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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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追加

ザルの上に置いてあったバタフライピーの花を全て干し籠に入れ、軒下にぶら下げてきた。


「どのくらい干すのにゃ?」

「1週間くらいかしらね」


ユメは何か考えたのか、突然言い出した。


「ユリ、バタフライピーのお茶のパックは売って貰えるのにゃ?」

「どういう意味?」


ユリには、ユメの言葉の意味がわからなかった。客が持って帰りたいとでも言ったのだろうか?


「キボウがお城で配ったのにゃ」

「あー、それで、お茶で持っていってもしかたないから、ティーバッグで持って行きたいのね。一人前ずつのと、30人前くらいのと、どっちが良い?」

「冷やして飲む方で頼むにゃ」

「なら、30人前の用意するわね」

「ありがとにゃ!」


皆で2階に戻り、少し部屋で休憩した。


昼休みあけ、ユリは早めに厨房へ行き、バタフライピーのお茶のパックをいくつも作った。「10リットルくらいのお湯に入れ、そのまま冷まして、良く冷やして当日中にお召し上がりください」と、書き添えた。

バタフライピーのお茶は、放置して酸化すると、美しい青色が、だんだん青紫になり、紫になり、あきらかに色が変わってくる。そんな状態を飲んでは大変なので、当日中にと書き添えたのだ。


「ユリ、もう作ってくれたのにゃ!?」


まだ早いのに、ユメがあらわれた。


「どのくらい必要かわからなかったから、一応20パック作ったけど、城の全員が飲むわけでもないわよねぇ。でも、欲しいと言われたら、そのまま全部置いてきて良いわ」

「ユリ、ありがとにゃ!」


ユメはリュックサックにお茶パックを全てしまうと、部屋に置きに行った。


お店の営業が始まると、予想通りと言うか、「巻巻」の情報が行き届いていた。次々に注文され、足りなくなりそうと感じたユリは、材料の計量をマリーゴールドに頼み、色紙を貼った箱を3つマーレイに頼み、特急で作るのだった。


求肥を3種類作り、キボウに1日時送りしてもらい、カットしているとユメが来た。


「ユリ、店内の客は、文字が書けるのにゃ」

「あー、そう言えばそうね。明日は箱じゃなく、んー、でも、投票として書いて貰うのを読むのは面倒なのよね」

「確かに面倒にゃ」


店内は、試食とはいえ皿で出していた。ココナッツ食器店の小皿を使っている。帰りがけにその皿を箱に入れるときの音が、カシャン、カシャカシャンと聞こえている。


「ユリ様、試食のお菓子を持ち帰りたいと言うお客様が、」


メリッサが相談に来た。


「何人が何個欲しいって言っているの?」

「お一方で、4つです」

「今日は値段がつけられないんだけど、これ安かったら、次々頼まれるわよね?」

「恐らく」


問題は、数を用意できないことと、本日のみの価格設定なのだ。


「お皿ごと欲しいなら、お皿は1枚につき100(スター)。お菓子は特注扱いで、1つに付き300(スター)ね。販売を始めたら、もう少し安くなると言っておいてね」

「はい。伝えて参ります」


小皿の仕入れは0~30(スター)だが、磨いて手間がかかっている。この価格でも、抹茶味とココア味はいくつか売れた。ノーマルタイプが売れないのは、にゃんこ焼きを買った方が断然お得だからだと思われる。


「ユリ様、注文が落ち着きました。(わたくし)も焼いてもよろしいでしょうか?」

「マリーゴールドちゃん、お願いします」

「昨日、明日分迄全て用意しておいて正解だったわ」


おかげで、今日の試食に使える量があるのだ。

手が離せないタイミングで入った注文は、マーレイが作って出してくれていた。


「ユリー、キボー、てつだうー!」

「何を手伝ってくれるの?」


キボウが何か訴えに来た。世界樹様のクッキーは渡してあるので、何だろうと思っていると、ユメが説明に来てくれた。


「ユリ、バタフライピーの冷茶がなくなったにゃ」

「え、そうなの? 今ちょっと手が」


ユリとマリーゴールドは、猛スピードで巻巻(まきまき)を焼いていて、手が離せない。


「大丈夫にゃ。私とキボウで作っておくにゃ。マーレイにお湯だけ汲んで貰うにゃ」


ユメは、明日のお城用に渡しておいたバタフライピーの冷茶用のお茶パックを使い、10リットルを2つ作ってくれた。キボウが時送りをし、冷茶用2リットルポットに分け、冬箱に入れ更に時送りをし、すぐに使えるバタフライピーの冷茶を作っていた。


「ユメちゃん、キボウ君、どうもありがとう」


ユリは一瞬振り返り、ユメとキボウにお礼を言った。


「次も任せるのにゃ!」

「まかせる、まかせるー!」


ユメとキボウは、元気にお店に戻っていった。

大きめなグラスにたっぷり入った、冷たくほんのり甘いお茶は、大人気だった。

にゃんこ焼きも とても好評で、昨日来られなかった人たちも大満足だったらしい。2種類の冷製スープは、双方飲む人も多かったそうだけど、いつもなら双方飲む人が頼まないのを不思議に思っていたら、明日も来ると話し帰っていったそうで、今日はとても暑く、冷たいものは気候的にもぴったりだったようだ。


手が空いたユリは、ストック分として少し厚めのシートスポンジを作り明日に備え、本日の営業を終了した。

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