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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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梅酒

お店がお休みのWの日(みずのひ)の9時頃。


「おはようございます!」


予定より早くリラは来た。ユリも、リラは来るだろうと考えていたので慌てはしなかったが、一緒にいたソウは笑っていた。

ソウは先に店に行き、リラに話しかけた。


「おはよう」

「ホシミ様、お早いですね」

「ああ、そうだな。リラ、梅酒を売る予定なのか?」

「え? どうしてですか? 売る予定は考えていませんが」

「昨日ユリに、1リットル瓶でいくらになるか聞いただろ? ユリが瓶を増やした方が良いのかと心配していたぞ?」

「あー、それはですね、お父さんとかおじいちゃんとかにあげたいので、買い取りたいと思いまして、ちょっと聞いてみただけです」

「あげなくて良いのか?」

「今日、作りますし」

「まあ、そうだな」


ユリも店に来た。


「おはよう。やっぱり早く来るのね」

「え? 準備必要ありませんか?」

「大変助かります」

「良かったです」


ユリとリラは準備を始めた。1リットル瓶の在庫は20本以上あるが、10本だけテーブルに並べてある。


「1リットル瓶は10個ですか?」

「シーミオちゃんを入れて10人だと思うんだけど、他に誰か来そう?」

「リナーリ呼んできますか?」

「それは、あなたに任せるわ」


リラは、並べてある道具が気になったらしい。


「ユリ様、これなんですか?」

「それは、手芸に使う『目打ち』と言うものです。梅のヘタ取りに使うと、便利なのよ」

「あー、竹串、何本も折れてましたね」


シィスルとマリーゴールドが大変そうだったなぁと思い出したらしい。二人で梅を6kg以上処理したのだ。


ユリとリラは、グラニュー糖200g×3、

氷砂糖2kg×7、3.8kg×3、450g×10、250g×10、

ブランデーvo3600ml×7、450ml×10を用意した。


「そろそろみんな来るかしらね?」

「全員来たら開始しますか?」

「ユメちゃんとキボウ君も来たらね」


10時少し前、全員が続々やって来た。


「戻ったにゃー!」「キボー、きたー!」

「おはようございます」「シーちゃんでつー!」


全員が手を洗い、エプロンもつけ、スタンバイした。


「梅の下処理は、どの梅も同じです。水に3時間浸けてありますので、全て洗ってヘタを取ってください。傷があるものを避けておいてくださいね」

「はい」「はーい!」「はい」「はい」


わいわい楽しそうに、梅のヘタ取りが始まった。

梅のヘタを取る者、梅をきれいに拭く者、皆適度に分かれ頑張っている。出来たものをユリがしっかり乾燥させた。

リラはユリに言われていた通り、乾燥した梅を量っていく。4kg×3、450g×10、2kg×7、250×10、それと残りだ。


「4kg×3と450g×10は、冷凍します。キボウ君に手伝って貰いましょう」

「キボー、てつだうー!」

「キボウ君、1日頼みたいんだけど」

「いーよー」


ユリとリラで真冬箱に梅を入れておいた。


「いちにちー!」

「キボウ君、本当にありがとう。大変助かりました」


キボウはニコニコしていた。


「梅酒は、梅、氷砂糖、酒の順で瓶に入れます。お酒は、20度以上のものなら他に変えても良いです。お酒の度数が低すぎると失敗方向に発酵します。基本は癖の少ない焼酎などで作ります。お酒をラム酒にして、氷砂糖の半分を黒糖にしても良いです」


ユリの説明に、皆がメモを取っていた。良く見ると、シーミオまでなにかメモをしているので、ユリはそっと覗いてみた。すると、なんと図解だった。ユリは少し複雑だった。ユリの絵よりも分かりやすそうだったからだ。


