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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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結界

「キャラメルとか、結界とか、赤紫蘇のジュースとか、教えてください!」

「キャラメルと紫蘇ジュースは良いんだけど、結界ね、ちょっとソウと相談してからで良い?」

「はい。お待ちしております」


リラは、色々約束したものを習うために来たらしい。

ユリは良く考え思い出したのだ。結界の呪文を唱えたことがないことを。確か、女王になったときに、結界を張れるんじゃないか?と聞かれ、やってみたら、多重結界を張れたのだ。なので、簡易結界の張りかたが分からない。

昔、ソウとカエンが話していた結界は、

青色 転移結界、

黄色 精神結界、

赤色 物理結界、

白色 反射結界、

金色 増幅結界、

黒色 呪縛結界。

他と違い、黒色は、呪われているものを中に入れて使う。イエロー公爵夫人のライラックの回りに置いてあったのが、黒い結界の魔道具だった。


話を思い出して突然理解した。あの結婚式の時の結界強めのキラキラは、金色の増幅結界だったのだと。


ちょうどソウが2階から下りてきた。


「ソウ、結界を張るコツとかってある?」

「何の話?」

「リラちゃんが結界が張れるかもって、泊まりに来たとき話したでしょ? だけど、私は簡易結界は張れないから教え方が分からなくて」

「あー。俺が少し教えるよ」


ソウは、ユリが理解しているのと同じ説明をリラにしたあと、必要を感じる状況下を考え、自分と相手を隔てる壁をイメージして、やって見せるから真似てみたら良いと説明していた。


外に出て実践するらしいので、ユリもやってみようと思い、ついてきた。


「石でも木でも良いから、何か対象物を決めて、自分と相手を隔てるイメージをして、何を守りたか考えて、指で線を引くように隔たりを作って」


言われた通り実践して、ユリは、すぐに物理結界の単体を張ることができた。


「ユリ、凄いよ。それの色見える?」

「え? 色? うーん、ほんのり赤っぽいかなぁ?」

「正解。それは物理結界。そのまま他の色も頑張ってみて」

「うん、わかった」


「リラ、難しいか? ユリの今張った結界の色は分かるか?」

「お店に張ってある結界よりは、赤いような気がします」

「色まで見えるなら、あとは、実際に危機感を抱かないと難しいのかもなあ。ちょっと石投げるから、結界で防御してみて」

「え!?」


ソウは小さな石をリラに向けて投げた。体に当たらないすれすれだが、さすがにいきなりだったのでリラは驚いた。


「ひゃ!」

「お、成功したな」

「え? うわー!本当だ!」


すぐに溶けるように消えてしまったが、物理結界が張れたらしい。


「今の感じを頑張って再現してくれ」

「ホシミ様、ありがとうございます!」


一人で練習していたユリは、突然声を上げた。


「黒色結界まで出来るようになったわ!」

「え!? ユリ、まじで?」


小さな石の回りに、黒いモヤのような空間がある。


「うん。魔道具で見たことあるからね」

「さすが、聖女(ユリ)

「ユリ様、凄い!」

「ユリ、凄すぎるにゃ」

「ユリすごーい、ユリすごーい」


いつのまにか、ユメとキボウも見学しに来ていたらしい。


呪われた道具などを聖女が清めるまでの仮置きに使う黒色の結界を、呪われた人や物を清められる本人が使えても、使い道あるのかなぁ?と悩むソウだった。


リラの気が済んだらしいので店に戻り、キャラメルと紫蘇ジュースを作ることになった。ところが、それを止めるようにソウが声をかけてきた。


「リラ、お昼ご飯は食べたのか?」

「え、まだです」

「ユリとリラは何か作る前に、昼ご飯にしないか?」

「そういえば、お腹空いたわね。何か作りましょう」

「手伝います!」


何が良いかしらね。と言ったユリに、リラが、食べたことがないもの!と反応し、焼そばを作ることになった。キャベツ、モヤシ、豚バラの薄切りを炒め、濃いめのコンソメスープで軽く湯がいた中華麺を投入し、オイスターソースを少し加えたソースで調味する。紅生姜を添えて、出来上がりだ。


