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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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電源

ソウが出掛けてしまったので、ユリは、マリーゴールドに、フルーツ宝箱の作り方を説明し出した。


「まずは、宝になるフルーツを入れた氷を6種類作ります。小さい氷が出来る製氷皿にカットしたフルーツを入れ、色を着けたシロップを入れ、凍らせます。このとき、シロップの糖度が高すぎると、凍りにくくなるので、気をつけてください」

「はい」

「まずは、氷を作ってしまいましょう」


冷凍のダイスカットフルーツ、イチゴ、キウイフルーツ、ミカン、マンゴーと、冷凍ブルーベリーを使い、手分けして5種類を作った。前回とは少しフルーツを変えてある。キボウが手伝ってくれると言うので、冷凍庫ではなく、真冬箱に入れ時送りしてもらい、型から出し次々に作った。96粒出来る製氷皿6枚を使って、各576粒作る。1つに2粒入れるので、288個分だ。これを6種類作れば、合計1728個出来上がる計算だ。


「白桃の缶詰を、他のフルーツと同じようなサイズにカットします。色が濃いめのバタフライピーシロップに漬け込み、これを使います」

「青いフルーツが無いのでございますね」

「そうなのよ。とりあえず、私は知らないわ」


合間合間に、注文される飲み物や軽食を作り、粽はマーレイが袋詰めしてくれたので、店内予定分以外、全て片付いた。


「ハナノ様、バニラのアイスクリームの在庫が残り2つになりました。小さいアイス箱で1回作りますか?」

「アングレーズソースは作るので、お願いできますか?」

「かしこまりました」


マーレイが、クリームソーダに使うアイスクリームが足りないと報告してきた。ユリが慌てて作ろうとすると、既に量ってある材料を渡された。マーレイが優秀すぎる。


「至れり尽くせりね!ありがとう」

「お役に立てまして何よりです」


桃のバタフライピーシロップ漬けは、マリーゴールドとキボウに任せ、ユリはアングレーズソースを作り、マーレイに渡した。


「ユリ、ただいまー!」


ソウは、サエキと共に戻ってきた。


「この辺に置いて良い?」

「え、うん。そんなに大きいの?」

「最大、3000mlのアイスクリームを、15分で自動製造する。連続稼動も可能だ」

「それはすごいわね! えーと、1回稼動で50~60個分製造できるのね」


普通のアイスクリームなら50個、フルーツ宝箱なら60個相当だ。

ソウは予告してから、厨房内に転移してきた。大型のアイスクリームメーカーを持ってきたのだ。


「何個くらい作る予定なの?」

「1500くらいかな」

「それって、手動でどうにかなったの?」

「1時間に3回出来るとして、1回に25~26個できるのを、60回作れば、まあ、20時間稼動するようだけど、土日も作れば行けるかなぁって」

「俺、今日持ってきて本当に良かった。土曜日って、アルストロメリア会じゃないの?」

「次回、まだ何も言われていないのよね」


そんな話をしていると、パープル侯爵家の執事が来たらしく、ユメが呼びに来た。


「パープルのところの執事が来てるにゃ。ユリかソウを呼んでるにゃ」

「俺が行ってくるよ」

「お願いします」


ソウを見送ると、サエキが説明の続きをしてくれた。


「ハナノさんは使い方を説明しなくても分かるかもしれませんが、メインスイッチはここで、緊急停止はここです。通常の停止はこちらで、洗浄は24時間に1回必要です」

「はい。レストランで小型機に触ったことがあります。スイッチ類は、他の人にも詳しく説明しておきます。サエキさん、改造ありがとうございます」

「他に電源を変えてほしいものはありますか?」

「ソウが、エアコンを入れるって言っていましたが」

「あ、お店が休みの時に取り付けますよ。厨房だけで良いんですよね?」

「店に()れたら、色々面倒だろ? ユリ、これ」


ソウが戻ってきた。手紙を預かったらしく渡された。ユリは早速読んでみた。


そこには、次回アルストロメリア会についてのお願いが書いてあった。どうやら、フルーツズコットを作りたいらしい。簡単なら初心者を呼び、難しいなら上級者を集めるらしく、難度を教えてほしいとも書いてあった。


スポンジから作れば上級者向けになるし、仕上げのみをするならナイフでフルーツがカットできれば作れるのだ。難度は変えられるのである。ソウに説明すると、納得していた。自身も手伝って作ったので、実感があるのだろう。


「なら、俺が伝えてくるよ。手紙によると開催は来週らしいし、返事は早い方が良いよな」

「ソウ、ありがとう」


それにしても、反応が早い。フルーツズコットがお披露目されたのは、今日の昼のはずである。ローズマリーが、登城でもしていたのだろうか?


「サエキさん、コンセントを差し込む型の、バッテリー状態のものは作れたりしますか?」

「あ、ありますよ。このアイスクリーマーも本体の改造はしていません」


製品名が、アイスクリーマーらしい。つまりサエキは、魔鉱石に充填した魔力を、電力に変換する装置を作ったようだ。


「それって、売り出す予定はありますか?」

「とりあえず、転移組メンバーには売りますよ」

「リラちゃんに、あ、私の弟子にはダメですか?」

「ハナノさんが信頼する人になら、構いませんよ」


話を聞いていたマリーゴールドが、横でキラキラした目をして感激していた。

転移組はソーラーパネルを設置したはずなので、とりあえずすぐには欲しがることはないとユリは考えた。

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