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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
1章

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器具

そういえば、魔力家電ってどういう仕組みだろう?


ふと思ったのだ。


誰に聞くのが確実かしら?んー。

アルストロメリア会の時にローズマリーさんに聞くのが良いかしら?

ユリは一人で色々考えていた。


「ユリ、おはよう」

「おはよう、ソウ」

「ユリの予定は?」

「今日はお休みで予定はないわよ」

「じゃあ、市場でも見に行く?」

「行きたーい!」


「ユメちゃんはまだ寝ているわよね」

「クーファンごと連れていけば良いんじゃないか?」

「ちょっと見てくるね」


ユメの部屋へ行くと、ユメは起きていた。


「ユメちゃん、おはよう!」

おはよう(にゃー)

「市場にお出かけするけど、クーファンでいく?」


淡く光り、変身した。


「今日は用事があるにゃ」

「そうなの?じゃあ、お弁当に、お菓子持っていく?」

「良いのにゃ?」

「パウンドケーキとクッキーとクルミ餅とリーフパイがあるわよ」

「パウンドケーキ1個とクッキーが良いにゃ」

「ハンカチに包めば良いかしら?」

「ありがとにゃ!」


ユリは、ユメが今食べる分と、ハンカチに包んだパウンドケーキとクッキーを用意してユメに持ってきた。


「ユメちゃん、ここに置いておくわね」

ありがとう(にゃー)


既に黒猫に戻ったユメが返事をした。


ユリはソウのところに戻る。


「朝ご飯食べたら出かける?」

「そうしようか」


ここに来て結構経つのに、市場は初日の1回しか見ていない。仕入れはマーレイが殆どやっているので、見に行く必要性がなかったからだ。マーレイでは仕入れられないものはソウが手配している。



簡単に朝御飯を済ませ、少しだけおめかしした。


「ユリ、出かけられる?」

「はい。大丈夫よ」


階段を降りて、戸締まりを指差し確認した。


ソウによると、基本的に、認証外の人は入れないので戸締まりは簡単で大丈夫らしい。そうは言われてもこれは習慣みたいなものだ。


今日もソウが馬車を操縦するらしい。


「はい、ユリ」


ソウが先にひょいと乗り込んで手を差し出してきた。


「ありがとう」


手につかまり御者席に乗り込む。


「何かあった?」


隣で考え込んでいるユリにソウは声をかけた。


「そういえば、ユメちゃんはどこから出入りしてるの?」

「ユメはユメしか通れない認証がかかった魔力扉から出入りしてるはずだよ」

「え!そんな所があったのね。この前、どうやって入ったんだろうって不思議だったの」

「言ってなかったか。ごめん」

「いえ、考えればわかることよね。今までだって自由に出掛けたりしていたんだし」

「具体的には外倉庫の西側月桂樹のそばと、厨房への扉のそばの階段がわに有るよ」

「そうだったのね。気がつかなかったわ」


そんなところに扉があったなんて、掃除をしても見かけた記憶がないような?

物理的な扉ではなく、ユメの魔力に反応して通り抜けられる壁なのでユリには認識できないのである。


10分位なのであっという間についた。

いつものごとく、憲兵がいる門は素通りだった。


馬車を預け市場に繰り出す。


「そうだ、必要がないから買わないけど、魔力家電見てみる?」

「うん!見てみたい!」


ソウは電気屋さんならぬ、魔動力機器の店につれてきてくれた。

コニファーと言う名前らしい。


思ったより展示物が少ない。


「あんまり売ってないのね?」

「オーダーメイドが主みたいだからね」

「あー、なるほど!」

「見てわかるのが、冬箱と真冬箱だけね」


店員さんらしき女性が近づいてきた。


「ご依頼でしょうか?」

「あーごめん。見てるだけ。機器の種類がどのくらいあるか知りたかったんだよね」

「申し訳ございません。当店は冬箱と真冬箱しか扱いがございません」

「そうなんだ、じゃあ、パープル侯爵の所にも納品してる?」

「はい!先日はとても大きな冬箱と真冬箱を納品させていただきました」


個人情報保護とか無いんだろうなぁ・・・


「だからそっくりなのねー」

「侯爵邸に行かれたことがおありなのですか?」

「毎週のように行ってます・・・」

「もしかして、ユリ先生でいらっしゃいますか?」

「はい。私をご存じなんですか?」

「はい、あの、失礼でなければ少し教えていただきたいことがございます」

「わかることならば、どうぞ」

「侯爵婦人からのご依頼で、筒状の物をご注文頂きました。これは何に使うのでしょう?用途がわかれば加工においてのポイントなどがわかるかと思いまして」

「あー。それは、アイスクリームという氷菓を作るのに使います」

「アイスクリームですか?それはどのようなものでしょうか?」

「クリーム状の凍った甘いお菓子です」

「お菓子!!これは調理器具なのですか!?」

「まーそうなりますね」

「凄いです!素晴らしいです!」


店員の女性は興奮ぎみだ。


「図も一緒に受け取ってますか?」

「はい。でもよくわかりませんでした」

「あーごめんなさい。私、図解は苦手で・・・ソウ、家庭用アイスクリームメーカー、あれ図解できる?」

「それ、ホシミの家にあったな。たぶん書けるぞ」

「お願いして良い?」

「紙と書くもの用意してもらえる?」

「はい、ただいま」


店員の女性は嬉しそうに走っていき、店の主人と思わしき男性と一緒に戻ってきた。


紙とペンと定規を受け取ったソウはとても分かりやすい設計図のような絵を書いた。


これはわかりやすい。ユリの絵とは大違いである。


ソウは珍しくユリに頼られ頼まれたので、とても張り切った結果である。


店の主人は感激してうち震えていた。

女性店員は興奮して目がキラキラしている。


「あとね、その筒状容器は取り外せると、洗うのが楽だと思います」


「素晴らしいです!もう、なんとお礼を言ったら良いのか」

「そもそも悩ませたのはこちらなので」

「出来ましたら一台進呈いたします。どちらへお持ちしたら良いでしょうか?」

「アルストロメリアってお店か、パープル侯爵に預けておいてくれれば受け取れます」

「かしこまりました」

「お店に来ればアイスクリームも食べられますよ」

「伺ってよろしいのですか?」

「はい。お待ちしております。あと、聞きたいことがあったら来てください。侯爵邸に聞きに行くより楽でしょう?」

「はい、ぜひ伺いたいと思います!よろしくお願いします!」


「あ!そうだ、使い方教えて下さい」

「はい。これは冬箱ですが、ここに2箇所ある魔鉱石に手をかざし、魔力を込めます。うっすら輝けば魔力充填完了です。黒っぽい方は魔力が残っていませんので、次回からそちらだけ充填してください」

「とっても簡単なんですね!」

「はい、w魔鉱石の冬箱と真冬箱は当店の自慢です」

「どうもありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございます」


店をあとにした。


「ソウのおかげでアイスクリームの真冬箱が一台もらえるみたい・・・あ!私使えるのかしら?」

「ユリは魔力多いから使えるよ」

「そうなの?」

「なんなら、ユメでも使えるよ」


ソウは笑いながら言っていた。

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