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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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桜桃

ユリは朝早くから、いつも通りの仕込みの準備をしたあと、イチゴとサクランボのショートケーキを作っていた。

魔道具の鞄にしまってある苺をたっぷり使い、スポンジに生クリームと厚めにスライスした苺をサンドし、上にアメリカンチェリーを飾った、生クリームたっぷりの長方形のカットケーキを作っていたのだ。


「これで良しっと」


カットはしたが取り分けず、回りに乾燥防止のフィルムを貼って、そのまま冷蔵庫に保存した。次に、6号スポンジ2台を使い、同じように作り、飾りには2種類のサクランボをのせた。8カットにし、1つずつにフィルムを巻いて、サクランボののったショートケーキを作った。


「ユリ、そろそろご飯になる?」


ソウが呼びに来た。いつもより大分時間が遅くなってしまい、心配したらしい。


「もう終わったから、今行くわ」

「何作ってるの?」

「キボウ君と約束していたイチゴとサクランボのケーキよ」

「昨日言っていた、店売りしないケーキかぁ」

「あら、良くわかったわね」

「え、だってサクランボが店売りするには足りないでしょ?」

「そうね。お城に持っていく方にも使ったから、サクランボが確かにもう無いわ」


そう言って、冷蔵庫の扉を開けて見せた。


「それ、誰が持っていくの?」

「この量は、ユメちゃんもキボウ君も無理だと思うのよ。だから、私が持っていこうかと思って、最後まで仕上げてないわ。あちらにサーバー出来る人はたくさんいるだろうし、このまま持ち込むつもりよ」


ソウは、冷蔵庫の中を覗き込んだ。


「ユリ、これ全部で何個あるの?」

「7×9カットで、63個ね。丸い方は、2台8カットで16個あるわ」

「その30個くらいのココットは?」

「切り落とした端よ」


切り落とした端はココットに入れ、少し生クリームを絞り、外おやつに出そうと考えている。


「城のケーキは、この後何か仕上げがあるの?」

「取り分けるだけよ」

「なら、俺が持っていこうか? ちょっと用もあるし」

「そうなの? だったらお願いします」

「了解」


リビングに行くと、すっかり食事が出来上がっていた。


「待たせちゃってごめんね」

「お味噌汁温めるにゃ!」


焼き鮭と卵焼きとほうれん草のおひたしと漬け物と納豆と味付け海苔が出ていた。これに、今温めている味噌汁とご飯がつく。


「旅館並みに豪華ね」

「ユリ待っている間に、色々増えたにゃ」

「待たせてしまってごめんなさい。イチゴとサクランボのケーキ作ったわよ。お城用は四角いケーキで、お店のみんなで食べるのは、カットした丸いケーキよ。ユメちゃんとキボウ君は、お城に行った時に食べて、帰ってきてからも食べたら良いわ。お城用は多くて持ち難いから、ソウが運んでくれるそうよ」

「おう。任せろ」

「ユリ、ソウ、ありがとにゃ」

「ありがと、ありがとー」


朝ご飯で食べきれない海苔や納豆をしまい、朝食を食べ終え、6号のカットしたケーキ5つを籠に入れ、キボウに渡した。


「行ってくるにゃ!」

「俺も置きに行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」


ユリは皆を見送ると、洗い物を片付け、厨房に戻った。


8時半を過ぎてしまったためか、リラがすでに来ていて当然のように準備を始めていた。


「ユリ様、おはようございます。何かありましたか?」

「リラちゃんおはよう。朝ご飯を食べ始めるのが少し遅れただけよ」

「良かったぁ。又急な用事でいらっしゃらないのかと焦りました。なら、少し休憩しようっと」


リラは手を止め、お茶を飲み始めた。


「あら、偉いわね。後でおやつのケーキがあるわよ」

「楽しみです。いつ食べますか?」


冷蔵庫を開けてみて、知っていたらしい。


「みんなが揃った辺りか、お昼ごはんの時かしらね」


8時45分頃、シィスルとマリーゴールドが来た。早く来ているのに仕事をせずお茶を飲んでいたリラを見て驚いていた。


「ユリ様、おはようございます」「ユリ様、おはようございます」

「シィスルちゃん、マリーゴールドちゃん、おはよう」

「お時間大丈夫でしたら、リラさんと少し話してよろしいでしょうか?」

「まだ早いから問題ないわ」

「ありがとうございます」


シィスルとマリーゴールドは、急ぎ、リラに聞きたいことがあったらしい。


メリッサが出勤してきたので、ユリはメリッサと仕事の話をしていた。


「ユリ様、昨日出してしまった巻巻(まきまき)は、今日はどうしますか?」

「昨日増産したから、お店で出して良いわよ」


メリッサは、安心したように息を吐いていた。


「あの巻巻って、違う味も作れたりしますか?」

「何味が欲しいの? ぱっと思い付くものは、イチゴ、カボチャ、紫芋だけど、梅とか、レモンとか、胡桃餅入れちゃうのも面白いかもしれないわね」

「そんなにたくさん種類が作れるんですか?」

「粉で用意できるものと、濃い味の液体なら作れるわよ」

「オレンジジュースとかはどうですか?」

「水分として加えれば出来ると思うけど、加熱するからフレッシュな感じにはならないわね」

「凄いです!」

「求肥教えるから、作ってみる?」

「はい!」


お店としては必要ないため、胡桃餅を教えることにした。

レシピを渡し、計量を任せた。


リラが、何か言いに来た。


「ユリ様、残業して時間調整するので、20分くらい抜けても良いですか?」

「私がいない間に準備していたでしょ? その分で良いわよ」

「ありがとうございます」


リラが一旦ベルフルールに戻り、シィスルとマリーゴールドも帰っていった。


「あ! ケーキ出せば良かったわ」



ユリがメリッサに胡桃餅を教えていると、イポミアが出勤してきた。リラが居ない上に、ユリとメリッサで何か仕込んでいるのを見て、物凄く驚いていた。


「えー! メリ姉だけ教わってるの、良いなぁ」

「イポミアさんも何か知りたいのがあるなら、暇なときは教えるわよ?」

「え、なら、かぼちゃプリン教えてください!」

「食べたこと有った?」

「ないです。お客さんから聞きました」

「材料がないから、揃えてからで良い?」

「はい!」


胡桃餅が出来上がり、冷やして切るだけになった。


「さあ、そろそろ仕事を始めるわよ」

「リラは休みですか?」


イポミアが、今さら聞いてきた。


「何か用事で、少し向こうに戻っているわ」

「なら、リラがいない分は、私が頑張ります」

「ではイポミアさん、計量をお願いします」

「はい!」


メリッサが、少し笑いながら雑用をしてくれていた。

仕事を開始して15分くらい経つと、リラは戻ってきた。

桜桃=さくらんぼ

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