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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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丸飯

ユメとキボウが出掛けて行った。

お店の詰め込み作業の方は目処がつきそうだが、厨房は、(いま)だにてんてこ舞だ。店の方は、仕事が片付き次第、飲み物を作り、小休憩を取るよう伝えてある。


大きなおにぎりを作り終わり、それらにフライの衣をつける。シィスルと手分けして、粉を付けた手で握り直し、液卵に通し、パン粉をつける。ご飯1升で約40個、2升分の80個に衣が付いた。


「マーレイさん、この後揚げ物をするので、アイスクリームを完全に任せてしまって良いですか?」

「かしこまりました。イリスたちに手伝って貰うことに致します」

「マーレイさんお願いします。 シィスルちゃん、揚げるのとソース煮込むのどっちが良い?」

「揚げてみたいです!」


ユリは、ソースを温めつつ、サラダを作りながらシィスルに揚げかたを説明していた。


「大きいから中まで温まらないとチーズが溶けなくて美味しくないからね。綺麗な揚げ色になるように、時々回転させてね」

「はい!」


大きな物を菜箸でつかむのは大変なので、揚げ物用の網とトングも渡した。まずは人数分の13個を揚げて貰い、出来上がると、更に13個揚げて貰った。


トマトソースを皿に盛り付け、揚がったものを1つずつのせた。手が空いたらしいメリッサが、サラダを運ぼうとしていたので、声をかけた。


「これも運んでください」

「これ、なんですか?」

「ボールチャーハンよ」


他のメンバーも運びに来て、厨房が片付き、全員席について食べ始めた。


「うわ! 中に何か入ってる!」

「溶けるチーズにゃ!」

「おいしー!、おいしー!」


皆に好評だが、トマトの好きなキボウには、大好評だった。ものすごい勢いで食べている。


「ユリ、何でボールチャーハンって名前なの?」


そういえば、ソウには説明したことがなかったと思い、説明することにした。


「そもそも、ライスコロッケとか、スップリって呼ぶのが一般的だとは思うんだけどね。なんかよその店で販売終了になって、それを好きだった子供が凄く悲しんでるって聞いてね、作って招待したらその子が、『ボールチャーハン!』って呼んで喜んでいたのよ。それでうちでは、ボールチャーハンってそれ以来呼んでいるわ」

「へぇ、ユリが付けたんじゃなかったんだ」


何故か皆が、感心するように頷きながら聞いていた。


「ユリ様、もう1つ頂いても良いですか?」

「1人当たり2~3個の予定だから、もう揚げてあるわよ。3個目が欲しい人は、声をかけてね。揚げるから」


皿にトマトソースを足し、揚げてあるボールチャーハンをのせていった。


「食べられるなら遠慮せず食べてちょうだいね」


男性の方が食べるのが早いけど、お手伝いの4人は、おかわりを言い出せないらしい。


「ユリ、3個目頼む」


ソウが3個目を頼むと、次々におかわり希望を申し出ていた。なんと、キボウまでおかわりするらしい。ユメが、いったいキボウのどこに入るんだと驚いていた。


ユリが揚げようと厨房に行くと、メリッサが追いかけてきた。揚げてみたいらしい。揚げかたを説明し、11個分を頼んだ。


「油に気を付けてね」

「はい!」


メリッサは楽しそうに、菜箸でボールチャーハンを油の中で回転させていた。


揚げ終わり、店に運び、おかわりをしないユメのために声をかけた。


「食べられるなら、フルーツ宝箱をもう1つどうぞ」


ユメは急いで取りに行き、嬉しそうにフルーツ宝箱を食べていた。

他の皆も食べたいらしく、イポミアが11個持ってきていた。


「ユリ様、6種類だけですか?」

「そうよ」


質問して、少し考えたらしいイポミアは、自分の考えを話すのだった。


「たまにしかない、大当たりとかは作らないんですか?」

「それすると、当たるまで食べ続ける人が出るわよ。ヨーグルトのジャム当てをした時、10回近く食べた人が何人もいたわ」


その時その場にいた、ユメ、イリス、シィスルが頷いていた。エイプリルフールの茄子ジャムの時の話だ。


「種類を制覇したい人には、むしろ買って帰って貰わないと、いつまでもお店に入れない人だらけになるわ」

「あわわわわ」


「ユリ様、フルーツ宝箱の販売制限はありますか?」

「今回は、外販売は、3個セットのみ合計6個まで。店内は、飲食分は制限無し、持ち帰りは3個まで。セットのみの販売になります」 

「ハナノ様、それですと、例えば、原色セットを2つでもよろしいのでしようか?」

「はい。その通りです。間色セットを2つでも可能です」


「ユリ様、ボールチャーハンはどうなりますか?」

「お一人様1回のみ、持ち帰り不可です」


皆、メモを取っていたので、大丈夫だろう。


「質問がなければ、お昼休みはしっかり休んでくださいね」


全員昼休憩に入り、一升炊きの炊飯器を3つセットし、ユリも休憩に入った。 

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