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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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熱狂

大変申し訳ございません。

1話抜かしてしまいました。

この話の前々回に「父日」を差し込みましたので、ご興味がある方は、お読みください。例え読まれずとも、進行に差し障りはございません。

ユメとキボウに、昨日ユメが作った3リットル瓶の梅ジュースを持たせ、先に出発して貰った。

ユリとソウは、大量の荷物を魔道具の鞄に詰め込み、マリーゴールドを連れ、城へ出向いた。


城につくと、すでにユメとキボウは到着しており、ローズマリーとラベンダーも待っていた。


「アルストロメリア会、特別開催ですわね」

「人数的に、あちらではどうにもならないですよね」

「ユリ様、割烹着のままいらしたのでございますか?」

「馬車に乗る訳じゃないからね」

「それもそうでございますね」


ローズマリーとラベンダーは、領地と王城の転移陣を使いここに来ている。帰りは送っていく予定だが、行きはバタバタするので、各自現地集合して貰った。


マリーゴールドは、地味なドレスを着て、割烹着を手に持っている。なんと、ドレスはリラが手伝って着たそうだ。ユリの思慮が足りなかった。


「ソウ、エプロンする?」

「参加者の分はどうするんだ?」

「全員、何か適当なエプロンをするように言付けてあるわよ?」


ユリ以外が、少しおののいていた。

少しすると、ハイドランジアが、挨拶に来た。


「本日は、無理なお願いをお聞き届けくださり、誠にありがとうございます」

「主催は、ハイドランジアなの?」


ソウが尋ねた。


「本日の主催は、陛下でございます」

「あー、そういえば、そうだな、女性が先で良いんだよね?」

「はい。男性参加者は、初代様の間に11時に集合の予定です」

「なら、俺は、そっちで待ってるよ」


今いるここは、城のソウの部屋だ。


「あら、こちらには参加しないの?」


ユリは、一応聞いてみた。


「ユリ、ユメ、キボウ、ローズマリー、ラベンダー、マリーゴールドがいて、俺必要?」

「まあ、良いわ。荷物だけは持ってきてね」

「あーそうだな」


ソウは荷物だけ運ぶと、さっさと行ってしまった。いまだに女性だらけの空間は、嫌いらしい。


部屋には、サンダーソニアやカンパニュラもいて、メイドとは違った可愛らしいエプロンをつけていた。その他のメンバーも、普段エプロンをしない侍女や騎士までシンプルなエプロンをつけている。ハイドランジアもエプロンを受けとり、つけていた。


ハイドランジアやサンダーソニアやカンパニュラや一部の侍女は割烹着を持っているのに、指導側と分ける意味なのか、エプロンをつけていた。ちなみにキボウは、アルストロメリア会から、白衣と割烹着の双方を貰っているので、今日は割烹着を着ている。


「ユリ、騎士までエプロンをつけてるにゃ」

「あら、ちょっとニュアンスが伝わらなかったのねぇ」


ユリとしては、「全員」とは、作業をする全員と言う意味で使ったが、受けた方は、部屋にいる全員と理解したらしい。まあ、足りないよりはずっと良い。


「さあ、始めましょう」


マリーゴールドが、てきぱきと梅を量っていく。ラベンダーが、氷砂糖を量り、ローズマリーは、お酒を量っていた。ユメとキボウは、1リットル瓶を配っている。蓋の色が違い、一目で酒かジュースか見分けられるようにしたのだ。


ユリはホワイトリカーをいれたスプレーをいくつか回し、声をかけた。


「瓶は洗ってありますので、濡れていたらきれいな布で良く拭いて、そのあと、このスプレーを噴射してください。中身は濃いお酒です。これは消毒です。終わったら、瓶を伏せておいてください」


一気に120本の瓶を洗う場所はないだろうと考え、瓶は洗って持ってきた。


「配られた少ない方の梅が梅酒用で、多い方の梅が梅ジュース用です。双方綺麗に洗い、ヘタを取り除きます」


手元の桶やボールに入れた水で、梅を洗い始めた。


目打ちを配り、ヘタを取る見本を見せた。


「この後、3時間くらい水に浸けるのですが、先に浸けてあります。ヘタを取ったら、梅をきれいな布で良く拭いて乾燥させます。梅ジュース用の梅は、袋に名前を書いてください、一旦回収します」


