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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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訪問

「あら、今ユメちゃんがいらしたような?」

「なんだかお疲れみたいだったから、休んでもらったわ」


ユメの声が聞こえたらしく、イリスが不思議そうに聞いてきた。ユリが答えると、イリスは少し心配したようで、何かを言おうか悩んでいるみたいだった。


「イリスさん、どうかした?」

「あ、いえ、あの、折りバラのご注文をされたいとおっしゃるお客様がお待ちになられていまして」

「受付方法わかる?」

「はい。用紙の通りに記入していただければ良いのですよね」

「そうね。それで無理そうなら私が代わるから、お願いできるかしら?」

「かしこまりました」


特に問題なく、イリスは注文を受けつけてきた。代金は1万(スター)を受けとり、お釣りもいらないと言われたらしい。

次に問題を持ってきたのは、イポミアだった。


「ユリ様、ユメちゃんは、今日はまだ帰ってきていないのですか?」

「帰っては来てるけど、休ませているのよ。何か問題があった?」

「黒猫クッキーを、ユメちゃんから受けとりたいみたいです」


あ、そういう要望もあったわね。と、ユリは少し困っていた。


「そうなのね。その人、女性? 男性?」

「男性と言うか、お子さんです。5~6歳くらい、かなぁ?」

「そうなのね。困ったわね。どこの誰だかわかる?」

「たまに見かけるお客様のお子さんみたいなので、遠くではないと思うのですが、商売人のような雰囲気です」

「商売人? なら、イリスさんにも、誰だか確認してもらえる?」

「はーい」


確認してもらったところ、商業組合の知り合いらしく、マーレイの友人だそうだ。連れているのは子供ではなく孫だとイリスが話していた。

ついでにイリスが事情を説明してきてくれたらしく、又来ると話して帰ったそうだ。


「ユメちゃん、大人気ですね」

「本当にね。ユメちゃんの御利益は、計り知れないのね。さすがユメちゃんだわ」


次に厨房へ来たのは、メリッサだった。


「キボウ様ー、キボウ様ー、どこですかー?」

「メリッサさん、どうしたの?」

「時送り、世界樹様のクッキーを、キボウ様から買いたいとおっしゃるお客様がいらしてまして」

「そうなのね、キボウ君、どこに行ったのかしら?」


すると、休憩室からキボウが顔を出した。


「なーにー?」

「あ!キボウ様、お客様がお呼びです」

「わかったー」


キボウは自主的に休憩していたらしい。すぐに見つかって良かった。


又、イポミアが来た。


「ユリ様、お客様がお呼びなのですが、どうしたらよろしいですか?」

「え? 私を?」

「はい。貴族の奥様のようです」

「なら、少し顔を出すわ」


ユリが行こうとした時、リラがストップをかけた。


「ユリ様、少しお待ちください」

「リラちゃんどうしたの?」

「先触れを出してきます」

「あ、ありがとう」


リラはエプロンを脱ぎ、三角巾も外し、髪を少し整えてからお店に行った。

すぐに戻ってきて、ユリに付き添ってお店に来てくれた。


お店で待っていたのは、サーモンピンク子爵婦人のカーネーションだった。


「ユリ様!」

「カーネーションさんじゃない。来てくれてありがとう」

「はい。念願叶いまして、ようやっと伺うことが出来ました」


アルストロメリア会の初期メンバーで、唯一来店したことがないのが、カーネーションだった。

久々の再会に少し話し込み、又アルストロメリア会でお会いしましょうと言って、歓談を終わらせた。


その後も、ユリの個人的な知り合いの女性が何人か訪問してくれて、ユリはとても嬉しかった。


厨房に戻り、色々リラと仕込み、仕込みながらリラから質問された。


「ユリ様、今日の昼食と休憩はどうしますか?」

「一旦閉めて12時から13時にいつも通りとるのと、バラバラに厨房で食べて、各自合計60分休むのと、どちらが良いかしら?」

「11時30分~12時30分の組と、12時30分~13時30分の組に分けて休めば良いと思います」

「それは解りやすいわね。では、メリッサさんとイポミアさんの組、ユメちゃんとイリスさんの組で、厨房は、リラちゃんとマーレイさんの組、私とカエンちゃんと(よう)君の組で良いかしら?」

「均等な感じですね。キボウ君は、どうしますか?」

「キボウ君は、自主的に加わった方に振り分けます」


ユリとリラは昼食を作り始め、厨房に取りに来るメンバーに休憩について説明するのだった。


「ユリ御姉様、もしユメちゃんが戻らないときは、わたくしがお店のお手伝いを致しましょうか?」

「カエンちゃん、ありがとう。そのときはお願いしますね」


カエンたちは、注文の飲み物を作りながら、クッキーを仕上げていた。

予定より人手が多いので、普段ユリが早朝作っているパウンドケーキや、調整分まで仕込んでいる。リラがどんどん量っていくのだ。


11時過ぎ、ユメが階段を下りてきた。


「ユリ、ゆっくり休ませてくれてありがとにゃ」

「無理したら駄目よ。それで、何かあったの?」


するとユメは、午前中に何があったのか、聞かせてくれた。


両親や兄が不在中のカンパニュラの寂しさが限界で、昨日はサンダーソニアが気分転換に朝から連れ出したという話を聞いたキボウが、暴走気味にカンパニュラを連れ出し、一悶着有ったらしい。なんと勝手に世界樹の森に連れていったそうだ。

ユメはその対応に追われ、精神的に疲れたようだ。


「ユメちゃん、大変お疲れさまでした。キボウ君や、カンパニュラちゃんの事を任せきりでごめんなさい」

「キボウは、悪気は無かったのにゃ。カンパニュラに、本当の笑顔が戻ったのにゃ」

「わかったわ。キボウ君には、うまく言っておくわ」


ユメはお店に行き、イリスたちに遅れたことを謝っていた。

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