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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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三角

ユリは、配合を渡してリラに量ってもらっておいた材料を、調理し始めた。


「ユリ御姉様、ココアの作り方を教えていただけませんか?」

「カエンちゃん、ココアも作ってくれるの?」

「はい!」


ユリがカエンにココアの作り方を説明すると、ソウと(よう)も、作り方を教わりたいと見に来た。


「ココアと砂糖を混ぜたものを、少量のお湯でしっかり練ってから、牛乳で伸ばしていくだけよ」

「他で飲むココアと、味が違うように感じるのはなぜでしょうか?」

「ココアパウダーの、ココアバターの含有率がメーカーによって違うから、飲んだときに感じるコクが違うんだと思うわ」

「成分の違いなのですか!?」

「恐らく」


カエンが飲みたいのではなく、(よう)がココアを好きらしく、カエンは美味しいココアの作り方を覚えたかったようだ。


「カエンちゃん、練習するなら、みんなの分を作ってみたら良いわ」

「はい」


リラがかかりきりの作業をしているので、お店の注文はユリが作ることになる。午前中と違い、軽食やスープなどがたくさん注文され、マーレイも手伝いどんどん出していく。グラタンとピザトーストユメスペシャルは、マーレイが焼いてくれるので、ユリは、ホットドッグの注文があると、鞄から出し対応している。


ユリは、途中にしていた調理を再開し、茶色い粘るものを鍋で作っていた。


「ユリ様、それ、何ですか?」

「ココア味の求肥よ。外おやつに実験的に出します」


カエンがココアを作ったことにより、キボウは厨房にいてココアを飲んでいた。


「ユリー、いちじかーん?」

「キボウ君、時送りしてくれるの?」

「いーよー」

「もうひとつ作るけど、どっちも1日お願いできる?」

「わかったー」


ユリは、抹茶を混ぜた求肥も作り、キボウに時送りをしてもらってから、それらをカットした。


「リラちゃん、同じ手順で、この2種類も作ってくれる?」

「はい! 味見して良いですか?」

「どうぞ。みんなの味見分も作ってね」


リラは先に皆の味見分を2種類作ってから、ココアだけ作り始めた。


「リラー」

「ユリ様に相談してみますね」


キボウがリラに何か頼んだらしい。リラは少し考えた後、ユリに相談すると答えていた。キボウが笑顔で店に行ったので、何だったのだろうとユリが思っていると、リラから相談された。


「ユリ様、抹茶の方、最後に少し違う形のものを作っても良いですか?」

「良いわよ。それ、キボウ君の注文?」

「はい」

「他に使う材料があったら揃えるから言ってね」

「はい」


それから少し時間が経ち、リラは抹茶求肥の残りを見ながら焼いているようだった。


求肥がラスト4つになったとき、二等辺三角形を縦に3つ繋げたような、恐らく木の形の皮を4つ焼き始めた。器用に同じくらいの大きさの木を4つ作っている。何が器用って、一つを作って次を作るのではなく、細く垂らして四角を作り、その中を生地で埋めるのをまず4つ作り、少し離れた場所に同じ作り方で三角を4か所作り、だんだん下がるようにして、最後に四角と繋がる場所の3段目の三角を作ったのだ。


「ユリ、リラは何やってんの?」

「キボウ君の注文で、木の形の若鮎を作るために、色味(いろみ)が分かるように焼いているんだと思うわ」

「リラ、さすがだなぁ」

「本当、凄いわよね」


焼けた皮をひっくり返すと、焼き色のグラデーションができていた。それに求肥を2つずつ挟み、2組の木の形のお菓子を作り上げた。


「リラちゃん、凄いわね」

「あはは。こんな感じでキボウ君喜んでくれますかね」

「キボウ君、大喜びだと思うわ」


名前を呼ぶとキボウは現れる。


「キボー、きたー」

「キボウ君、出来ましたよ」

「リラー、ありがとー!」


皆の予想通り、キボウは大喜びだった。


ふと、キボウが消え、リラは驚いたみたいだったけれど、ユリは、キボウは世界樹の森に行ったのだろうと考え、慌てることなく夕飯の支度を始めた。


閉店20分前のラストオーダーの後、メリッサが報告に来た。


「ユリ様、若鮎、先程売りきれました。ミルクゼリー、少し残っています。バラジャムのせは売りきれそうです」

「あら、ちょうど良い感じね」


「バラジャムのせ、売り切れました!」


イポミアが、売り切れを知らせに来た。

絶対に売れ残る量を用意したはずが、朝から営業することになり、結果ほぼ売り切れた。


「ユリ様、女性優遇の日は、又開催しますか?」

「評判が良いならするわよ」

「是非お願いします! 今日来られなかったお客様から、頼まれました」

「そうすると、あなたたちの出勤日が増えるわよ?」

「私たちは、休みすぎなくらいなので、問題有りません!」

「あ、一応言っておくけど、普段も、女性やお子さん大歓迎だからね」

「はい。聞かれたときは説明しています」


こうして、「女性もしくは未成年者を伴わないと入れない日」は大成功に終わったのだった。


尚、ラベンダーは、最後まで居座り、いや、手伝い、ソウとキボウが家に送っていった。

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