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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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転移

ユリが案内しようとすると、ソウが転移で連れていった。

わざわざ梯子を下りなくても、転移すれば良かったのね。とユリはやっと気がついた。

イトウは、気が済むまで「こごみ」を収穫しているようだった。


ユリはリラを連れ、蕗を刈るために、ソウに倣って転移で川原に下りた。


「株を傷つけない程度に、下の方から真っ直ぐに切り取ってね」

蕗の薹(ふきのとう)と一緒ですね!」


ユメとキボウも見学に来て、手伝ってくれた。


「葉っぱは要らないので切り落としますが、まだ若い葉っぱは、湯がいて冷水につけてアク抜きして、蕗味噌を作ったり出来ます」

「では、葉っぱも持ち帰ります!」


葉っぱは、ユメがキッチンバサミで落としていった。


ユリは最後に、川原に有る藺草(いぐさ)も刈り取った。


お店に戻り、蕗の処理を始める。


「手持ちの一番大きい鍋に湯を沸かします」

「行く前に用意したものが沸きました」


火加減と言うか、夏板の出力をサエキに頼んでから川に行ったのだ。


「次に、蕗を板摺(いたずり)します」

「いたずりって、なんにゃ?」

「塩をつけて、まな板の上でゴロゴロするのよ」


ユメとキボウは、不思議そうに眺めているだけだった。


「沸騰した湯に入れます」

「どのくらい茹でますか?」

「色が鮮やかに変わる程度茹でたら、冷水にとります」


とりあえず少しだけやって見せ、冷水に入れた蕗を1本とった。


「フキの皮を剥きます」

「あ、これのために、大きな鍋なんですね」

「そうよ。短く切ってしまった分だけ手間が増えるのよ」


リラは皮を剥き始めたが、ユリは残りの蕗を茹でていた。


「手伝って良いにゃ?」

「ユメちゃん、お願いします」


ユメは、水に浸かっている蕗をトレーに取り出していた。


「皮を剥く以外は、フキは水に浸けておいてね。アクが出て色が悪くなってしまうのよ、フキのアクは軽い毒なので、何度か水を変えて良く晒してね」


コンロは埋まっているため、蕗も店で夏板を使って茹でているので、サエキ夫妻も皮剥きを手伝ってくれた。


「皮を剥くときは、少しずつ剥いた端をいっぺんに掴んで引っ張ると、一気に剥けて効率が良いわよ」


少しずつ剥いていたユメが、感心していた。


なにかを取りに行ったリラが、倉庫で熊笹を発見したらしく、ユリに尋ねてきた。


「ユリ様、あの大きな葉っぱはなんですか?竹の葉が大きくなったみたいな、」

「近いわね。竹と近い植物で、笹よ。竹の葉っぱは葉脈が格子状で、笹は並行なのよ」

「あれ、どうするんですか?」

「明日使う予定よ。うふふ」

「あの葉っぱ、食べられるんですか?」

「食べないわよ。用途は容器よ」

「容器?」

「明後日も使うから、楽しみにしていたら良いわ」

「はーい」


「さ、フキも全部剥けたわね。細いのは、出汁で煮て、太いのは、柔らかくなるまで茹でたら、砂糖漬けにするわよ」


下処理の終わったフキを、イトウにも分けた。

サエキ夫妻は、竹の子もあるから少しで良いと言っていた。

こごみはすぐに茹で上がるので、ここで茹でずにそのまま持ち帰ることになった。


「竹の子は、水に浸けたまま保存しますが、毎日水を変えてくださいね。1週間くらいは大丈夫だと思います」

「ユリ様、どうもありがとうございます」


茹で上がり粗熱が取れたので、茹で汁ごとタッパーウェアに入れ、サエキ夫妻に渡した。

イトウは素材状態を渡されて困らないのかとソウに聞くと、なんと、イトウは料理も得意らしい。

リラの分は、完全に冷めてから引き取りに来ることに決まり、筍狩りツアーは解散した。

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