袋に入れた梅を回収し、真冬箱に入れ、キボウが時送りした。


「梅酒用の梅を瓶に入れ、氷砂糖を入れ、お酒を入れ、出来上がりです。瓶に、名前、内容、日付を書き、冷暗所に3か月から1年ほど保存します」


次々出来上がり、喜びの声が上がっていた。


「次は梅ジュースです。預かった梅を返しますので、取りに来てください」


名前が書いてあるので、分かる人に配って貰った。


「梅ジュースは、梅、氷砂糖少し、を繰り返し詰め込みます梅が優先です。入りきる予定ですが、もし入らないときは、氷砂糖を袋に戻し、(かさ)が減ってきてから加えてください」


皆、順調に詰め込んでいった。


「梅は、凍らせなくても作れますが、凍らせた方が、失敗なく簡単に作れます」


ここにいる人たちは、真冬箱に充填出来ないような魔力の無い人は少ないと思うが、メイドたちの中には、真冬箱が買えない人もいるかもしれない。参加者には、明らかにメイドや料理人が混ざっている。


梅ジュースも、全て梅を詰め込み終わり、全員が出来上がったようだ。


「しっかり名前を書いてくださいね。皆同じ形の瓶なので、分からなくなったら見つけられません。そして、すぐ飲めるようにしたい人は、こちらに持ってきてください。キボウ君が、時送りしてくれるそうです」


「梅ジュースの、白い蓋の瓶はこちらにお願いします」

「梅酒の、黒い蓋の瓶はこちらにお願いします」


ラベンダーとマリーゴールドが、集める瓶を分けてくれていた。


意外なことに、時送りを希望する人は少なかった。

里帰りする時に、持ち帰る予定だと話していた。


「ユリ様、この後も作られるのですよね? もしよろしければ、お手伝いいたします」

「ありがとう。初代様の間にお願いします」


サンダーソニアが手伝ってくれるらしい。


ワイワイしているところを解散し、部屋を移動した。

ユリは面倒で、割烹着のままだが、マリーゴールドは、きちんと割烹着を脱ぎ、手に持って移動していた。


「あー、女子力だわね」

「何でございますか?」


ラベンダーに聞かれたが、ラベンダーもちゃんと割烹着は脱いでいた。ふと、ユメとキボウを見ると、ユメもちゃんと脱いでいて、着たままなのは、ユリとキボウだけだった。


初代様の間に入ると、男性は全員ソウと同じ、博士みたいな白衣を着ていた。アルストロメリア会からの進呈らしい。


ソウが説明したのか、暇だったのか、全て計量が終わっていた。梅1kg×2、氷砂糖1kgと500g、黒糖500g、ブランデーvo1800ml、ラム酒1800ml。


「計量も用意も終わっているようなので、早速作りましょう」


目打ちを渡し、ヘタを取って貰い、梅を洗って、良く水分を拭き取り、瓶に、1kgずつ入れる。


付いてきたカンパニュラは、パウローニアの梅のヘタ取りを手伝っていた。

ラベンダーは、義父のダビディア・レッドを手伝っていて、

サンダーソニアは、姉から頼まれましたと言って、キャンファー・ブルーを手伝い、ローズマリーは、当然パーシモン・パープルの手伝いをし、ソウが菊之介と話しながら手伝っていた。

マリーゴールドは、ゼルコバ・ブラウンを手伝い、ユリは、ギンコー・イエローを手伝った方が良いかな?と考えていると、ユメとキボウが手伝ってくれていた。


私の出る幕はなさそうねぇ。うふふ。

ユリは一人笑いながら、全体を監督していた。


2種類と言っても梅酒だけなので、あっという間に出来上がり、キボウが時送りをすると言って半分ほど時を早めていた。希望しない人は、出来上がりをじっくり楽しむためらしい。


参加者は、ホクホク顔で梅酒を両手に持ち、ソウ、ユメ、キボウは、パープル侯爵夫妻と帰り、ユリは、マリーゴールドを連れたまま、ラベンダーと、ダビディア・レッドをつれ、レッド公爵邸に転移した。

ラベンダーに、マリーゴールドのドレスのメンテナンスを頼み、家に戻ってきた。マリーゴールドには、ユリの私服を貸した。


先に帰ってきていたソウが、鞄から青梅を取り出していた。


「ユリ、梅10ケース(100kg)買ったから、4kg余ってるんだけど、何か作る?」

「お城の8リットル瓶を返して貰ったから、梅ジュースを仕込みましょう」


家内用の梅ジュースを仕込み、みんなが手伝うのだった。

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