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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
1章

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外食

「長居しちゃったね」

「そうだね。でも面白かったよ」

「ソウが退屈しなかったなら良かったわ」


ユリと一緒にいてソウが退屈するわけがないのである。


「なにか食べて帰ろうか?」

「転移組の人たちも、もうお店オープンしたわよね?そこに行ってみたいかな」

「ユリが作らない系統が良いよな。ラーメンでも食べようか」

「うん!確かにラーメンは作らないわね」


ラーメンのお店は、市場から割りと近い場所にあるそうだ。

商店が多い場所から少し離れたところにそれはあった。


看板に『誠』と書いてある、ラーメン店だった。

雰囲気はラーメン店というより、高級中華店のような作りである。

怖い顔の寒色のドラゴンぽい飾りが太くて赤い柱に巻き付いている。


「なんか、高そうね」

「んーまあ、安くはないな」

「ソウは来たことがあるの?」

「ミートミンサー届けに来たしな」

「あー」


ソウ曰く『森林トリオ』の1人なのか。


「とりあえず入ろうか」

「うん」


外壁の豪華さと違って、中は質素だった。

カウンター席はなく、シンプルなテーブル席が6つ。

予算を外壁で使い尽くしてしまったのだろうか?


この内装なら、ユリの店の方が豪華である。


壁におすすめメニューが貼ってあった。

『とんこつラーメン』『餃子』


やっぱり、中華料理屋さんではなく、ラーメン屋さんだ!


勧められた席につき、メニューを見て驚いた。


◇ーーーーー◇

ラーメン 5000☆

とんこつラーメン 6000☆

餃子 1200☆

チャーハン 4000☆

替え玉 700☆ (とんこつラーメンのみ)

烏龍茶 500☆

◇ーーーーー◇


高ー!

これ誰か食べに来るの?

そういえば、他の客がいない。


「いい値段とってるのね」

「みんなこんなだぞ?」

「うちって、安すぎるの?」

「地元の店価格かな」


これじゃ ゼリー20個に1万☆払おうとするわけだわ。


若い女性の店員さんが来たので、ラーメンを注文した。

チャイナドレスではなくアオザイを着ている。

色々中途半端である。


「あのアオザイの女の子は地元の人なのかしら?」

「アオザイ?」

「切り込みの深いチャイナドレス風に、ズボンをはいているでしょ?あの服をアオザイって言うのよ」

「あれ、チャイナドレスとは違うのか?」

「チャイナドレスは中国で、アオザイはベトナムだったと思うわ」


ソウが考え込んでしまった。

どうやらアオザイを用意したのがソウだったらしい。


「動きやすさはアオザイの方が良いらしいわよ。それに、ドレスの文化だから足が出ない方が好ましいと思うわ」

「そうか?」

「うん!」


ソウが復活したようなので早々に話題を変える。


「ラーメン楽しみだわー」

「そういえば、気楽な外食自体が久しぶりだもんな」

「そうね」

「王宮で会食とか希望なら、つてがあるけど?」

「それは遠慮しておくわ」

「やっぱり?」


そんなかしこまったところで食べたくはない。


「お待たせしました!」


アオザイの女性ではなく男性が持って来た。

んー確かに会ったことがあるような?


「コバヤシ君、調子はどう?」

「やっぱりホシミさんでしたか」

「今日は食べに来たよ」

「ありがとうございます。こちらは・・・あ、その節は大変ご迷惑をお掛けしました。ハナノさんですよね?」

「はい、ハナノです」


コバヤシは、ユリに気がつき謝って来た。

割りとどうでも良いと思っていたユリは愛想よく返事した。


「とりあえず、冷めないうちにどうぞ」

「いただきます」

「いただきます」


ラーメンは、透き通った醤油ベースで、チャーシューと青菜と竹の子の煮物?が乗っていた。


「メンマじゃないんですね」

「持ってきた乾燥メンマも多少残ってるんですけど、こっちの方が評判よくてね」


もぐもぐ。確かに美味しい。


「竹の子、美味しいですね」

「ありがとう!」


コバヤシは、すごく嬉しそうにしていた。


久しぶりのラーメンは美味しかった。

なんだかとても懐かしく思えてほっとした。


「ハナノさん、少しお話しを伺っても良いですか?」

「なんですか?」


ソウはちょっと睨んだみたいだけど、話しくらいならと応じた。


「アイスクリームを出されているという噂を聞いたんですが、本当ですか?」

「はい、だしましたよ。ちょっと凄いことになって大変でした。んふふ」

「冷凍庫があるのですか?」

「冷凍庫じゃない同じような設備がありますね」

「え?有るんですか?」

「こちらでは、冷蔵、冷凍はどうされているんですか?」

「冷蔵は、この場所を借りたときからあった箱形のものを使っています。冷凍はないです」

「その箱が『冬箱』で、冷凍が『真冬箱』です。(いち)にある、魔動力機器屋さんで売っていますよ」

「有ったんですね・・・」

「アイスクリーム専用は、今開発してもらっていますよ」

「あ、いや、アイスクリームに参入しようとは思っていません。ですが、ありがとうございます」

「お役に立てたみたいでよかったです」

「今日は、前回のお詫びと、真冬箱でしたか、この情報料ということでご馳走させてください」

「え?仕事にしているものはきちんと受け取らないとダメですよ!」

「では、次回お邪魔したときに、アイスクリームご馳走してください」

「そんなので良いんですか?」

「はい、お願いします」

「んー、では、ありがとうございます。ごちそうさまでした!」

「ごちそうさん!」


「ありがとうございました!」


コバヤシは深々頭を下げていた。

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