移した。


お店のそばに転移してきたが、お店は賑わっていて人だかりが凄く、店内に入るのに苦労した。


「シィスルちゃん」

「あ、ユリ様、どうもありがとうございます」

「ありがとうございます」


シィスルとグランが、荷物をもって待っていた。


「これ、リラちゃんから預かってきたわ。キャラメルよ」


シィスルとグランは、ものすごく驚いた顔をした。


「これ、早速売って良いですか?」

「リラちゃんから、あなたの親御さんへの贈り物だから、好きにして良いけど、何かあったの?」

「はい。キャラメルはないかと、押し掛けられています」


リラの先見の明(せんけんのめい)がすごすぎる。


「基本味と、イチゴ味が25個ずつ入っていると思うわ。あと、シィスルちゃんとグラン君への個人的な分け前のキャラメル9種類が3個ずつあるわ」


それらも渡すと、1種類を2個ずつ取り分け、9種類4個ずつを置いていくようだった。


シィスルが、親である店主にキャラメルを渡し、ユリのそばに戻ってきた。


「ユリ様、こちらの領地の領主様が見えているので、さっさと戻りましょう」


シィスルの意見に、ソウが大笑いしていた。確かに捕まるとめんどくさい。しかも、白衣に上着を羽織っただけの服装なので、普段会わない貴族には、特に会いたくない。


「わかったわ。手を繋いでね」


ユリが転移をし、店の外まで戻ってきた。


「シィスルさん、おかえりなさい」

「マリー、変わり無い? あちらはどうだった?」

「とても良くしていただきました」


マリーゴールドが外まで出迎えにきていた。二人で仲良く話し込んでいるので、ユリは先に厨房へ戻った。


「帰ってきたわよ。キャラメル、早速大活躍みたいよ」

「おかえりなさいユリ様。あら、予想よりも早い噂の広がりですね」

「自分たちの分の9種類まで、4個ずつ置いてきていたわ」

「今日、この後、シィスルに教えるためにも、キャラメル作って良いですか?」

「構わないけど、大丈夫? 疲れていない?」

「シィスルのところでその状態なら、明日うちの店、大混乱だと思います」

「あー、そういえば、私もレギュムさんから頼まれていたわ。一緒に作りましょうか」


シィスルとグランは、ビーフカレーを絶賛していた。そのままの味でベルフルールでも作ると聞き、喜んでいる。

キャラメルは残業希望者を募り、オーブンの天板を型に使い、基本味600とイチゴ味600の他、試食用の新作のパイナップル味80とブルーベリー味80も作った。キャラメルが出来上がる頃、包むためにメリッサが戻って来ていた。


「今まであまり気になりませんでしたけど、大きいと回りから切っていくんですね」

「中心は冷えるのが遅いからね。片方の端から切っていったら、反対側の端が硬くなってしまうわね」


温度差が出るほど大きい場合、両端、上下を回しながら、中心が最後になるようにカットしていくのだ。


ひとり辺り100個以上包み、「キャラメル包みは、人を雇いましょう!」と、リラから頼まれるのだった。

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