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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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準備

翌日。お店はお休みなのに、試作予定のWの日(みずのひ)


「ユリ、何時から作るのにゃ?」


朝ご飯が終わる頃、ユメから質問された。


「特に決めてはいないけど、私の予定では10時頃のつもりよ」

「先に城に行ってくるにゃ。持っていっても良いものはあるにゃ?」

「バラマドレーヌを、世界樹様に1箱、メイプルさんたちに1箱、お城に7箱くらい持っていくと良いわ」

「良いのにゃ!?」

「はい、どうぞ。あ、そうだ、ユメちゃん、商品説明のために、折りバラをまた作って貰える?」

「わかったにゃ。カンパニュラが作れるから、少し頼むにゃ。それと、今日の試作のあと、みんなに折り紙教えるにゃ」


昨日リラたちが、大変だったと言っていたのをユリは思い出した。


「ユメちゃん、あの折りバラって、1時間で何個くらい作れるの?」

「一番調子が良い時で、4個くらいにゃ。教えながらだと、1~2個にゃ」

「え!そんなに手間がかかるの!? なら、売って欲しいと言われたら、3個で1時間の時給くらいかしら?」

「売るのにゃ?」

「予定はないんだけど、うちって、初出の物、何でも欲しがられるじゃない? だから、可能かどうかだけは聞いておこうと思って」

「今日、みんなに教えて、みんなが作れるようになってから考えたら良いと思うにゃ」

「それもそうね」


売るほど作れなかったなら、売るという話自体が無効である。


ソウは出掛け、キボウは水やりに行くと言うので、ユリはついていくことにした。ユメには休んで貰っている。


「ユリー、きのみー、とるー?」

「えーと、魔力の木の実を収穫するかどうかってこと?」

「あたりー」

「とりあえず使う予定はないけど、収穫した方が良いの?」

「かばんー」

「えーと、収穫してしまって、魔道具の鞄に入れておいた方が良いということかしら?」

「あたりー」


ユリは魔力の木の実の()っている木を見に行き、どれを収穫して良いかキボウに尋ねた。


「キボウ君、どれが収穫できるの?」

「1こー!」

「あ、うん、どれでも良いけど、1つだけと言う意味かしら?」

「あたりー」


ユリは、一番育って見える木の実を1つもぎ取った。

その瞬間、全ての木の実が青くなり、未成熟に見えるように変わった。


「うわ! なんか凄いわね。1日1個と言うのが良くわかったわ。毎日1個収穫した方が良いのかしら?」

「だいじょぶー」


その答えはどっちだろうと悩んでいると、リラが声をかけてきた。


「おはようございます。何時から始めますか?」

「リラちゃんおはよう。特に決めてはいないけど、ユメちゃんとキボウ君がお城に行くから、戻ってくる10時頃から始めようと考えているわ」

「それなら、その時間から始められるように、準備を手伝います」

「ありがとう。リラちゃんの希望はあるの?」

「ユリ様が、何やら考えがあるとおっしゃっていた、ジンジャーエールのゼリーが楽しみです」

「それね。それは多分売り物レベルができると思うわ。なら、グラス洗いましょうか」


ゼリーを作る話だと理解したらしいキボウが、慌ててユリの元に来た。


「キボー、てつだうー!」

「キボウ君は、ユメちゃんと出掛けるのでしょ? 2人がお城から戻ってくるまで作り始めないから、大丈夫よ」

「わかったー」


家に戻ると、キボウはユメを急かして出掛けていった。


「早く行って、早く帰ってくる予定でしょうか?」

「そうかもしれないわね」


今日は仕事ではないので、厨房ではなく、お店のテーブルを使って試作をする予定だ。ゼリーの試作なので、オーブンを使わないし、参加人数分程度しか作らないので、業務用冷蔵庫ではなく冬箱で充分なのだ。


「何個くらい試作しますか?」

「1種類は15~20個くらいで良いと思うのよ。ジンジャーエールと、ルビーソーダと、あと何作るのかしら?」

「お店に有る飲み物というなら、ローゼルの赤いお茶とか、いちごミルクとかココアでしょうか?」

「いちごミルクやココアは、ババロアやムースの方が美味しそうよね」


少し考えたようなリラが聞いてきた。


「メリ(ねえ)とミア(ねえ)は、作ってみたいということですよね?」

「そう思うから、厨房ではなく、お店のテーブルにするのよ。娘さんも連れてくると思うのよね」

「シーちゃんも来るんですね!」

「恐らくはね」


「楽しみですねー」

「そうね。ゼラチンでも量っておきましょう」


リラとグラスを洗い、ゼラチンを量り終わった頃、メリッサと娘のシーミオと、イポミアが一緒に来たようだ。


「おはようございまーす」「ごだいまーつ!」

「おはようございまーす」「お、おはようございますぅ」


メリッサ、シーミオ、イポミアの他、聞き覚えの無い声が挨拶をしていた。


「あら、最後の声は、誰かしら?」

「もしかすると、リナーリかも?」


誰? と思ってお店に顔を出すと、イポミアが10歳くらいの女の子を連れてきていた。


「ユリ様、末の妹を連れて来ました」

「り、リナーリです」

「リナーリちゃん、いらっしゃい。私はユリ・ハナノです」


ユリがニコッと微笑んで挨拶をすると、こわばっていた表情が和らいだ。


「しーちゃんもきたのー」

「シーミオちゃんもいらっしゃい。二人とも、何か飲むわよね? メリッサさん、イポミアさん、何か好きなものを作ってちょうだい」

「はい」「はい」


ユリについて来たリラが、厨房に行ってしまったメリッサとイポミアに代わり、シーミオとリナーリを席に案内した。


「ユメちゃんたちが戻ってくるまで、お茶をしながら、今日作るものを考えましょう」

「ユリ様は何を飲まれますか?」

「リラちゃんと同じので良いわ」


リラも厨房に行ってしまったので、ユリが話しかけることにした。


「今日はお店の試作試食会に来てくれてありがとうね。お出掛けしている黒猫のユメちゃんと、世界樹様の幼木のキボウ君が帰ってくる迄、少し待っていてね」


シーミオにはイチゴミルク、リナーリにはサファイアソーダを出していた。メリッサとイポミアは、ジンジャーエールらしい。そしてリラが持ってきた飲み物は、抹茶オレだった。


「あら、抹茶オレなのね」

「え、ご存じなのですか?」

「そういえば、うちでは出したことがないわね。リラちゃんが考えたの? あなた本当に凄いわね」


リラはユリが知っていたことを、驚いているようだった。


「リラ、それはなあに?」

「アイスココアみたいに、抹茶と言うお茶の粉で作ったんだけど、ユリ様はご存知の物だったみたい」

「あ、世界樹様のクッキーの甘いところの粉ね」

「それです」


メリッサに聞かれ、リラは答えていた。


「あ、そうだ、イポミアさん。バラマドレーヌ、食べて良いわよ」

「ありがとうございます!」


イポミアが、皆の分までバラマドレーヌを持ってきた。色々な生地で作っているので、各自が好きな色を選んで食べていた。


「ただいまにゃー」

「ただいま、ただいまー」


ユメとキボウが戻ってきた。まだ9時前だ。 

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