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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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冬風

「時間ちょうど良いくらいね」

「ソウ、さすがにゃ」


コバヤシのラーメン店につくと、店の前に、さりげなさを装って立っている人がたくさんいたが、店内は、割りと貴族ふうの客が多かった。


「出直して貰って、すみません」

「いや、繁盛していて何より」


ユリは杖を振って、預かってきた冷風機を取り出した。


「コバヤシさん、これ、コニファーさんの新作、ようは冷風機ね。一台先に預かってきたけど、要ります? 最大10時間稼働で2000p使用で、5万(スター)ですって」

「え!? 良いんすか? もしかして今買いに行けば、台数増やせるんすか?」

「取り合えず、50台作ったらしいけど、私が10台引き取って、これはコバヤシさんに売り込もうと1台持ってきたのよ」

「ちょっとすいません」


コバヤシはユリに断りをいれると、従業員の女性に、魔動力機器コニファーに行って、5台購入予約をして来るよう指示を出していた。


「ハナノさん、よろしければ、そちらも買い取ります。いつも有益な情報をありがとうございます」


ユメとキボウは先に席に着き、メニューを眺めていた。


◇ーーーーー◇

醤油ラーメン   1800(スター)

とんこつラーメン 2000(スター)

替え玉       300(スター)(とんこつラーメンのみ)

卵スープ      500(スター)

コーンスープ    500(スター)

ワンタンスープ   700(スター)

チャーハン    1000(スター)

棒々鶏(バンバンジー)      2000(スター)

青椒肉絲(チンジャオロース)     2000(スター)

麻婆豆腐(マーボードウフ)     2000(スター)

ライス       300(スター)

切り落とし焼豚丼  800(スター)

烏龍茶(ウーロンちゃ)       100(スター)

◇ーーーーー◇


「あら、ずいぶん値下げしたのねぇ」

「1/3~1/5くらいになったな。俺、豚骨ラーメン」

「私も、とんこつラーメン食べようかしら」

「同じにするにゃ」

「おなじー、おなじー!」


注文が終わった頃、女性店員が走って店に戻ってきたらしく、息を切らして入ってきた。

「マコトさん、在庫分で、5台確保できました! 今日中に届けてくれるそうです!」

「ミルティア、ありがとう!」


無事に購入できたらしい。少し待つと、とんこつラーメンが4つ運ばれてきた。


ユメとキボウに、散蓮華(ちりれんげ)の説明をし、冷風機の代金として5万(スター)受け取り、とんこつラーメン×4、替え玉×3の8900(スター)を支払い、帰ってきた。今日のお土産お菓子は、マーラーカオだった。


家に戻り少し休んだ後、明日からの仕事のために、皆で厨房の掃除をしていると、魔動力機器コニファーが、購入したものを届けに来た。


「魔動力機器コニファーです! 氷風(ひょうふう)機・冬風(ふゆかぜ)のお届けに上がりました!」


あの冷風機は、「氷風機・冬風」という名前らしい。


「ユリ、リラを呼ばなくて良いのか?」

「あ、そうだった」


『ユリです。魔動力機器コニファーさんが、新製品を持ってきています。冷たい風が出る機械です。興味があるなら見に来てね』

『リラです、今ずぶ濡れなので、着替えるため、10分ほどお待ちください』


ユリが以心伝心を送ると、すぐ返事が来たが、何やらトラブルがあるらしい。


「なんかリラちゃん、今ずぶ濡れらしくて、着替えたら来るみたい」

「何やったんだ?」

「キボー、みてくるー」


キボウが転移で消えた。


「女性の着替えは見に行っちゃいけませんって、言わないとダメかしら」

「あはは」


ところがキボウは、逆立ちして乾いたようなリラを連れて転移してきた。髪型が凄いことになっている。


「どうしたの? 何か、髪の毛が爆発してるけど」

「先ほどお伝えしましたが、ちょっとミスって水を被りまして、キボウ君が、乾燥と風と何かもう一つの魔法を使って、服と髪の毛を乾かしてくださいました」


ユリは、慌てて櫛と鏡と整髪料を取りに行き、リラの髪を直した。


「はい。これで大丈夫よ。コニファーさん来てるから、説明聞いたら良いわ」

「ありがとうございます」


一つの氷風機にユリが充填し、魔動力機器コニファーの担当者が、詳しい説明を始めた。


「先ずは、2000p充填します。こちらのレバーで温度を決め、こちらのレバーで風量を決めます。最大パワーで使いますと、10時間くらい持ちます。3m~3.5m四方の部屋に1台くらいの割合でお使いください」

「3m~3.5m四方の部屋?」

「ユリ、大体6~8畳だよ」

「ソウ、ありがとう。あれ? お店に4台だと足りない?」

「ユリ、キャスターつけて、作業部屋は普段置かなければ足りるんじゃないか?」

「ソウ、さすがね!」


ソウの案に、ユリが足りて良かったとホッとしていると、耳聡く情報をキャッチしたようで質問してきた。


「ホシミ様、キャスターとは何でございますか?」

「そこのワゴンの足みたいに、小さい車輪だよ。動かしやすければ、部屋を移動させられるだろ?」

「そのアイデアは、」

「あーはいはい。好きに使って良いよ。あとさ、出力1/3~1/4くらいの、馬車の中で使う小型タイプも作ると、きっと売れるよ」


魔動力機器コニファーのメンバーが慌て出したので、リラは希望台数を注文し、明日のお届けと約束をし、急ぎ帰っていった。


「これで、厨房のエアコンが使えるわ!」


大分前に設置して貰ったのだが、店との温度差に、配膳の従業員が体を壊しかねないと、使わずにいたのだった。

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