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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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牛肉

「おはようございまーす!!」


店が休みの日の朝9時前に突撃してくるのは、全ての人の予想通り、リラだ。ユリが店に顔を出すと、リラとリナーリが来ていた。


「おはよう。コンビーフ作るの?」

「はい! お願いします!」

「イチゴキャラメルはどうするの?」

「昼よりは前に、メリ姉とミア姉が来ると思います」


又、大集合らしい。


昨日、あちらの国に行っていたソウに、コンビーフ作りに必要なものを揃えて貰ってある。


「必要なのは、まず、牛肉の塊、塩、粒胡椒(こしょう)月桂樹の葉(ローリエ)、セロリの葉、玉葱、ニンジン。この辺が基本ね」


ユリは、材料を並べて見せた。理解できないような難しいものはないので、そのまま進行する。


「10%の塩分で漬け込んで塩抜きするか、4%の塩分で塩抜きせず作るか、好きな方を選びます」

「塩抜きと言うことは、時間がかかるんですよね? なら今日は、塩抜きしない方で作ってみたいです」


ベーコンを作るときに、時間がかかったことを思い出したらしい。


「あ、あの、ユリ様」

「はい。リナーリちゃん、なんですか?」

「このお肉は、どこの部分ですか?」

「これは、牛モモ肉です。他の部位でも、塊なら作れます。ただし、すね肉などの固い肉は、煮込む時間を増やす必要があるので、モモ、ロース、肩ロース等がおすすめです」


リラが質問しなかったのは、見て、モモ肉とわかったからのようだ。


「さあ、仕込んでいきましょう」

「はい!」「はい!」


「まずは、ニンジンをきれいに洗います」

「え?ニンジン?」

「少し厚く剥ける方のピーラーで皮を剥き、皮を使います。身を使っても構わないけど、薄切りにしてしまうし、勿体無いでしょう?」

「ニンジンの皮、たくさん有ります! 刃物の練習でナイフで剥くと、厚くなってしまって、それが使えます」


リナーリの練習で、野菜剥きに使ったニンジンを使えることに、リラとリナーリが喜んでいた。


ユリは、ニンジン本体も少し薄切りし、足した。


「次に、玉葱を輪切り方向に切ります。セロリは、葉だけ使うので、毟っておきます」


トレーの上に、材料が使える状態で集まった。


「あとは、パセリの茎とか、ハーブとか、生姜や大蒜(ニンニク)など、好みで加えてください」


リラとリナーリがメモを取り終わるのを見て、ユリは説明を続ける。


「塊肉に塩をすり込みます。あまり塊が大きすぎるときは、鍋に入るサイズを考え、厚さを平均するように切り分けてください」


今日の肉は、1つ500g前後のほどよい大きさなので、そのまま作業する。塩分違いの双方作ると言い出すことも考慮し、肉は4つ用意してあった。


砕いたローリエと胡椒、先程用意した各種香味野菜と一緒に、ビニール袋に入れ、3~7日くらい冷蔵します。


「あ、やっぱり今日出来上がらないのかぁ」

「あら、すぐ出来る予定だったの? キボウ君呼ぶ?」


話に出したら、キボウが現れた。


「キボー、きたー」

「キボウ君、呼んじゃってごめんね。この袋のお肉を冬箱に入れるので、1週間お願いできますか?」

「わかったー」


ユリが冬箱に充填し、キボウが時送りする。


「いっしゅーかーん!」

「キボウ君ありがとう」

「キボウ君ありがとうございます」

「キボウ様、ありがとうございます」


キボウは、リナーリに振り返った。


「キボーくん!」

「え?」


キボウの訂正に、リナーリは意味がわからないようだ。


「みんながキボウ君と呼んでいるときは、キボウ君と呼んで欲しいみたいよ」

「はい。わかりました」


そこへユメがやって来た。


「キボウ、ここにいたのにゃ」

「あら、ユメちゃん。ユメちゃんもコンビーフ見る?」

「今から作るのにゃ?」

「今、塩と香草で漬け込んで、キボウ君に時送りして貰ったので、これから茹でます」

「それ、作業ほとんど終わってるにゃ?」

「まあ、そうね」

「にゃはは。キボウと出掛けてくるにゃ」


「ユメちゃん、明日はキャラメルを持っていけると思うわ」

「ありがとにゃ。期待してるにゃ」


