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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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青梅

小梅のカリカリ梅を漬けた10日後のFの日(かえんのひ)、大量の青梅が届いた。40kg以上有る。梅酒と梅シロップに20kgずつ使おうと考えている。


◇ーーーーー◇

8リットル10瓶 梅酒

青梅 2kg

氷砂糖 2kg

酒 3600ml(2升)


8リットル5瓶 梅ジュース

青梅 4kg

氷砂糖 3.8kg

グラニュー糖 200g


1リットル瓶数本

りんご酢

黒酢

味噌

氷砂糖

◇ーーーーー◇


「こんな感じかしらね」


ユリは、昼休みに必要な瓶の数を計算し、メモを書いていた。


「ユリ様、梅酒って、あのシャーベットに使ったビン入りのお酒ですよね? 梅ジュースは梅の絞り汁ですか?」


絞り汁? リラはどこからその発想が? と考え、リンゴジュースやオレンジジュースからね! とユリは思った。実際は、ユリがメモに、シロップと書かずに、ジュースと書いたからだ。


「絞り汁ではなく、ジンジャーエールや紫蘇ジュースのような、薄めて飲むジュースのもとを作るのよ」

「いつ作りますか? 勿論手伝わせて貰います!」

「梅を洗うのと、ヘタを取るのが手がかかるから、手伝ってくれるのはありがたいけど、今日は無理だから、明日頑張ろうかと考えていたのよ」

「今日はしないんですか?」

「瓶が足りないからね」


リラは少し考えてから、ユリに再度聞き直した。


「今日、手が空いたら、梅を洗ってヘタを取るのをしても良いですか?」

「それはとてもありがたいけど、良いの?」

「ユリ様、これって、お店で使うんですよね? それって仕込みですよね? ユリ様が一人でする必要はないと思います。それに、空き瓶なら何個か有るはずなので、それを使って、シィスとマリーにも教えてください」


空き瓶とは、ピクルスに使っていた瓶らしい。


「先日カリカリ梅を仕込んだじゃない? 梅の下処理は一緒で、教えるのは配合くらいよ。それも割りと単純で、梅酒は、梅1、糖分1、酒1.8で、梅シロップは、梅1、糖分1よ」

「聞いた感じは、確かに単純そうですね」

「使うお酒の種類を変えたり、糖分の種類や割合を変えたりするのよ」

「割合ですか?」

「梅酒を水なり炭酸なりで割って飲む人は、梅と糖分が1:1で良いけど、できた梅酒をそのまま飲むお酒に強い人には、糖分を減らさないと甘すぎるらしいわ。うちのは、お菓子に加工する前提だから減らさないけどね。それで、糖分を減らす場合は、熟成期間を増やすのよ」


「仕込んでからどのくらいで使用出来るか教えてください」

「カリカリ梅は、3週間から1か月で出来上がり、3か月から半年で食べきってください。

梅酒は、3か月から6か月で出来上がり、10年経っても大丈夫らしいです。

梅シロップは、1か月くらいで出来上がり、梅を取り除いて冷蔵保存で1年くらい大丈夫です。発酵しかけたら加熱します」

「わわわ、もう少しゆっくりお願いします」

「後で表にして渡すわ」

「ありがとうございます」


リラは何やら考えがあるようだ。


「明日、梅を洗ってヘタを取る人を募集しましょう」

「募集するの?」

「この材料は、高価ですか?」

「んーだいたい、1kgが、梅1000(スター)、氷砂糖1500(スター)、酒1升3000~(スター)くらいかしら」

「一番安く作っても、梅酒は5500(スター)くらいなんですね」

「売るなら、瓶代と手間賃も入るわよ? 梅1kgは4リットル瓶ね」

「出来上がり1リットルくらいで作ったら、いくらですか?」

「そのまま1/4にして、瓶代と手間賃取れば良いんじゃないの? 1400(スター)と瓶代と手間賃かしらね」

「うーん、無理かぁ」


「人を集めるなら、自由参加にして、アルバイト代と、ランチ提供すれば良いと思うわよ?」

「それでみんな来ますか?」

「元々私一人でしようと思っていたくらいだから、誰も来なくても問題ないわ」


そんな話をしていたら、皆が昼休憩から戻ってきた。


「明日、梅酒と梅ジュースの仕込みをします。自由参加です。アルバイト代と昼食付きです。参加希望の方は、帰る前までに教えてください」

「何時頃ですか?」

「参加希望人数にもよりますが、10時頃からの予定です」

「参加するにゃー!」

「キボーも!」

「あのぉ、シーミオを連れてきてもよろしいでしょうか?」

「是非。シーミオちゃんが手伝えることもたくさん有りますよ」


営業が始まり、少し手が空いた時間に、リラはシィスルとマリーゴールドを呼び出した。


「ユリ様、シィスとマリーに御指導ください。私が注文をこなしておきます」

「あ、うん。シィスルちゃん、マリーゴールドちゃん、梅酒、梅ジュース、梅味噌、酢漬けを教えます」

「ありがとうございます」

「ありがとう存じます」


一足先に、シィスルとマリーゴールドに指導することになり、お店の注文をリラに任せ、解説を始めた。


「梅の下処理は、カリカリ梅と同じです。梅6800g 、洗ってヘタを取ってください」

「はい」「かしこまりました」


二人はメモを取りながら真剣に手早く仕込んでいった。難しい手順などは無いので、その都度ユリに質問しながらあっという間に4種類を終わらせた。


一通り教えると、シィスルとマリーゴールドは帰り、ユリは仕事に戻った。


「リラちゃんは教わらなくて良いの?」

「私は明日来ますので、問題ありません」

「明日わざわざ来なくても、今見ていたから作れるんじゃないの?」

「明日は、助手が出来ますね。えへへ」


何を言っても言いくるめられそうなので、ユリは諦めた。


「明日、手伝う人に、個人用の梅ジュースか梅酒を作ってもらったら喜ぶかしら?」

「どういう意味ですか?」

「1リットル瓶に、好きな方を差し上げますよって、各自作ってもらうのよ」

「うわー! それ良いですね。お父さんが強制参加だ。あはは」

「マーレイさん忙しいんじゃないの?」

「梅酒が貰えるなら、2時間くらいなんとかすると思いますよ?」

「本人が希望するなら良いんだけどね」


メリッサは娘のシーミオを連れてくると宣言していたので、帰り際に簡単に話しておいた。この話は夕飯の時に全員にした。するとリラの予想通り、マーレイもイリスも参加希望だった。


「リラちゃん、昼にシィスルちゃんとマリーゴールドちゃんが仕込んだのは、出来上がったらベルフルールに持っていって良いわよ」

「ありがとうございます!」


結局、明日は全員参加らしい。

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