気を取り直し、梅ジュースの説明を始める。


「梅ジュースは、梅1段、氷砂糖パラパラを繰り返し、梅を優先的に瓶に入れます。最後入りきらない氷砂糖は、わかるように避けておきます。梅と氷砂糖の隙間に、グラニュー糖を流し込むように加え、しばらく放置します。かさが減ってきたら、残りの氷砂糖を加えます。グラニュー糖を使わず、全て氷砂糖でも良いです。ちなみに、梅は凍らせなくても作れますが、凍らせるのが一番失敗せず楽に作れる方法だと思います」


瓶の口まで氷砂糖を詰め込み、残りの氷砂糖は袋に入れて避け、瓶に蓋をした。


「さあ、梅酒と梅ジュースを作ってみましたね。どちらか好きな方を自分用に作りましょう。あ、その前に、味見してみますか?」


キボウに頼み、梅酒を1年、梅ジュースを1か月時送りして貰った。冷水で割ったものを希望者に少しずつ配り、全員が味見をした。勿論、シーミオは梅ジュースしか飲んでいない。


「シーちゃん、うめじゅーつ!」

「うわー、両方欲しいー!」


シーミオのすぐ後に、イポミアが騒いでいた。


「ミア姉、あとでリナーリ呼んで梅ジュース作らせるよ。だから梅酒作れば?」

「リラ、ありがとう!」


梅酒希望は、ソウ、マーレイ、イリス、メリッサ、イポミアで、梅ジュース希望は、ユメ、キボウ、リラ、シーミオだった。リラの予定として、昼休みにベルフルールのメンバーを呼び、おそらくシィスルとマリーゴールドは梅酒、リナーリは、梅ジュースを作るだろうと考えているらしい。


「瓶には、製造日と、内容を書いて貼りつけておいてね。梅ジュースはすぐなくなると思うけど、梅酒は、3か月以上置くからね。毎年作り続けると、いつのかわからなくなったりします」


ユリの言葉に、皆、紙に内容を書いていた。小さめのジッパーバッグに入れ、瓶に貼りつけた。


ソウと女性陣はブランデー梅酒を作っていたが、マーレイはユリに習いに来て、黒糖ラム梅酒を作った。自己主張するのは珍しいなぁと思いながらユリは指導した。


「ユメちゃんとキボウ君は、世界樹様に差し上げたりしないの?」

「つくるー!」

「キボウ、世界樹様にどっちあげるのにゃ?」

「うふふ、両方作れば悩まずにすむわよ?」

「りょーほー!」

「なら私は、メイプルたちの分を作るにゃ」

「お城には、梅ジュースを1瓶持っていって良いわよ」

「ありがとにゃ!」


残った梅で、梅味噌と酢漬けを作り、予定外に余った梅は、梅酒と梅ジュースを全て1リットル瓶で作る予定だ。


「これは、何になるのですか?」

「酢味噌として使えますが、あー海産物無いから、刺身蒟蒻を、梅味噌が出来たら用意します」


タコが入ったぬたを想像したが、タコの説明が面倒で、刺身蒟蒻と言ったのだった。


「酢漬けは何に使いますか?」

「そのままお酢として使うと香りが良くなります。水で薄めて飲んでも良いです。好みで、糖分も一緒に漬け込みます」


お昼ごはんを食べ解散した後、ベルフルールの休み時間に、シィスルとマリーゴールドとリナーリが来て、リラの予想通り、シィスルとマリーゴールドは、梅酒希望だった。ユリが不思議に思って尋ねると、里帰りの時に持ち帰る予定らしい。


尚、ソウとユメは、自分用ではなく贈答用だというのだ。

ソウはパープル侯爵に、ユメはローズマリーにらしい。


ユリは、ラベンダーにも渡すべきかと悩んでいると、キボウが、作った梅ジュースをユリに渡してきた。どうしたのか尋ねると、割って飲むのを用意するのはユリだから、自分用は要らないと結論付いたらしい。


ソウとユメが出掛けてしまったので、キボウに断って、ハイドランジアとラベンダーを回り、衣装のお礼として梅酒と梅ジュースを置いてきた。


持ち出す瓶は、キボウが時送りをし、すぐ使用できるようにして差し上げてきたのだった。

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