表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

566/690

巻巻

スパゲッティミートソースのお代わりをしたのは、キボウとイポミアだけだった。イポミアは自分で作ると言い、キボウの分は、マリーゴールドが作ってくれた。冷製スープは全員が半量ずつ双方飲み、ユメがスープのお代わりに行こうか迷っているので、ユリが声をかけた。


「ユメちゃん、ソウが貰ってきたサクランボがあるわよ」

「食べるにゃ」

「たべる、たべるー!!」


ユメよりも、キボウが強く反応し、ソウが笑っていた。全員に2種類を2粒ずつの合計4粒配り、ユリは、佐藤錦を16粒とアメリカンチェリーを大量に残し、指輪を鞄に変え、そっとしまった。


「ユリ様、食べずに持ち帰っても良いですか?」

「構いませんよ。名前を書いた袋に入れてから冷蔵庫に保存してくださいね」


メリッサとイポミアは、全く食べずに持ち帰るらしい。


「ユリ、残りのサクランボはどうするのにゃ?」

「明日、ユメちゃんとキボウ君が持っていくケーキにしようと思っているわ」

「ありがとにゃ!」


「けーきー?」

「以前キボウ君と約束した、イチゴとサクランボのケーキを作る予定です」

「ユリ! ありがとー!!」


キボウは嬉しかったのか、イチゴとサクランボの歌を歌い出した。すると、ソウがそっとユリに尋ねた。


「ユリ、苺どうするの? もう、売ってなかったよ?」

「うふふ。鞄に有るわよ」

「さすがユリ」


魔道具の鞄に入れておけば、1年間入れても5分15秒程度しか経過しない。時間の進み方が10万分の1なのだ。


全員が休憩に入り、ユリは外おやつ用の巻巻(まきまき)を3種類出し、「食べたあとの巻き紙は、美味しかったと思う箱に入れてください」と書いた紙を貼り、白、茶、緑の3種類の箱を置いた。そして帰ろうと思ったら、待っている人に声をかけられた。


「あの、ハナノ様、恐らく全部美味しいと思うのですが、」


少し困った風に、その後の言葉を濁している。


「全部美味しかった人は、均等に1枚ずつ紙を入れて、順番をつけたい人は、2枚、1枚、0枚と分けて、1つだけ美味しかった人は、そこに3枚とも入れると良いですよ」

「かしこまりました。良く味わいたいと思います」


尚、このおやつの名前「巻巻」は、作っていたリラがつけたらしい。ユメから報告を受けた。


「ユリ、このお茶は外用だよね?」


ソウが、厨房に用意だけしてあったお茶を持ってきてくれた。外のお茶は冷茶と熱いお茶の2種類を出している。ウォータージャグにソウが持ってきた麦茶をセットし、夏板にはほうじ茶のヤカンを置いた。


ユリとソウがその場を退くと、待っていた人が、わらわらとおやつに群がっていた。


「ハナノ様! とても美味しそうに見えますが、あちらのお菓子は、販売をされていますか?」


入り口がわにいた貴族と思わしき男性から声をかけられた。


「まだ試作段階なので販売はしていませんが、食べてみたいならお店でお出ししますので、声をかけてください」

「ありがとうございます!」


明日分の予備があるので、店で出しても何とかなるだろうとユリは考えていた。

 

その後、バタフライピーを収穫しようと畑に回り、驚いた。

花が、昨日よりもさらに多く咲いていたのだ。そして、キボウとユメもいた。いつも通り、世話をしてくれているらしい。


「ユリ来たのにゃ」

「きたー、きたー」

「花、凄いわね! いくつくらい咲いているのかしら!」

「さっき数えたけどにゃ。数える度に数が違うのにゃ。恐らく30個前後にゃ」

「凄いな。最盛期には、一株からいくつくらい咲くんだろうな」

「想像もつかないわね」


キボウに花を収穫して貰い、花を干すことにした。


「ユリ、今日は少し風があるから、外に干すと飛んでいかないか?」

「なら、干し網を使いましょう」


いつもは大きなザルの上に干しているが、干物や乾燥野菜を作るための、吊り下げるタイプの3段の干し籠を倉庫から出してきた。


「これになら、何を干しても飛ばないわ」

「どうやって使うのにゃ?」

「そこのジッパーを開けて」

「チャックを開けるのにゃ?」

「ファスナーじゃないのか? スライドファスナー」

「なーにー?」

「この開閉が出来る留め具の名前よ」


fermeture(フェルメチュール) à() glissière(グリシェール)だな」

「それ、何語?」

「フランス語」

「長すぎて覚えられないのにゃ。日本語が良いのにゃ」


ソウはロシア語も語ろうと思ったのだが、食い付きが悪いので取り止めた。ロシア語はзастежка(ザスチェジカ)-молния(モールニャ)で、ニャがつくこれを本来は話したかったようだ。

ちなみに、「チャック」は日本語らしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