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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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休憩

ユリがお昼休みから戻ると、厨房に全員が揃っていた。早速ソウとイリスにモヒート風のドリンクを渡し、休憩メンバーを交代した。


「イリスさん、配膳一人で大丈夫ですか?」

「ご心配には及びません」

「ユメちゃん、配膳や注文はしなくて良いから、黒猫クッキーだけ、頼まれたら売って貰える?」

「わかったにゃ!」

「キボー、てつだう!」

「キボウ君、お願いします」


キボウにも籠入りのクッキーを渡し、販売を頼んだ。


「ユリ、俺は何をすれば良い?」

「注文が入ったら、モヒート風と、15分後の13時から、冷やし中華とスープの販売をするから、その助手をお願いします」

「了解」


ユリは話しながらも、冷やし中華を仕上げていた。リラは手伝いながら、仕上げを覚えていた。メリッサとイポミアは、自分で温かいスープを注いで来たらしく、冷やし中華の出来上がりを待っているようだった。マーレイが、リラの分のスープも持ってきて、ちょうど出来上がった冷やし中華をユリから受け取り、作業台のひとつに置き、椅子を持ってきていた。


「さっき見て、早く食べたかったです!」

「冷たい麺って、夏にぴったりですね」

「難しい工程無かったから、ベルフルール(うちの店)でも出したいなぁ」

「出すなら、タレの配合教えるわよ?」

「ありがとうございます!」


ユリは、冷やし中華用に皿を15枚並べ、具もトレーに並べ、すぐに出せるように用意した。


「ユリ様、注文は何時から受け付ければよろしいでしょうか?」

「先に聞いてきても良いわよ。品物は13時から出すけど」

「では、入れ替りの事もございますので、5分前に戻ってこられるように聞いて参ります」

「お願いします」


そして5分前に、イリスは厨房に注文を通してきた。


「冷やし中華9、コーンスープ12お願いします」

「冷やし中華9、コーンスープ12了解です」


厨房にいた全員が驚いた。

注文が全員じゃない!?


来客に、子供や既に食べ終わっている女性がいて、少なめとはいえ、今から一人前は食べられないらしい。入れ替わればほとんどの人が注文するのだろう。


急いで9人前仕上げ、ソウがスープを12カップ用意してくれた。ユメとキボウがカトラリーを揃え、1人前ずつ運び、4人前ほど手伝ってくれた。残りの5人前は、イリスが2度に分けて運んでいた。なお、スープは全てイリスが運んだ。


「ユメちゃん、キボウ君、配膳ありがとう」

「よかったねー」

「少しだけにゃ」

「ユメちゃん、キボウ君、どうもありがとうございます。大変助かりました」


戻ってきたイリスも、ニコニコしながらお礼を言っていた。



「ユリ様、休憩は分けて取っても良いでしょうか?」


食べ終わったらしいメリッサが、ユリに質問してきた。


「食休みをしないで、配膳に加わると言う意味?」

「後10分ほど食休みをしたら、配膳に加わり、イポミアが戻ったら、残りの時間分を休みたいと思います」

「お店としてはとてもありがたいけど、メリッサさんが大変じゃない?」

「いえ、手を出したくてうずうずしてしまって落ち着かないので、いっそ正式に許可を貰って手伝ってしまおうかと思いまして」

「どうもありがとう。よろしくお願いします」


メリッサは、ユリがわかりやすいようになのか、13時15分から仕事を開始していた。


客が入れ替わり始め、空いた食器を下げてきたイリスが、配膳の用意をしているメリッサに驚き、説明され、お礼を言っていた。


メリッサが加わってから少し経った頃、冷やし中華を持ち帰りたいと言い出す人がいたらしい。メリッサが、ユリに相談に来た。


「ユリ様、足を怪我したらしい知り合いに、冷やし中華を持ち帰りたいと言っているのですが」

「何処の人? 近所の人?」

「聞きに来た人は知り合いです」

「んー、なら、器代がかかるけど良いか、聞いてきて貰える?」

「ありがとうございます!」


メリッサは、すぐに戻ってきた。


「ユリ様、食べる人も、よく聞いたら近所の知り合いでした」


ユリは、大きいココット3つに、具と麺とタレを分けて入れ、器代を含んだ料金を請求するように伝えた。器は返しに来れば良いので、かなりのサービスだ。


少し困ったようなイリスが、質問に来た。


「ユリ様、今メリッサが売ったのは、他の方にも可能でしょうか?」

「受け取ってから10分以内に食べ始められる環境なら、良いわよ」

「かしこまりました」


明日も明後日も売る予定なので、無理ならしょうがないと、すぐに諦めて貰えたらしい。


「ユリ、お茶は売っても良いにゃ?」

「ユメちゃん、どのお茶?」

「私が飲んだミントティーにゃ」

「さっき飲んだ どのバージョンも、ハーブティーとして売って構わないわよ」

「ありがとにゃ」


ユメはお客と話し込んで、結果的に勧めて来たようだ。空の茶器とミントとレモンスライスと蜂蜜を持って行った。バタフライピーは要らないらしい。

お湯はどうするんだろう?と思い、ユリが心配して見ていると、ソウにヤカンで頼んでいた。


「ユメー?」

「キボウ君、ユメちゃんなら、お店にいるわよ」

「わかったー」


キボウはユメに頼まれ、バタフライピーの生の花を取ってきたらしい。キボウなら高さに関係なく収穫できるので、頼んだのだろう。


お湯が沸いた頃、リラとマーレイとイポミアが戻ってきた。


「イポミアさん、メリッサさんに休憩に入るように声をかけてくれる?」

「はい」


戻ってきたメリッサに対しユリは、希望のデザートを聞いた。見たことがないものが良いと言うので、明日から予定の梅ジュースゼリーと、ユリの鞄に入れたままになっているいくつかのデザートを提供すると、とても喜んでいた。

流石に梅酒ゼリーは、夕食時まで待って出すつもりだ。



全員揃ってからも特に問題もなく、第三回の女性と未成年者優遇デーは無事終了した。ちなみに、今日はラベンダーは来なかった。

冷やし中華

https://ncode.syosetu.com/n6193ha/22/

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