「ユリ、何か面白い作り方してたけど」

「あ、コンソメで湯がいたこと?」

「うん」

「時短よ。中華鍋で大量に作る時に麺を蒸して作ると、混ぜにくいし時間ばかりかかって、炒めた野菜がしんなりしちゃうからね」

「へえ。お湯入れて蒸し焼きって、うまく行かなくて麺が切れることがあるけど、これなら麺が細かくちぎれたりしないんだな」


リラは、ソウから受け取った卵で目玉焼きを人数分作っていた。何か途中騒いでいたが、ソウに説明され、おとなしく焼いたらしい。


焼きそばをテーブルに置くと、リラがフライパンをもって目玉焼きをのせていった。なんと、全て双子の卵らしく、少し小さめの黄身が2つある。


「どうなってるのにゃ?」

「黄身が二つ入っている双子の卵ってのを売ってるんだよ」

「昔、寿さんのところで見たことあるけど、お菓子やさんには使いにくい卵だったわ。でも料理屋さんなら面白いわね」


卵黄と卵白を分けて使うのなら、手間が増えるだけなのだ。卵屋が納品を間違えたらしい。


「たまーに、3つ子とかもあって、最高で、小さい黄身が7個入ってるのを見たわ」

「そんなのあるのにゃ」

「なんだか面白いですね」

「さあ、食べましょう」


食べながら、紅生姜の作り方を説明した。リラは気に入ったらしく、作ってみると言っていた。


お昼ご飯を食べ終わった頃、リナーリが数人を引き連れて訪ねてきた。皆リナーリくらいの年齢に見える。


「ユリ様、黒猫様の鞄の作り方を教わりに来ました」

「ユリ様、黒猫様の背負い鞄、教えてください!」

「背負うタイプと、マチがある小型の巾着タイプと、イチゴでも魚でも、好きなのを教えるわよ」


ユリは指輪から、黒いキルティング布、黒いデニム調の厚手の布、黒い柔らかい布、その他カラフルな布、芯地、各種型紙、チャコペン、ハサミ、紐、補助布、針、まち針、糸、仕付け糸、化繊綿、ナスカン等をたくさん取り出した。そして、出来上がり見本としての、マチがある猫型巾着。


作る種類を選らんで貰っている間に、リラに聞いてみた。


「紅生姜を作るなら、赤い梅酢が必要だから、梅干しを赤くする方法から説明と実践した方が良いわよね?」

「今日は、リナーリたちに譲ります。私も鞄を作る方を少し手伝います」

「そう?どうもありがとう」


作るのを見たことがあるリラは、指導側で参加してくれた。ユリが作ったのは、ミシンなのですぐ出来たが、皆は手縫いなので、出来上がるまでに時間がかかる。


ユメも参加して、マチがある巾着袋を作っていた。キボウは参加はしていないが、うろうろしている。


ユリは、木の形に見えるように、下側が茶色く底が丸く、上側が綿入りでモコモコっとした緑色の巾着袋を作って、キボウに渡した。


「キボウ君、鞄じゃないけど、これどう?」

「! ユリー、ありがとー!」


気に入ったらしく、ニコニコして持ち歩いている。


「ユリ様、今のキボウ君の袋、良いですね」

「型紙有るから作れば良いわ」

「この型紙って、誰が作ったんですか?」


クリスマスツリー型の袋を考えた時に作ったのだ。本来この後、クリスマスオーナメントのような飾りをつける。


「私が昔作ったのよ」

「えー!ユリ様凄い!」


何を驚いたのかと思ったら、底が丸い物の縫いあわせを驚いたらしい。ユリは、リラに円周率の説明をするのだった。


型紙さえあれば、リナーリたちも特に問題なく縫い上げられていた。ユリはソウに頼んで型紙を複製し、1組ずつ参加者全員に渡した。


「ユリ様、たくさん作って売っても良いですか?」

「構わないわよ。足りないものがあったら買ってくるから注文してね」

「ありがとうございます」


注文した場合の価格を聞いた後、リナーリたちは帰っていった。


「明日また来まーす」


リラも、おとなしく帰るらしい。

帰る間際のリナーリに、何か言っていたのが少し気になる。

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