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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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缶詰

日の出と同時に目が覚めた。


「ユリ、まだ5時くらいだよ?」

「うふふ、いつもの癖で」

「今日くらいゆっくりしようよ」

「まあ、それもそうね」


1時間くらいはゴロゴロしていたのだが、6時くらいになり、キボウが外を歩いているようなので、ユリは、テントから出て朝食の準備を始めることにした。火は、ソウが(おこ)してくれている。


「ユリ様、おはようございます」

「ユリ、おはようにゃ」

「おはよー、おはよー」

「おはよう。みんな早いわね。良く眠れた?」

「ぐっすりにゃ!」

「疲れてたみたいで、目を閉じたと思ったら、次は朝でした!」


ユリが食パンを持ってくると、ソウが食材を入れている冬箱を持ってきてくれた。


「朝ご飯にしましょうね」

「何作りますか? 手伝います!」

「ホットサンドよ。焼くのは私がするから、みんなも中身を選んでね」


8枚切り食パン、溶けるスライスチーズ、ハム、生卵、茹で玉子、板チョコ、リンゴジャム、ツナ、コンビーフ、ベーコン、アボカド、たまごサラダ、クリームチーズ、茹でてあるジャガイモ、茹でてある小松菜、刻み玉ねぎ、焼き豚の端など、色々な食材が並べられた。調味料も、塩、胡椒、マヨネーズ、ケチャップ、醤油など、色々有る。


「これ、何ですか?」

「それは、コンビーフね。牛肉の加工品よ。単体でも良いけど、チーズと挟むか、角切りにしてジャガイモと混ぜて塩胡椒をかけると、美味しいわよ」

「それにします!」


リラは、店で見たことがないものから選んでいた。リラは自力で作れるので、さっさと作り始めた。


「ユリ、多すぎてわかんないにゃ。おすすめで頼むにゃ」

「キボー、これー」


キボウは角切りベーコンとアボカドを指定してきた。


「ユメちゃん了解よ。キボウ君、チーズも入れて良い?」

「いーよー」


まとまりやすいようにチーズも足した。食べる時こぼれ難くするためだ。


「俺は、たまごサラダとハムとアボカドでよろしく」

「はーい。私はツナとチーズにするわ」


ユリの自分の分は、たっぷり目のツナに少々の刻み玉ねぎを混ぜ、溶けるスライスチーズをのせ、黒胡椒をかけた。ユメの分は、王道のハム、チーズ、卵で、切ってからケチャップを添える。


リラが1台(1個分)、ユリが2台(4個分)をBBQ台の弱火にかけ、ホットサンドを作り始めた。ユリもリラも手が離せないので、ソウとユメが、冷たい牛乳とお茶を用意してくれた。キボウは焼けるのをじっと見つめている。


ホットサンドが焼け、半分に切り、ソウとキボウの分を提供した後、ユリは、半分交換してユメに渡した。


「2種類有るにゃ! ユリ、ありがとにゃ」

「うわ、その手が」


ソウが振り返ると、ちゃっかりキボウはリラと半分交換していた。


「うふふ、ソウ、どっちが食べたい?」


ユリが自分の分と交換してくれるというので、ソウは考えた。ユリの本来のサンドはツナとチーズだから、ユメのハムチーズたまごを選ぶべきだろうけど、食べたいのは、ツナとチーズなのだ。


「そんなに悩まなくても、はい。ツナとチーズよ。次に作る中身も決めておいてね」


悩んでいるのでそういうことだろうとユリは、ツナとチーズのホットサンドをソウに渡した。


「ユリ、ごめん、ありがとう」

「気にしないで、いつでも食べられるわよ」


リラはキボウに何か説明し、キボウが喜んでいた。


「さあ、次はどうする?」

「ユリ、リンゴジャムと何を入れたら美味しいにゃ?」

「クリームチーズとシナモンかしらね?」

「それで頼むにゃ」


「ユメ、もうデザートなのか?」

「半分要るにゃ?」

「食べきれなかったら貰うよ。ユリ、俺の何か適当に頼む」

「はーい。ジャガイモ、ベーコン、チーズのジャーマンポテト風と、茹で玉子、焼き豚の端、小松菜の中華まん風を半々で作るわね」


リラとキボウは、ツナ、チーズと、板チョコ、クリームチーズを作って分ける予定らしい。ホットサンドを焼く器具を、リラが2人前用に交換に来た。


「ユリ、昨日のカレーの残りはどうしたのにゃ?」

「皿盛りにして、鞄に収納したわ。食べたかったら出すわよ」

「いっぱいあったのに、みんな食べたのかと思ったのにゃ」

「でも、残っているのは、3人前半くらいよ」


ユリは、ユメのリンゴジャムとクリームチーズの焼きサンドを半分貰った。ソウは、具材を半々で作るなんて、ユリは凄いと言いながら食べていた。甘いのは要らないらしい。


「ユリ様、コンビーフとジャガイモサンドも、ツナチーズサンドも、凄く美味しかったです。お店で出さないんですか?」

「コンビーフは、こちらにあるか、わからないのよ。ツナチーズなら出しても良いわよ。でも、てんてこ舞になるかもしれないわよ?」


焼く時間は、コンロの前に拘束されるので、他の事が出来なくなる。


「ユリ、集中的に売り出すときだけ、電気式のホットサンドメーカーでも使えば?」

「そうね。それ使えば、セットしたら焼き上がるまで、他の事が出来るわね」


「さすがにユリでも、コンビーフは作れないのか」

「ん? 作れるわよ? ただ、その缶詰のと同じ感じにはならないけどね」

「え、作れるの!?」

「割りと簡単よ?」


ユメが、可哀想な者を見る目で、ソウを見ていた。お疲れ気味のソウを、気の毒に思ったらしい。


「ユリ様、是非教えてくださいね!」

「構わないわよ。休みのうちに作りましょうか」

「私も参加するにゃ」

「キボーも、キボーも!」


少し復活したらしいソウが、発音の良い英語でリラに尋ねていた。


「リラ、corned(コーンド) beefビーフだったら、聞いたことあるか?」

「塩漬けの牛肉ですか? どこかの領地で聞いた気がします」

「多分、それと同じものだと思うぞ」


「ソウ、こっちにもあるの?」

「缶に入っているかは、わからないけどな」


こうして、帰ってからの予定も決まり、朝食後は、各自やり残したことをしようと、自由行動になった。集合時間は11:30の予定だ。

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