ユメはキボウと一緒に出掛けていった。


「この後はどうしますか?」

「お肉を茹でます。お肉の3~4倍にあたるたっぷりのお湯を用意して、沸騰させたところに入れ、火を弱め、4時間ほど茹でます」


「お湯沸かしてない!」

「はいはい。沸かしてあるわよ。まずはお肉の回りの塩を洗い流し、香味野菜類も入れて、茹でます」


「しばらくかかりますね」

「そうね。さあ、キャラメルの計量でもしましょう」

「はーい」「はい」

「それで、誰が来るの?」

「メリ姉、ミア姉、クララさん、覚えていれば、母も来ます。セリさんとカンナさんは、紙を巻く頃に来るらしいです」


結局、女性全員集合らしい。


「今回は、前回の倍量で作って、ユメちゃんとキボウ君がカンパニュラちゃんに持っていくぶんも作りたいわね」

「ユリ様、それ、作る前に言わない方が良いと思います」

「え?」

「倍量はユメちゃんが配る分とだけ言いましょう。メリ姉は気がつくかもしれないけど、ミア姉は緊張して作れなくなるかもしれません」


リラの意見に、リナーリまで頷いている。


「リナーリちゃんは大丈夫?」

「はい。誰が相手でも緊張するので、大丈夫です」


通常なので問題ないらしい。


「ユリ様、みんなが来る前に、先に1回作りませんか?」

「え、種類のため?」

「はい」

「どれ作りたいの?」


リラはメモを取り出し、種類を見ていた。


「苺は今回のメインなので、色が難しそうな、黒糖、ココア、アーモンドを作りましょう」

「なら、リナーリちゃんが、先に好きなのを選ぶと良いわ。とりあえず、アーモンドダイスを乾煎りします」


ユリがアーモンドダイスを乾煎りしている間に、リナーリは、黒糖を作ることに決めたらしい。


「なら、私がココアを作るわ。私には作れないけど、リラちゃんなら何とかなりそうな、一口サイズに丸めるのも教えるわよ?」

「なんですか、それ!?」

「切るタイミングで細長く切るか、マーブル台にあけて冷ましながら棒状に丸めるかして、それをカットして一つずつ丸めるのよ。私が作ると、軍手の上にゴム手袋をするから作業性が悪くて、終わる前に冷めて丸まらなくなるのよ」

「それ、作ります! 教えてください」


マーブル台に薄くサラダ油を塗ってきた。一応全員分のゴム手袋も用意し、作業の関係上、ユリとリナーリが先に作り始めた。その間リラは、他の配合を全て計量していた。


ユリとリナーリが作り終わったタイミングで、リラが作り始めた。キャラメルの量としては、前回と同じくらいで、出来上がる前に、アーモンドを混ぜる。


ユリが、黒糖とココアのキャラメルをカットし始めると、イリスとセリとカンナが来た。用意してあったオーブンシートと、ワックスペーパーをカットして貰い、早速包んで貰った。


リラのキャラメルが煮詰まり、アーモンドダイスを加え、頑張って混ぜていた。


「ユリ様、既に固いですー」

「ヌガーだもの」

「あー! 薄切りアーモンドで作ってクッキーにのせたこと有る!」


フロランタンを思い出したらしい。


「アーモンドの形が違うと、違うお菓子ですね!」

「配合は多少違うけどね。混ざったら、そのままマーブル台に出して、おおよそ分けましょう」


アーモンド入りキャラメルが出来上がる頃、予定のメンバーが全員揃っていた。


今回は、セリとカンナも作ってみたいと言い、ユリが監督として外れ、6種類を作った。


基本    カンナ

紅茶    イポミア

コーヒー  メリッサ

ヨーグルト セリ

抹茶    リラ

苺     リナーリ


イリスとクララも作りたいかと思いユリが聞いてみたが、紙を切りますと言って、包み紙を用意する方を担当してくれた。種類が増えたため、模様つきオーブンシートでは足りず、ワックスペーパーも持ってきたので、全種類違う模様の紙に包むことが出来た。


全てのキャラメルが包み終わった頃、ユメとキボウとソウが、様子を見に来た。キャラメルは全種類3個ずつ渡し、マーレイの分は、イリスに渡し、レギュムの分はクララに渡し、シィスル、マリーゴールド、グランの分は、ユリが預かるのだった。


「みんな、何か食べる?」

「はーい、手伝いまーす!」「私も!」


リラとリナーリが名乗り出たので、他の皆も手伝いランチを作り、食べてから解散した。


コンビーフは、火を消し、冷めるのを待っている。

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