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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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繁忙

いつものごとく外に並んでいるので、30分早くお昼ご飯を食べることになった。お昼ご飯には、ほとんどの人、いや、全員がビーフカレーを食べた。配膳をする人は、客に味を聞かれるので食べておきたいと考え、ユリは味の確認もあり食べる。ソウ、ユメ、キボウは、ユリが食べるので食べる。リラとマリーゴールドがホットサンドを焼こうとしていたが、皆を見て、カレーを食べることに変更していた。マーレイは回りに合わせるので、選択した人が多ければそれを選ぶ。


「ユリ様、加えていたカレールーが、いつもと違ったように見えたのですが」


リラから質問された。


「これね、普段のカレーは中辛のカレールーを入れるんだけど、大辛のカレールーと、ビーフシチューの素を入れているのよ」

「ビーフシチューも、素があるんですか!?」

「ビーフシチューを単体で作るなら、最初から全部ちゃんと作るけど、ビーフカレーに使うときは、売ってる素を入れてます。私は使わないけど、ホワイトシチューの素も売っているわよ」


「このカレー、真似して作っても良いですか?」

「全く問題ないわよ。そもそも、ベルフルールがお休みだから食事物を出そうと思ったわけだからね」

「ユリ様、ありがとうございます」


すぐにリラは、ソウに注文を頼んでいた。


「ユリが使ったのと同じルーで、いくつ必要だ?」

「急ぎませんので、20箱ずつお願いします」


ユリは、寸胴鍋4つを使い、一人前換算で、約160食分仕込んでいる。(内80食分は、煮込んだだけで火を止め、まだルーを入れていない)絶対に確実に余る量だ。ホットサンドもあるので、明日分まで賄える予定なのだ。今10人で食べたので、後150食(70食)分だ。

ご飯の方は、一升炊きの炊飯器で炊いているので、5人前ほど、カレーライスに組んで、すでに鞄に入れてある。米にして一升(約1500g)は、炊き上がると約3300gあり、カレーライス約15人前に相当する。


ロイヤルミルクティーのアイスクリームも食べ、全員休憩に入り、ユリは炊飯器のスイッチを押し、冷茶と外おやつを出してから休憩した。外おやつは、ココットに固めたオレンジゼリーだ。


◇ーーーーー◇

本日のおすすめ


ビーフカレー(福神漬付)   1人前 1500(スター)

              半人前  800(スター)

ホットサンドミックス    2種類  700(スター)

      ビーフ・ポテト 1種類  600(スター)

      ツナ・チーズ  1種類  600(スター)

コールスローサラダ     1人前  300(スター)


ロイヤルミルクティーの

アイスクリーム       1人前  600(スター)

オレンジゼリー       1人前  500(スター)

◇ーーーーー◇     


10分前に戻ってきたユリは、次の炊飯器のスイッチを押し、3台目の炊飯を開始した。外のイーゼルに本日のおすすめを出すと、食事に1人前のメニューがあることに驚かれた。


「ハナノ様!また食事物を始められるのでございますか?」

「ベルフルールがお休みだからね。今日明日だけです」

「それは残念ですが、しかしありがたいことでございます」

「喜んで貰えて良かったわ」


お店が開店すると、ホットサンドミックスとビーフカレー半人前というメニューが多く注文された。そして、並ぶ人たちへの遠慮なのか、デザート類は食べずに購入して帰る。オレンジゼリーが冬箱で、ロイヤルミルクティーのアイスクリームは真冬箱なので、持ち込む荷物も多いのに、ほとんどの人が持参している。


ユリの作戦としてホットサンドを焼いておいたので、提供も早い。そのため、回転率があり得ない早さだった。


「炊飯器の内釜、誰か、洗ってー」


3台あって順番に使っているのに、間に合わなくなったのだ。厨房にいたユメが洗ってくれようとしたが、外しかたがわからなかったらしい。


「ユリ様、私が洗って良いですか?」

「リラちゃん、ごめん、お願いします」


リラは内釜を洗い、米を研いで吸水させるところまでしておいてくれた。ユメとキボウは、秤でご飯の重さを量りながらカレーを皿に盛り付けていたのだ。(半人前は、カレーをレードルに1杯、1人前は2杯入れている)

ソウとマーレイは明日の分のアイスクリームを作っていて、ユリとマリーゴールドは、ホットサンドを作り続けている。マリーゴールドが機械3台を担当し、ユリが手焼きで2台担当している。焼いている途中に抜けられないので、キリの良いところで他の事をしていたのだが、うっかり炊飯のタイミングを誤ってしまったのだ。


