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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
7章

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猫焼

今日は6月1日Wの日(みずのひ)

誰も来なかったらどうしよう。と、ひっそり考えていたが、朝食前の7時過ぎには誰も居なかったのに、8時前には、行列が並んでいた。


先頭に居るのはメリッサの、母イーオンと娘シーミオだ。その後に続く人も、栗や芋を持ち込んだときに居た奥さんたちや、近隣で見かける人たちだ。20人くらい後に、出入り業者のご夫婦らしき二人組や、家族連れが並んでいて、その後ろに、列を見て呆然としている貴族らしい身なりの二人組や、子連れの家族らしい団体がいた。距離の勝利のようだ。全員で50人を越える。


「ユリ様、おはようございます!」


メリッサが走ってやってきた。娘と一緒に来ていたらしい。


「おはようメリッサさん。皆さん、早いの、ね。えーと、何時から開店したら良いのかしら?」

「こんなことだろうと思って、早く来ました! 有るもので開店できるなら、お店開けませんか?」

「あ、うん、そうね。昼過ぎまで並ぶのは大変よね」


メリッサと話すユリの後ろから声がした。


「やっぱりか! あ、ユリ様、おはようございます!」

「リラちゃんも早いのね。って、あなた、今日は休みでしょう?」

「ベルフルールは休みですよ?」

「まさか、うち、手伝うの?」

「まさかなんて、当然手伝います!」

「あ、うん、お願いするわ」


リラと口論しても勝てそうにないので、ユリは早々に諦めた。


「あー、もうみんな居る! 皆さんおはようございます!」

「イポミアさんも、おはよう」


「みんな来たのにゃ?」

「ユメちゃん、お店開けようと思うわ」

「私はキボウと出掛けて帰ってきてから手伝うにゃ」

「無理しなくて良いわ。猫の焼印がある方を50個持っていって良いわよ」

「ユリ、ありがとにゃ」


ユリは、並んでいる客たちに、軽く挨拶をすることにした。


「皆さん、お越しくださりありがとうございます。まもなく開店致しますので、少々お待ちください」


凄い歓声が上がった。


◇ーーーーー◇

お持ち帰り専用

女神の慈愛・パウンドケーキ 1本5万(スター)(フル)

女神の慈愛・パウンドケーキ 1枚5000☆(フル)

時送り・世界樹様のクッキー 1枚2000☆(素早さ)


店内、お持ち帰り兼用

若鮎             1匹500☆(6)(限定500匹)

ミルクゼリー         1個300☆(4)(限定300個)

ミルクゼリーバラジャム仕上げ 1個400☆(6)(限定300個)

世界樹様のクッキー      1枚500☆(11)

黒猫クッキー         1枚500☆(11)


飲み物

イチゴミルク         1杯500☆(4)

ジンジャーエール       1杯500☆(9)

ミルクココア         1杯500☆(4)(温)

アイスココア         1杯500☆(4)

バタフライピーティー     1杯500☆(1~4)(温)

サファイアソーダ       1杯500☆(4)

サファイアクリームソーダ   1杯1000☆(4)

チェンジカラーシロップ    1杯50☆(4)


軽食

グラタン           1皿500☆(3)

ビシソワーズ (冷たいスープ)  1皿500☆(4)

ホットドッグ         1皿500☆(4)

ピザトーストユメスペシャル  1皿500☆(5)

セットほうじ茶・冷茶     無料(1)

◇ーーーーー◇


外のイーゼルにメニューをのせた。


「ユリ御姉様、何からお手伝い致しましょうか?」

「カエンちゃん、こんな時間から良いの?」

「勿論でございます」

「注文が入ったら、作れる飲み物をお願いします」

「かしこまりました」


「ユリ姉上様、僕も何かお手伝いしたいです」

(よう)君は、カエンちゃんと一緒に飲み物をお願いします」

「はい!」


(よう)は自己紹介を皆にしてから手伝い始めた。


「ユリ様、私は何をして良いですか?」

「あなたは残業扱いで、好きな仕事をしてください」


質問が、仕事をするのが大前提で聞いてくる辺りが、さすがリラだ。


体裁を整え、お店を開店させた。時間はまだ 8時30分だった。


店内の椅子は子供には低すぎるので、厨房でたまに使うパイプ椅子を持ち込み、家族が一緒に座れるようにした。そのため、最初の客数は20人だ。その全員がご近所さんである。


オーダーのうち、ミルクココアとアイスココアは、ユリかリラしか作れないのでリラが作り、その他の飲み物は、メリッサとイポミアが作って出していた。

ユリは、予定の仕事を開始し、クッキーや、明日分の若鮎の代わりのお菓子を仕込むのだった。


今居る客は、昼まで並ぶ気で朝食をしっかり食べてきたようで、食事ものはあまり出なかったが、店内全員近所の住民で、並んでいた近所の住民は全員入りきったと言うので、帰りには、メリッサとイポミアにお土産を配ってもらった。お土産は、全員にホットドッグを一つずつだ。


「ユリ様、外おやつを出してきました。それで、黒猫の焼印のお菓子は、名前はどうされるのですか?」

「名前ねぇ。どうしようかしら」


リラから質問されたが、ユリは考えていなかった。


「決まっていないのですか?」

「そもそも、外おやつの予定だったからね」

「なら、私がつけて良いですか?」

「良いわよ。何か良い名前があるの?」

「ミャオウ焼き! どうですか?」

「え? 何て言ったの?」 

「猫の鳴き声です」


全員に話が聞こえていた。(よう)がカエンに言ったのだ。


「姉上、にゃんこの鳴き声は、国によって違うんですね」

「そうね。鶏も、コケコッコーが、クックドゥドゥルドゥーよね」


(よう)とカエンの話にリラが興味をもった。


「あの、(よう)様、『にゃんこ』とは、猫の事ですか?」

「猫の事です。多分、幼児語です」

「可愛い言い方で、響きが素敵ですね! ユリ様、『にゃんこ焼き』にしましょう!」

「皆がそれで良いなら、私は構わないわ」


特に反対意見もなく、「にゃんこ焼き」に決まった。


「遅くなり、大変申し訳ございません!」


イリスが、9時過ぎに慌てて出勤してきた。どうやら食べて帰った住人から、すでに開店させていると聞いたらしい。


「イリスさん、遅くないわ。並んでいる人が気の毒なんで、早く開けたのよ。お家の事まだ残っているようなら、昼長めに休んでも構わないわよ」

「ありがとうございます。10時頃には来る予定でしたので、家事は終わっています」

「無理の無い程度にお願いしますね」

「かしこまりました」


イリスに慌てさせてしまったようで、ユリは少し申し訳なく思った。


カエンと(よう)が、楽しそうにクッキーを作っている横で、ユリとリラは明日分のにゃんこ焼きを量産していた。求肥(ぎゅうひ)は昨日のうちに仕込んでおいて良かったと、ユリは改めて思っていた。


9時30分を過ぎた頃、かなり疲れた感じのユメが、上機嫌のキボウと一緒に戻ってきた。


「ただいまにゃぁぁー」

「ただいま、ただいまー」

「ユメちゃん、キボウ君、お帰りなさい。ユメちゃん少し休んできて?」

「にゃ? にゃー。ありがとにゃ。少し休んでくるにゃ」


キボウはすぐに、クッキー作りに参加していた。

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