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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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本職

9:30頃、早めに納品に来たマーレイと一緒に、イリスも来た。


「今日のお菓子は、当日作るとユリ様がおっしゃっていましたので、早めに参りました」

「イリスさん、ありがとう!」


休み前に、今日の分のパウンドケーキやクッキーを作ってしまい、今日は、せいぜいユリのスピードで出来上がる分の(ちまき)を、一人頑張って作ろうと考えていたのである。


イリスもマーレイも器用なので、すぐに覚えてしまった。


「粽に飽きた人が居たら、他の事を頼みまーす」

「粽飽きたにゃ」

「あ、俺も」

「ユメちゃん、小袋に、きな粉をお願いします」

「わかったにゃ」

「俺、ちょっと外見てくる」


ユメとソウが、粽作りから脱落した。キボウは楽しそうに、みんなに笹を配っている。

ユリは出来ている粽を茹で始めた。これが2度目だ。


外を見てきたソウが、慌てて戻ってきた。


「ユリ、外並んでる。開店待ちだけじゃないみたい」


ユリも外を見に行くと、エルムが人員整理を自主的にしているが見えた。


「エルムさん、これは、」

「あ、おはようございます。ハナノ様! 今日は手伝いの募集はないと思うと伝えているのですが、ハナノ様に直接確かめるまで諦めないと言って、このような状況になっております」


エルムはかなり困っているようだった。

お世話になっているし、助けましょう。とユリは思ったのだった。


「調理経験があって、器用な方なら、お願いしても良いですけど」

「本当ですか!」

「そんな条件で本当に手伝う人がいるなら、昼ご飯つき12時迄の調理補助か、昼夜ご飯つき18時迄の調理補助とお土産販売補助になります」

「最大人数は、何人までになりますか?」

「昼まで要員は、何人でも良いですよ。夜まで要員は、2~3人かしら」

「確認して参ります!」


エルムは嬉しそうに笑いながら、並んだ列に声をかけに行った。

条件を説明し、それでも手伝うと言い張る人達に、調理はどんなものが作れるかや、器用を証明する話などを聞いていた。

その結果、午前中のみ手伝うに値するとエルムが判断した5人と、通しで手伝うに値すると判断した2人を連れてきた。


なんと、午前中のみ手伝うのは、皆プロの料理人だった。通しで手伝う2人は、トロピカル魔動力機器の経理担当と言う人と、魔動力機器コニファーの会計担当者だった。この人は見かけたことがある。良く見ると、料理人にも見知った顔がいる。


「ハナノ様、大変お久しぶりにございます」

「えっと、今日って、職場にいなくて大丈夫なんですか?」

「料理長から許可をもらっておりますので、ご安心ください」


なんと、城の厨房メンバーがいたのだ。ユリが覚えているのは、アルストロメリア会でプリンアラモードを作るときに、フルーツカットの指導をしてくれたからだ。ユリが心配したのは、今日がハイドランジアの誕生日だからである。


「ハナノ様、偵察に参りました」

「やっと来られたんですね。うふふふふ」


パープル侯爵邸の若い料理人まで来ていた。来たい来たいと、会うたびに言われていたので、機会があって良かったとユリも思ったのだった。


早速手を洗ってもらい、お店のテーブルで、ユリが粽の作り方を指導した。

さすが調理人。皆器用に割りと短時間で作れるようになった。

料理人のあと3人は、パープル侯爵のお膝元の町で、料理屋を営んでいる人達で、イエロー公爵の弟の件で当時店にいて、騒ぎに巻き込まれた人達だった。ユリに恩返しがしたいと、機会を伺っていたらしい。


通し予定の二人は、料理人のようには素早くは作れなかったが、慣れてくるとなんとか作れるようになっていった。


「販売は、一人何個までにしましょうか」

「おいくらで販売されるのですか?」

「1つ300(スター)の予定です。店内飲食の場合、1つサービスにつけようと考えています」

「買う側にしてみれば、いくつでも欲しいけど、これ作ってみると、いくつでもなんて、贅沢だ!と思っちゃいますね」

「そうなのよ。作るのが追い付かないから、販売制限なんだけど、作る側になってみないと、そういうのってわからないのよね」


ユリが、値段と販売数の事で、3人の町の料理人と話していると、城の料理人が、こちらをチラチラ見ていた。


「あの、ハナノ様」

「はい。なんですか?」

「明日も、作る人を募集されますか?」

「そうね。今日大量に売ったら、明日も買う人が来るから、作るようね」

「うちの料理長、来たいらしいのですが、いかがでしょうか?」

「え?来て大丈夫なの?」

「はい」


「あ、それなら、うちも料理長か、副料理長を推薦します!」


パープル侯爵邸の料理人まで言い出した。


「ご本人の希望なら構わないけど、厨房に(はい)れる訳じゃないのに、それでも良いの?」

「ここに来て、直接指導を受けたと言うのが重要なんです。帰ったら、仲間に自慢する予定です!」

「そんなものかしらね。では、ご本人が希望した場合のみ、受け付けます。明日は、9時~12時昼食つき。でお願いします」

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