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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
1章

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野菜

大きなかぼちゃ6個分、約10kg

皮や種を取り除いて8243gあった。

3回に分けて蒸し器で()かした。

計算上ココット型で320個以上出来上がるはずだ。


「ユリ様、器は昨日みたいに並べますか?」

「今日は作業台の上で良いわ、あ、邪魔そうならトレーに並べて重ねておいて」

「はい」


気合いを入れて裏漉ししていく。

漉し網に詰まったら次の網を使い、詰まった網を洗ってもらう。

芋程は詰まらないけど、やはり繊維があるから詰まっていく。


せいろ1枚に60個くらい器が入るので、2kg弱のかぼちゃを裏ごしたら分量を計って、砂糖を混ぜた卵液と合わせ良く混ぜ、温めた牛乳と生クリームを足し、均一にしてから器に注いでいく。


「中身を入れたものを、せいろに並べてくれる?」

「はい!」

「四角を抜いて60個で良いわ」

「はい!できました!」

「ありがとう。時間大丈夫ならこれをあと4回するけど」

「大丈夫です!遅くなったらお父さんが来るって言ってました!」

「ありがとう。助かるわぁ」


蒸している間に次の分の裏ごしをする。

リラは作業台に器を60個並べていた。

なかなか優秀である。


パンプキンプリンと言う名だと説明した。


作業を繰り返し、21:00を過ぎた頃、カランカランカランとドアが開きマーレイが来た。


「あ、マーレイさん!遅くまでリラちゃん借りちゃってすみません!」

「いえ、滅相もない。お役に立てているならいくらでもお使いになってください」

「あ、最初のはもう冷めているだろうから、リラちゃん食べてみる?」

「はい!!」

「マーレイさんも良かったら食べてみてください」

「はい、いただきます」

「お父さん、ユリ様がこれはパンプキンプリンって」

「パンプキンプリン?」


「ユリー、今日はまだ作ってるの?」


ソウが2階から降りてきた。


「あ、ごめん、ご飯まだだよね」

「ご飯の心配は良いけど、何か手伝う?」

「ソウも一緒に食べてみる?」

「あ、もしかしてカボチャプリン?」

「うん」


「あのー、ユリ・ハナノ様、パンプキンプリンですか? カボチャプリンですか?」

「あー、同じものの名前よ」


リラは「えへへ」って感じで笑っている。マーレイがカボチャを苦手なのをわかっていてパンプキンプリンと言ったようだ。


「もしかして苦手だった?」

「カボチャのスープは苦手なのですが、これはとても美味しいです。野菜がお菓子になるのですね」

「そういえばそうね。野菜だったわね、あれ? マーレイさん、スイートポテトも苦手だったりする?」

「お菓子は美味しいですが、甘い野菜のスープは少し苦手です」

「嫌いなものだったり、苦手なものは食べないで良いからね?」

「はい、ありがとうございます。ユリ・ハナノ様のお菓子とお料理はとても美味しいです」

「うん、ありがとう」


今度内緒でリラに聞いてみよう。

今ここで聞いても本当の事は言わない気がするし。


ちょっと中断していたが、最後の分をせいろに乗せた。


「ユリ、もう1個食べて良い?」

「どうぞー、あ、リラちゃんもマーレイさんも食べられるならもう1個どうぞ」


食べちゃった分を合わせて335個できた。今食べたのが6個なので329個だ。

充分だと思う。


出来上がって冷めている分を冷蔵庫に、トレーに重ねてしまいこんだ。

同じ器(ココット型)は本当に便利だ。


ラスト2回分の95個ほどが冷めていないのでご飯を食べた後でしまおう。


遅くまでありがとう。とリラにお礼をいったら、アルバイト代は後でまとめてで良いと言い、そのままマーレイと帰って行った。


「お疲れ様」

「ありがとう。ご飯、なに食べようか」

「簡単なものでよければ俺が作るよ」

「わー!うれしい!」


階段を上がり、着替えてからリビングにいくと、重曹を片手に持ったソウがこちらに気づいた。


「あ、ユリ、重曹ってどのくらいいれるの?」

「乾麺100g、お湯1リットルの時に、大さじ1かな。あと塩も大さじ1ね。これが、1人前かな」

「ありがとう。じゃあ2杯かな」


チラッと見ると切ったキャベツが見える。

焼きそばかしら?

楽しみだわ。ふふふ。


茹で上がった麺を良く洗い水を切ってから中華鍋タイプのフライパンで野菜や海鮮を炒めだした。


海鮮の潮の匂いがする。


麺を別のフライパンで焼き付け皿に盛り、炒めた海鮮をあんかけにし、麺に乗せていた。


海鮮あんかけ焼きそばだ。


「はい、どうぞ」

「すごーい!豪華!」


イカやホタテや剥きアサリなどが入った豪華なものだった。


「いただきまーす」

「はい、いただきます」


麺と一緒にイカを食べた。


「おいしいー!」

「そう?良かった。プロに出すのは緊張する」

「ふふふ、これだけできればお店出せるかも?」

「あはは、ここの人たちは、海鮮食べないからなぁ」

「あ!そうだった。じゃあ、来るの転移組だけだね」

「それはちょっと断りたい」

「あー専門家しかいなかったわね」

「そうそう」


それは確かに嫌かも。

料理人ばかりが来る前提のお店とか、気が休まらない。


すっかり食べ終わり、食後のデザートはむしろ先に食べたことを思いだし、冷凍庫からアイスを出した。


「今日もユメちゃん帰ってこないね」

「気にして見て回ったけど見かけなかったよ」


アイスを食べながらソウが答えた。


「イチゴアイスはこれが最後だわ」

「何が足りないの?」

「イチゴ」

「あー向こうでも時期的にもう無いか」


あちらもこちらも夏である。

イチゴは6~10月に、元の国の国産はなくなる。


「製菓材料店とか業務系の店なら冷凍イチゴがあると思うけど、探してくる?」

「うん!探してくるからまた作ってよ!」

「わかったわ。あ、一緒にブルーベリーもお願いします」

「了解!って、どのくらい必要?」

「店売りで使っても良いなら、15kg以上で、ソウとユメちゃんの分だけなら500gもあれば充分かな」

「どんな果物もアイスになるの?」

「味に特徴がある方が良いけど、基本的にはなるわよ、シャーベットの場合もあるけど」

「へえ。じゃあ、なにか良いのがあったらそれも買ってくるよ」

「はい、お願いします」

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