「リラちゃん、ありがとう! なにか請求してね」

「ウフフフフ。ありがとうございます」


少し不気味に笑いながら、リラが試作に戻っていった。


4時頃、ルーを合わせてあるカレーが、残り数杯になった。慌てて3つ目の鍋を温めルーを混ぜ、40食分を仕上げた。


アイスクリームに目処が着いたソウが、足りなくなりそうな食パンを買ってきてくれた。計算上、どんなに多くても1時間に30食で、8枚切り40斤(160食分)あれば明日分まで足りるつもりだったのに、予備を含め用意してあった50斤(200食分)が跡形もなく、袋だけが残っている。


客は座り注文すると、すぐにカレーやホットサンドが出てくるため、即完食し、15~20分で退店する人が続出したらしい。


お店に3人居るのに、こんなに忙しいとは思いませんでした。と、イポミアがぐったりしながら言っていた。メニューに書かなかったからなのか、飲み物は余り注文されなかったらしい。そういえば、オレンジゼリーも、殆どカットを頼まれなかった。そのままお持ち帰りの注文ばかりだったのだろう。


結局、来店者は200人を越えたようだ。


「ご飯を秤で量らなくても、100gと200gよそえるようになったにゃ」

「ユメちゃん、どうもありがとう。物凄く助かったわ」

「キボーも、キボーも」

「キボウ君、カレー担当してくれてありがとう。物凄く助かったわ」

「よかったねー」


「ユリ、食事物を手伝えなくてごめんな」

「とんでもない!こちらこそ、アイスクリームを全く手伝えなくてごめんなさい。ソウとマーレイさんの2人で、全て作って貰っちゃったわね。大変お疲れさまです。ありがとうございます」


本当に大変だったと、皆で(いたわ)りあうことになった。


「もうそろそろ時間になるから、メリッサさんは先に作り始めると良いわ」


17時45分になり、5分前にオーダーストップをしたので、後は片付けるだけだ。


「ありがとうございます!」


なにか作っていたリラは、それを片付け、ユリのそばに来た。


「ユリ様、明日の分は足りそうですか?」

「ビーフカレーが、3鍋分丸々出ちゃったから、今日と同じだけ売れるなら、80食分不足ね。煮る時間が長いから明日仕入れてからでは間に合わないし、牛肉の予備がないわ」


「ユリ、牛肉買ってこようか?」

「牛スジ、牛すね、牛ももだけど、買ってこられそう?」

「具体的な数字にしてくれれば、揃えてくるよ。明日の何時までにあれば足りるの?」

「朝8時頃までに有れば、余裕で仕込みに間に合うわ」

「夕飯食べたら、行ってくるよ。ルーも追加で買ってくる」

「ソウ、ありがとう」


「オレンジゼリーとかは、足りそうですか?」

「イリスさん、どのくらい余っていますか?」

「冬箱をお持ちのかた限定でしたので、半分以上残っております」

「オレンジゼリーは大丈夫そうね。明日足りなかったら、売りきれ対応で良いわ」


「ユリ、焼きサンド作って良いにゃ?」

「はいどうぞ。リラちゃんとマリーゴールドちゃんは、私と一緒に、手焼きで良いかしら?」

「はーい」「かしこまりました」

「ソウはどうする? 自分で作ってみる?」

「ユリ、お願い」

「はーい」


「ユリ様、少し残っているカレーを使っても良いですか?」

「パンに挟むなら、小麦粉を足して煮るか、少しパン粉を混ぜて濃度を増してからが良いわよ。緩すぎると食べる時吹き出すからね」

「はい、ありがとうございます」


ユリは、カレーを挟めるように濃度をつけて用意した。


「これ、使って良いわよ」

「ユリ、カレーパンは作らないの?」

「シウマイの再来よ。おそらく」


ソウは、焼売が物凄く大変だったことを思い出した。カレーパンを売るなら、きっと総出で作ることになるだろう。しかも持ち帰れそうな商品は、馬拉糕(マーラーカオ)と同じような数が出ると予想される。


お店の客が全て帰り、手早く片付けると、メリッサは挨拶をして帰っていった。作ったのは、今日のメニューと同じ中身の焼きサンドらしい。

ユメとキボウは、ビーフ・ポテト、ツナ・チーズ、チョコ・クリームチーズ、ベーコン・ほうれん草・たまごを作って、半分ずつにするらしい。

尚、イリスの分は、マーレイが作っていた。

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