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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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笹香

「皆さん、(ちまき)食べてみますか?」

「はい!是非!」


お昼ご飯とフルーツズコットを食べたので、ほとんどの人はお腹いっぱいらしく、粽は何人かで分けて食べるようだ。


店内用に用意した砂糖入りのきな粉をたっぷりかけ、切り分けたものを小皿にのせて配った。笹を剥くのは、メリッサとイポミアが手伝ってくれた。


「はい、どうぞ」


お手伝い2人を含む、全員に配り終えた。


「あれ? お米だけなのに、爽やかな香りと、なんか旨味がある!」

「美味しいー!」


早速パクついたメリッサとイポミアが、はしゃいでいた。


「笹で巻いているからね。笹の香りよ」

「笹凄いにゃ!」

「粽、旨いよな」


一口では足りなかったのか、キボウは粽を持ってきて、ニコニコしながら笹を剥いていた。


「美味しいですけど、これ、笹から取り出せない人いそう」

「うんうん。草の紐をほどくのちょっとコツがいるよね」

「手を拭く用の濡れ手拭いと、剥いた笹を入れるためのボールも置いた方が良いかも!」


「笹を剥けない人がいたら、どうしますか?」

「ハサミを渡して藺草(いぐさ)を切ってもらってください」

「私たちが代わりに剥かなくて良いのですか?」

「一人にサービスすると、みんなから頼まれるわよ?」


「回収した笹や藺草はどうしますか?」

「破れていないきれいな笹は、洗って煮沸してもう一度使えます。藺草も長さがあるなら使えます」


ふと見ると、キボウが、粽を作っていた。


「キボウ君、昼休み休まないの?」

「キボー、たべたー!ちまきー!」

「んー、今、食べたぶんを補填するの?」

「あたりー!」

「気を遣ってくれてありがとう。でも、お昼休みはしっかり休んでね」

「わかったー」


キボウは、今皆で食べた4つを作ると、休憩に入った。

不思議な作り方をしていたが、キボウが作った粽は、しっかり作られていた。

最初の頃作れなかったのは、皆と同じ作り方をしたからのようで、水から笹を操って取り出していたのと同じように、笹に触らず丸めて作っていた。


ユリは茹でている粽を見ていたため、休憩に行かなかったが、今日はあまり忙しく仕事をしていないため疲れておらず、元気だった。



昼休みが終わる頃、折り畳みテーブルを出してきて、テーブルの中心にパラソルもたて、販売手伝いの二人に説明した。


「この透明の袋に3つ粽が入っています。必ずこちらの小袋のきな粉を付属させ、販売してください。料金は、1000(スター)です。お一人様1組まででお願いします」

「かしこまりました」「かしこまりました」


「どうしてもバラがほしいと言われたら、余裕があるときだけの販売で構いませんが、粽は1つ300(スター)で、きな粉が100(スター)です」

「お任せください!」「お任せください!」


「飲み物は、仕事に支障が出ない程度なら、いくら飲んでも構いません。お店のメンバーに声をかけてください」

「ありがとうございます!」「ありがとうございます!」


「外は既に暑いので、無理しないようにしてください」

「はい」「はい」


「あ、あと、聞かれたら答えてください。休み明けのイベントは、『アイスクリームの日』で、アイスクリームの『フルーツ宝箱』の販売です」

「おおー!」「買いに来ます!」


外のお土産販売を任せると、ユリは厨房に戻ってきた。


「お店始めるわよ」


粽は、来店者には1つサービスで、購入は3個セットのみ。どうしてもバラがほしい人は、外の販売で買うように誘導するよう話した。


皆の予想通り、粽の解きかたが分からず、困惑する人が多かったらしい。それでも誰一人店員に頼むことなく、頑張って藺草の結び目を解き、笹を剥いていた。


要らない笹と藺草を回収容器に入れ、べたついた手をおしぼりで拭き、テーブルに備え付けの甘いきな粉をたっぷりかけ、食べていた。


「女給さん、今日のこれは、何だい?」

「ユリ様がおっしゃるには、こどもの日のイベントの食べ物で、『ちまき』と言いまして、子供の成長を願う食べ物だそうです。ユリ様が育った国では、今日は『こどもの日』と言う、祝日なのだそうです」


イリスが代表して、客に説明していた。

厨房から店を見ていたユリは、問題なさそうと安堵し、仕事に戻ってきた。


「マリーゴールドちゃん、明日の粽を作るより、休み明けのアイスクリームを作りたいわよね」

「はい!よろしいのですか?」

「粽要員は明日も来るみたいだし、アイスクリームの予想数が、1000個くらいなのよ。明日だけじゃ間に合わない気がするのよね」

「ユリ様の予定として、1000個でございますか!?」

「まず、フルーツ宝箱って、6種類有るのよ。だから購入者は、6種類欲しがるのよ。3種類販売でも1000個くらい売れる予定で、6種類販売を解禁したら、1500個くらい売れるんじゃないかと考えているわ」


チラッとマーレイを見ると、ユリの話を聞いて、洗ってあるココットを冷蔵庫に入れて冷やしていた。さすが、優秀なマーレイだ。


「あ、ユリ、アイスクリームメーカー持ち込む?」

「動かせそうなの?」

「カナデによると、1000pの充填で、8~10時間動かせるだろうってことらしいよ」

「ぜひお願い!」

「じゃあ、ちょっと行ってくる」

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