種類
みんなが帰ったあと、ユリは厨房で、生クリームのバラを何色も作っていた。
「ユリ、何してるにゃ?」
「ハイドランジアさんのバースデーケーキを作ろうと思ってね」
「生クリームのバラにゃ?」
「あら、ユメちゃんも作る?」
「凄く大変だった記憶があるにゃ」
「あのときは、どうもありがとう」
バラを絞り終わり冷凍したあと、小型のボール2つ、少しだけ大きい小型のボール2つを持ってきて、1辺が短い二等辺三角形に切った薄切りのスポンジを、ボールの中に放射状に並べ始めた。
「全部同じようにするのにゃ?」
「その予定よ」
「手伝うにゃ!」
スポンジはユメが並べてくれるようなので、ユリは、中身を作ることにした。
クリームチーズを湯煎し、柔らかくした所に泡立てた生クリームを加え、良く混ぜる。
クルミ、スライスアーモンド、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、チョコチップを加え、良く混ぜる。
ボールに敷き詰めたスポンジに、シロップをハケ塗りし、ナッツを加えたチーズクリームを詰め込み、小さい方は上まで、少しだけ大きい方は、途中にスポンジを入れてから上まで、ナッツ入りチーズクリームを詰める。
一番上に、丸く切ったスポンジで蓋をして、冷凍する。
「これで出来上がりにゃ?」
「ひっくり返して、粉糖とココアをふるって出来上がりなんだけど、地味よね。だから、バラを飾ろうと思っているんだけどね」
「これは、ハイドランジアのにゃ?」
「その予定よ」
「何で4個にゃ?」
「え?ユメちゃんも食べたいでしょ?」
「どれが誰のにゃ?」
「小さいボールが、王宮と、世界樹の森に持っていって、少し大きい方が、うちと、リラちゃんのところにと思って作ったんだけど、」
ユリは、やはり見映えが気になったのだ。
「もう一度作るわ!」
「にゃ!?」
「ボール10個に、ラップフィルムを敷いてくれる?」
「分かったにゃ」
「フルーツ買いに行ってくるわ」
「ユリのメモ通り量っておくにゃ」
「お願いします。あ、ナッツ類は必要ないわ」
ユリは準備をユメに任せ、転移してもとの国にフルーツを買いに来た。
苺とキウイフルーツを買い、急いで戻ってきた。
「ただいま」
厨房には、ソウとキボウもいて、楽しそうにユメを手伝っていた。皆から「おかえり」と言われ、手伝う気満々らしいので、ユリは、仕事を振り分けることにした。
「ソウ、皮をむいたキウイフルーツは縦2等分で2~3mmの薄切りと、縦4等分で、1cm厚にお願い」
「おう!」
「ユメちゃん、苺はヘタを取って、輪切りの薄切りを、お願い」
「わかったにゃ!」
「キボウ君は、刃物使える?」
「わかんない」
「なら、少しだけ待ってね」
「まつー」
ユリは手早く缶詰の黄桃をカットし、ソウとユメが切った薄切りフルーツをもらい、ラップフィルムの張り付けてあるボールの内側に、薄切りフルーツを並べるように張り付けた。
「キボウ君、これ、出来そう?」
「キボー、がんばる!」
「ユメちゃんとソウも、ある程度カットしたら、キボウ君と一緒に作ってみてね」
「わかったにゃ!」「了解!」
ユリはクリームチーズを少し温めて柔らかくしてからホイッパーで混ぜ、生クリームも混ぜた。
「ユリ、それクリームチーズ?」
「似たようなものね」
「クリームチーズは、こっちにもあるんだ」
「まあ、有るらしいけど、入手できなかったから、作ったわ」
「え?クリームチーズって、家で作れるの?」
「厳密には違うかもしれないけど、ケーキに使えば、違いがわからないわ」
ユリは出来上がったチーズクリームを、スプーンを使って、ボールの内側に並べたフルーツに塗っていった。
「こんな感じに薄く塗ったら、スポンジをお願いします」
「わかったにゃ!」
ユメとソウとキボウがチーズクリームを塗って、スポンジを張り付けている間に、ユリは中に入れるフルーツをカットした。キウイフルーツはソウが切ってくれているので、苺と黄桃だ。
「ユリ、シロップ塗るにゃ?」
「ユメちゃん、お願いします」
ユメがシロップを塗っている間に、ユリは、チーズクリームを絞り袋に入れた。
スポンジの上に絞りだし、フルーツを入れる。
「フルーツを少しだけ埋め込んでね」
チーズクリームを足し、フルーツを埋め込む。もう一度チーズクリームを足し、平らにして、丸い薄切りのスポンジを被せ、出来上がり。冷蔵庫でしっかり冷やす。
「ユリ、フルーツは、ナッツみたいに混ぜないのは何でにゃ?」
「苺とか、潰れちゃうのよ」
「ユリ、残りどうするの?」
フルーツもスポンジもチーズクリームも残っている。
「小さい型で、好きなように作る?」
「作るにゃ!」
「つくる、つくるー!」
「よし、俺も作ろう」
3人は、楽しそうにお椀やココット等を選んできた。
ユリはその間に、冷蔵されているズコットを冷凍庫に移した。
「苺が足りなかったら、冷蔵庫に有るの使って良いわよ」
予想通りと言うか、キボウは、苺だけで作っていた。




